第16話 AT
小屋では絶えず人が縦横無尽に絶えず歩き回っている。周囲にある檻には多くの動物が入れられており、数分に何回かという頻度で悲しそうだったり、怒っているように鳴いている。奥のほうの天井の照明が当たらないような檻の中には、動物がピクリとも動かず、鳴かずに、横になっている。寝ているのか、はたまた死んでいるのか、それは近づかなければよくわからない。ここはAT、アニマルトレードが所持する小屋だ
そんな小屋の入り口近くの柱の陰に、僕と正吾さんはいる。何度も何度も目の前をATの職員らしき人たちが通ったが、一度たりとも僕らがいることに気づくことはなかった。あれもこれも正吾さんの能力のおかげだ。透明になっていて基本的には周りの人からは見えていない
(あーっとその顔・・見えないからって慢心はするんじゃない。時間制限ってのもある、最長1時間、最短10分、過剰に動くと時間が減る。一応自己解除も可だ・・・少し時間が経ってんな、せいぜいあと45分だ)
正吾さんは足音を立てないようにゆっくりと歩き、壁に張り付いている赤いボタン。あからさまに緊急用であるようなボタンを見て言った
(これから二手に分かれる。俺は管理室だのなんだののこの団体の上層部について調べる。んで、お前は檻だのなんだのを回って、収容されている動物、ここの職員どもの会話を盗聴するなどして情報を集めてくれ、基本何でもいい。時間になったら俺が迎えに来る。まずったんならこの警報機っぽいのをぶったたけ、それが知らせだ。じゃ、解散)
(え、ちょ・・待って)
正吾さんはそう言って奥へ進んでいった。僕自身、聞きたいこともあった。どうすればバレにくいとか、どうやってメモすればいいか、色々だ。とりあえずは檻に向かうことにした
檻に近づく最中、何人もの職員とすれ違った。が、変な感じはしているようだがこれといって僕の存在には気づいている様子は見受けられない。なにやら職員同士で会話をしているようなので、軽く聞き耳を立ててみた。話し始めたほうの人は、重そうな段ボールを地面に置き、ともに歩いていたもう1人の職員に話しかけた
「なあ、今回の件。どう思う」
話しかけられた人はため息をつき、返答する
「今回ねえ・・別に何の感情も湧いてこないね。いつも通りの仕事、いつも通りの依頼内容。何も変わりはない。ま、ちょっと珍しいってことくらいじゃないか?」
「だよな、今までに能力持ちの動物のみを取引してほしいとかなかったからな。いったいどこのバカたれなんだか・・めったにそんなの居ないってんのに。あれ、それいつも通りの依頼内容なのか?」
「口を動かす前に手を動かす、だ。とりあえず残り15体、さっさと片付けるぞ」
どうやらAT、名前の通り動物を商品としているのは間違いないようだ。ふと、頭に1つの疑問が浮かんだ。正吾さんがそれに行きつくことができなかったのは仕方のないことなのかもしれない。が、なぜ先に潜入済みのOWAの人たちがそれを早々に報告してこないかだ。相当余裕がないかもしれない。しかし、「名前の通りだった」の数文字で報告ができるような情報をなぜ報告してこなかったのか、なぜ小屋が存在するなどという回りくどいことをしたのか
僕にはよくわからない。とりあえず檻へ向かうと遠くから見ていた通り、多くの動物が入れられていたのが確認できた。見たところ象はもちろん、サイだったりの大型から、警察犬として見たことがある犬だったりの中型の動物、幅広い種類の動物がいた
檻の柵の目の前にしゃがんで見ていると、見えていないにも関わらず犬が1匹近づいてきた。やっぱり透明になったとしても結局はにおいでバレるようなものなのだろうか。近づいてきた犬は小さく鳴き、目の前で縮こまった
「・・この犬も、どこかに連れていかれて取引に使われる・・・犬、欲しいなぁ」
僕は犬を撫でようと檻の中へと手を伸ばした───
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数分前、鍵山正吾は小屋の一番奥の扉の目の前に立っていた。扉の上のほうには、「監督室」と書かれた看板が掲げられている
