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proof  作者: 林 アタル
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第1話 邂逅

「母さん行ってきます!」


「ルークス!気をつけてらっしゃい!暗くなる前には帰ってくるのよ~」


ここはアンチェアル王国辺境の村 リジー

辺境ってだけあって外からは滅多に人が来ないし

隣の村だって歩いて2日はかかる。

行商人も年に1度しか来ないので村人達は完全に自給自足の生活を送っている。

主人公ルークスも村の狩人として日々森に入っている。


「こりゃ珍しい!虹鳥なんて滅多にお目にかかれない!今夜はご馳走だぜ!」


ルークスの目がいいのか虹鳥の目立つ外見のせいなのか数km離れた場所から虹鳥を察知し、獲物に自分の事を気づかれぬ様、音を立てず器用に木の枝から枝に飛び移りものすごい速さで近ずいて行く。


「やっぱ近くで見ると綺麗だなぁ..」


ルークスは虹鳥をしっかり目に焼き付け楽しんだ後

いよいよ弓を構え獲物に狙いを定める。


「よし...今だ!」


ルークスが弓を射ろうとしたその時


「ガサガサッ」


突然何かの物音がしてその拍子に虹鳥が遠くに逃げてしまった


「なっ!なんだとぉ!俺の肉がぁあ!」


悲しみに暮れているルークスだったが

次第に狩の邪魔をした奴への怒りが湧き出してきた


「絶対に許さん! 虹鳥の代わりに今日の晩飯にしてやる!」


ルークスは先程物音がした方に忍び寄り獲物の姿を

確認するとそこには角が生え全身傷だらけの少女がいた


「な、何でこんな所に人が..ってかこの傷かなりまずいんじゃねぇか?」


「とっとりあえず早く村まで運んでラグ婆ちゃんに診てもらわないと!」


ルークスは少女を、背負うと虹鳥を追っていた時と同じように凄い速さで森を移動していきあっという間に

村まで戻り村で唯一の医者であるラグ婆ちゃんの家に到着した


「おや、ルークス先程狩りに行ったと聞いたがもう戻って..ってその子どうしたんだい!?」


「森で見つけたんだ!俺も何が何だか分かんねぇけど..っととにかくこの子を助けてやってくれ!」


ラグは少女の角を見るやいなや


「まっ、魔族! この子魔族だよ..!」


「マゾク?なんだぁそりゃ、もしかしてヤバい病気なのか?!」


ラグは真剣な表情でルークスに説明する


「いいかい..魔族ってのはね、私達人類の敵なんだよ。 」

「ルークス..私以外にこの子の事を知ってる奴はいるかい?」


「いや、どこにも寄らずに急いでここまで来たから誰にも知られてないと思うけど...」


するとラグは何やら難しい顔をして言った


「悪いことは言わない、この子を元いた場所に返しておきなさい。もし魔族を助けたと知られれば私達だけじゃない村の皆まで危険に晒すことになる。」


「ちょ、ちょっと待ってくれよ!この子が敵だって?それに知られたらって、それの何処に問題があるんだ!」


ラグは真剣な口調でルークスに説明した


「魔族ってのはね、かつて私達人間や他の種族達を思いのままに殺戮し大陸の4分の3を支配した紛うことなき人類の敵。それが魔族だよ、そんな奴らを助けたと知られれば騎士団がすぐ駆けつけこの村諸共焼き尽くすだろうね。」


「魔族も今はこの国の騎士団の尽力もあって随分数を減らしてるようだがね...ともかくこの子を助けても良い事なんか1つもありゃあしないよ。」


ルークスはどうしたらいいのか分からなかった。

この子を助けてやりたいが、そのせいで村の皆を危険に晒してしまうかもしれない。

しかしこのまま黙って見過ごすことはルークスには出来なかった


「それでも頼むよラグ婆ちゃんっ!!要は誰にもバレなけりゃあ良いんだろ?絶対に誰にも言わねぇし気づかせないから頼むよ..!」


ルークスは深々と頭を頭を下げラグに助けてもらうよう懇願した。



「はぁ、全くしょうがないね 私も医者だ、目の前の患者を放っておきたくはないからね」

「ただ、この子がもし誰かを襲ったり皆を危険に晒した時ルークスお前がしっかり責任をとるんだよ」


するとルークスは一切迷うことなく言った


「ああその子を助けられるなら責任でも何でもとってやる!」


ラグは一言

「任せときな」

そう言い治療を始めた


数時間後...


「無事手当は済んだよ このまま安静にしてりゃ明日にでも目覚めるだろうさ」


「よかった!婆ちゃん本当にありがとう!」


すっかり晩飯の事など忘れているルークスは無事少女が助かると知り大いに喜んだ。





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