「さてと、ここが上層部っぽいな。まずは外から・・・」
正吾は足に装着していた銃を片手に持ち、後ろポケットからサプレッサーをだして銃に装着する。なにやら部屋の中から音が聞こえるため、正吾は慎重に部屋の中からの声に耳を傾ける
「さて、何を話しているのやら」
壁越しだからか、あまり鮮明に聞こえはしなかった。最初に低い声が1つ聞こえ、次に少し高い声が1つ聞こえた
「さて、───はき──か?」
「─え、おろらく来てい──しょう。奴が───ければ誰が来ましょうか。必ず────す」
「そうか、ハハハ。ずいぶんなめられたものだな」
低い声の主は大きく笑う。そしてさらに一言言い放つ
「そうか!入れ、鍵山正吾!」
正吾は驚く。自身は透明化していて、しかも何一つ大きい音は立てていない。最低限その部屋の中に聞こえてしまうような大きな音は。が、部屋の中にいる低い声の主は気づいている。正吾からするとめったにない、珍しい想定外の出来事だ。なかなかに強敵なのかもしれない、そういう考えを抱きながら正吾は扉を開け、部屋に入る
「さあ、さらばだ」
正吾が扉を開けて中に入ると、中には中央に大きくとても豪華な椅子が1つ。そこにはいかにもいった怪しげな男が座っていた。その手には拳銃が握られており、入り口にいる正吾に向けられていた
「お前もな」
椅子に座っていた男の額に何か冷たい何かが突きつけられる。男から見たら目の前には何もないが、男は透明になっている正吾がいることは分かっていた。が、銃を突きつけられているのは変わりはない。男は銃を静かに下ろし額に冷や汗をかきながらも、冷静に語り出す
「さすがだな、我々の想定以上のようだ。やはり絶対執行者という名を冠するだけある」
「キラーねぇ・・・俺からしたら人生でどうでもいいことランキング1位タイのことだな」
正吾はサプレッサーの先が男の額にしっかりと突きつけられていることを確かめながら横にいる1人の方を向く
そこには女が1人立っていた。正吾からすると大体20後半から30大体前半といった容姿。だが、顔には少しばかり化粧が施されており、実際のところは40前後の可能性も考えられた。女は銃を構えそれを正吾に真っ直ぐ向けていた
「頭目へ向けているその銃を手放して投降しなさい。さもなくば───」
「っあっはっはっはっ・・いやいや、おもしれぇ〜これだからこういうのが止めれねえんだわ」
正吾は急に笑い出した。部屋の外には聞こえないように少し小さい声量で。その笑いに困惑し女は問いかける
「な、何を笑っているの?今は1対2、あなたが頭目を撃ったら私があなたを撃つ。あなたが私を撃てば頭目があなたを撃つ。どう足掻いても詰みでしょう?」
正吾はそれを聞いて再び笑う。余程可笑しかったのか目から涙が出ていた
「いや、お前らそれで脅してるつもりか?そんなおもちゃで脅せて満足してるようじゃ俺を脅すなんて100年早いぜ。さっきまでの威勢とは打って変わって小物っぽさ満載だな」
「「お、おもちゃ?」」
「ってことでお手本だ」
正吾は銃をさらに頭目と呼ばれている男の額に押し付ける。横の女は何かを感じ「頭目!」と叫んだ
「真の脅しってのは死を感じさせるってことだ」
その時、部屋の外から大きな音が鳴り響いた。サイレン、警告音のようなけたたましくとてもうるさい音だ。正吾や目の前の男と近くの女はその音を聞いて少し戸惑いが隠せなかった。が、正吾はすぐに状況を理解し男と女の位置と様子を一瞬のうちに把握して行動を開始する
(形真が何かやらかしたっぽいな・・)
「よし、さっさと俺もずらかるとしまっか。お前らを連れてな」
正吾は男の額にかざしていた銃を一度放し、次は男の両足に向け躊躇なしに発砲した。両足から血が噴き出る。男が履いていた靴は貫通した箇所が少し焼けているように灰色になった
男の顔は少々歪みはしたが、すぐに顔を正吾へと向け下げていた腕を上げて銃を向けた。その様子を見た女も続いて冷静に銃口を正吾へ向ける
「いい判断だ。そっちの頭目ってのは分かってんじゃねぇか、脅しじゃなくて傷つけるための道具だって。だぁが・・・」
正吾は2人の行動を見て少し飛びながら後退する。同時に腕を瞬時に交差させた。その手からは恐ろしく細い紐が伸びており照明の光を反射して少々輝いていた。が、頭目と呼ばれる男等は気付かない
「・・何をしている。腕を交差させようと何も変わら──」
正吾が交差していた腕を勢いよく開く。その瞬間、頭目と呼ばれている男と近くに居た女との間隔がゼロ距離になり、頭部が激しく激突した。2人は自己的に接近したわけではない、そのはずなのに気付くとぶつかっていた。そしてさらに頭目は気付く
「・・っ!?お前の能力にはこんな力はないはず、何をした・・!?」
正吾は両手の掌を見せる。そこには何やら小さな機械が取り付けられていた。その機械から薄目で見ればギリギリ分かるくらいの細さの紐が出ているのに頭目と女は気付いた
「超極細グラップリングフックで〜す」
2人はさらに気付く。自身らの胴にそれが巻き付いていること、正吾がさっき腕を交差させた際にそれを巻き付けたこと、それらに気付かず今こうなってしまっていること
2人は強く正吾を睨む。正吾はその顔を見てもなお冷静に銃を構え2人の両腕に打ち込む。周囲を素早く回り、巻き付けた紐をさらにきつくし完全に逃げられなくした
「だがお前らは用途を知ったうえで間違えた。だからチェックメイト、終わりだ。捕獲」
正吾がとある言葉を発し人差し指と中指を同時にピンと立てた直後、共に縛られていた頭目と女はその場から突如消える。その後、その場に小さな瓶が1つ落ちる。中に何か入っているようだが、瓶を構成するガラスの不透明さでよく見えない。正吾はその瓶をさっと拾い上げ手持ちのバッグに入れる
「んじゃ後は色々OWAで聞かせてもらうぜ。そんで形真、あいつも連れてさっさと退散だ」
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「監視カメラに映ってたか!?」「なんもない!」
「なんか低い音しなかった?」「頭目の部屋じゃない。あれ?やばいんじゃないの!?」
「おい、俺のプリン食ったの誰だよ!」
「また裏切り者居るの・・?」「どこの檻が鳴ったんだ!?」
「そろそろこの組織もオワコンか・・・」
「どこの動物が抜け出した?」「頭目を呼べ、頭目を!」
僕、形真はさっき居た檻の近くにある柱の裏に隠れていた。檻の中の犬を触ろうと手を伸ばした瞬間、手が透明な何かに遮られたのち、警報機を鳴らした時のようなサイレンが小屋中に鳴り響いた。それにより今に至る
1分ほど職員たちを観察していたが、見たところ統率がほとんどとれていないことが分かった。どうやらこの団体には頭目と呼ばれる人が居るらしく、その人が居なければ緊急事態時の統率が弱くなるようだ。だとしてもたくさんの人が小屋の中で縦横無尽に動き回っていて、僕が正吾さんに助けを求めようとこの場を動けば誰かに見つかってぶつかってしまうかもしれなく、やむなく停滞するしかなかった
(今正吾さんはなにしてるんだろう・・早く合流して・・・・)
「よう形真、何しでかした?」
「うわっ!?」
肩を急に触れられ、さらにまあまあな声量で声をかけられ、さっきまで慎重なのもあって結構驚いてしまった。驚かすつもりはなかったようで、正吾さんの顔をのぞくと僕の驚いた声を聴いて少し引いていた
「ちょおいおい、驚くのもいいがちょい静かにな。いくら透明でも声で気付かれたら一巻の終わりだ。とりあえず撤退だ撤退。さっさと帰るぞ」
「帰るって・・今帰るとなると結構ジリ貧なんじゃ・・」
「まあ一旦俺の後ろにぴったりとつけ。俺の能力で人の動きのざっくり予測ができる、バカみたいなことがなきゃ余裕で突破できる。悩むこたぁない、行くぞ」
半ば強制的だが僕は素早く歩く正吾さんの背中にぴったりつきながら歩く。何度も何度も走るここの団体の職員とぶつかりそうになるが、ただ歩き続けているだけでギリギリ当たらずにみんな通り過ぎていった。情報が錯綜していたり、他の職員たちの走る音がうるさく、僕らの会話や足音などには全く気付かない
(あれ・・正吾さん、その瓶なんですか?)
(この瓶か。これん中にこの団体のトップとプラスアルファが入って・・あ?あいつ何をもって──)
居たぞ!侵入者だ!
甲高い声が小屋中に鳴り響き、その声がするほうに小屋内にいる人全員が顔や体を向ける。声の主はなにやら単眼鏡のようなものを片手に持ち、それ越しに僕らのほうを見ていた。もう片方の手は僕らに向いて指されていた
「まっず、あいつサーモグラフィ使いやがった!形真、戦闘態勢にはなっとけ!」
「え、え、え、まじですか!?」
瞬間正吾さんによる透明化の効果がなくなり、僕らの存在が明らかになる。同時に周囲の視線が一気に僕らに集められ、徐々に僕らを囲うように職員たちが集まってきた。正吾さんは目を閉じ、左手の親指を両眉の間に強く当てて何かをしようとし始めている
僕も慌てて変形に使うものを拾おうとしたが、ここは小屋。以前のように森だったり廃ビルだったり地面に使えそうなものは落ちていない。落ちていたとしても僕らの周囲に集まってきている集団を一つ越えたところにある段ボールだったりだ。自分の服を破って変形に使うこともできることにはできるのだが、そんな人としての尊厳を捨てるような行為はまだ僕にはできはしない
「正吾さん、変形するものが・・・」
僕がそう言うと正吾さんは「俺の銃使え」と言って腰に差してある拳銃のうちの1つを僕に渡した。僕はそれをありがたく頂戴し、正式に臨戦態勢に入る。周囲の人たちは棒状のものを構え、僕らににらみを利かせている。が、やはり統率が執れておらず誰も先陣切って向かってこない。正吾さんが両目を見開き口を開く
「思労煙」
その瞬間正吾さんの頭部前方の周囲から白っぽい煙が出てくる。その煙が僕の目に入り、少し痒くなる
「この煙だけだとさっきのサーモクラフィで見つかって終わり、そんで形真。あの伸ばすやつを回して適当にあいつらを巻き込んでほしい。それならサーモグラフィで見つかりにくいはずだ。その最中に俺が道を開けてもらう」
「・・やってみます」
「おし、じゃあ行くぞ。脱出大作戦だ」
正吾さんは拳銃片手に走り出す。その時に拳銃がショットガンのような形に変化した、と同時に何か正吾さんが歌っていた気がするが何を歌っていたかは分からない
少しして正吾さんが煙の奥に消えていく。大きな発砲音と共に煙の奥からわずかな閃光が何度も発せられる。正吾さんのことが心配だが、僕も僕のことをしなければならない。もらった銃を紐のようなものに変化させる。同時に腕が痛んだが我慢した
「ショットガンの奴は他の奴らに任せるしかない」
「あそこに1人いるぞ!」
「煙でよく見えないんだけど」「お前、サーグラ使えよ!」
「囲め囲め!抵抗もさせるな!」
声や足音で分かる。僕を囲むようにしてたくさんの人が走ってきており、このままだとあっさり捕らえられるかもしれない。が、今の僕には新しく得た力、戦い方がある。まあ、今までほとんど喧嘩含め誰かと身体を通して戦ったことはなかったが。声を張って今手にあるものを振り回す
「う、おらぁっ!・・あっ」
さらに伸ばしに伸ばしながら振り回すと想定通り僕へ向かってきていたほとんどの職員が巻き込まれ共に振り回された。さらにそれによって立ちこんでいた煙も少しばかり晴れる、と同時に小屋のちょうど中心らへんにそびえる大黒柱のようなものに巻き込まれた職員全員が激しく衝突する。柱に大きな亀裂が入り、透明な液体を吐いたり吐血したりしている人が居たりした。いや、ほとんどだった。僕からしたらそんなにまでするつもりはなかったので少し申し訳なくなった
「あ、え・・すみません!そんなになるとは・・多分そろそろ警察とか、何か来ると思うのでその時は無様な醜態さらして情けなく捕まってください!本当にすみません!」
「お、お前・・そう思ってないだ・・うっ」
職員の1人が何か言っていた気がしたが聞き返す前に気絶してしまったようだ。僕はさっさとその場を後にして正吾さんの居る所へと向かう。着くと銃声は完全に止んでおりありとあらゆる壁や柱や床に重婚が残されていた。倒れている職員らしき人もいて、もれなく全員の両腕両足に弾丸が貫通したあとが1つずつ残されていた
中心には無傷の正吾さんがスマホで誰かと電話をしていた。僕の視線に気付くと早々とそれを終わらせ、僕に声をかけた
「おっ形真、そっちも片がついたみたいだな。さっき外から付近の住民たちの話し声がわらわら聞こえた。一応俺もOWAの処理班に連絡はしたが、これじゃ警察が先か処理班が先かどうかは目に見えてる。一応OWAはそこらの裏組織となんら変わりねえ、事情を知らねえタイプの景観だったらなおさらだ、行くぞ」
そういうと正吾さんは透明になって小屋を出た。僕も自分の体を見ると半透明になっていた、気付かぬうちに僕も透明化していたのかもしれない。周りに広がる、片付けなかったレゴのようになった人たちを踏まぬように気を付けながら小屋を出た
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それから半日後、僕は優や優里さん、形兄と共に食堂の一角にある机を囲んでいた
僕がOWAの形兄の部屋へ戻ったのは次の日の午前1時ごろ。正吾さんが憂団?というところに事後報告するということで結構時間がかかってしまい、正午を回った今現在、僕はほぼ寝ていないという疲労困憊で机にベローンと突っ伏していた。そんな僕の様子を見て形兄が口を開く
「一応正吾から連絡はされた、にしても形真の疲れようも見てもだ。今日はゆっくり休んだほうがいいな」
「形真は、そうね・・優は調子は今はどんな感じ?大丈夫そう?」
「ん、まあ、いや、大丈夫。とりあえずさ、昨日の情報交換も終わったことだしみんな各自の部屋に戻ろ?」
優は明るい声で話しているがよく見ると目は一切笑っていない。おそらく昨日の・・僕がそう考えているうちにみんなが席を立つ。僕は部屋が事実上形兄と同じなので、形兄はしぶしぶ待ってくれた。少しして僕は疲れてすごく重い上半身を起こす。目の前には正吾さんが居た
「おいよぉ、お二人さん方。何してるってか、暇みてえだな」
「まあ、今日はまだなさそうではあるから結構暇はしてるな。わざわざ来たってことは何か用があるんだろ、何の用だ?」
正吾さんは図星のようで頭をポリポリとかく
「いや~形兄にはどんな感じで来てもバレるな。そそ、用事があってきたんだよ、ないに等しいと言っても過言じゃねえがな」
「・・お前にその呼び名で呼ばれるのは慣れないな」
正吾さんの目が急に僕へ向く。僕自身、用があるのは形兄のほうだと思っていたので少し驚いてしまった
「形真、多分お前何の組にも入ってないだろ。いや、まず知らないか・・?」
「多分知らないんじゃないか」
「組・・は多分知らないです・・」
そう言う僕の言葉を聞いた正吾さんはにやり、と口角を上げさらに口を開く
「んじゃあ紹介しよう。OWA日本支部らが誇る2大派閥をな」
次回、憂と剣編の本編開始っ!
・・・はい