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 ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。  作者: 米糠


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 数日後、俺たちは『緋の尾根の村』を後にした。谷を覆っていた霧は、儀式の後には薄れ、まるで何かが解き放たれたように風が澄んでいた。


「次の目的地は……ここか」


 ロメオさんが広げた地図の上、赤い印が記されていた。

 『紅の渓谷』。古文書にはこう記されていたという。


『火の神座に沈黙の声は眠る。赤き山が、その喉を開くとき、かの者は目覚める』


「火の神座……名前からして、何か強烈そうね」


 純子が腕を組んで渋い顔をする。


「火山……?  噴火したら嫌だなー」


 沙耶が思わず口をとがらせると、有紗がクスッと笑った。


「でも、風の谷と同じなら、また何かの記憶が残ってる可能性があるよね」


「場所的には、南方の山脈沿いだ。途中、交易路を通るが……問題はここだな」


 ロメオさんが地図を指差したのは、赤い土砂に覆われた『廃都マグナ』の名だった。


「このルートを通るには、まず廃都の門を越えなきゃならない」


「そっちは魔獣の巣窟って噂の……」


 明が口を尖らせる。


「大丈夫。今回は事前に許可を取ってある。あの遺跡探索の功績でな」


 ロメオさんがギルドからの通行証を見せて胸を張る。

 ――これで道は開かれた。目的地は、第二の言葉『沈黙の声』が眠る『火の神座』。


 夕暮れの空の下、俺たちはギルドの馬車に乗り込み、南へと向かう。


 


 数日後、俺たちは紅の渓谷の入り口に辿り着いた。


 風の谷とはまるで違う。ここは――

 大地が燃えた跡だった。


 地面は赤茶け、ところどころから蒸気が吹き出す。黒く焼け焦げた岩肌、崩れかけた石像、焼け落ちた祭殿の跡。かつてここに信仰があったとは思えないほどの荒廃。


「空気が……重い……」


 沙耶が鼻を押さえる。硫黄の匂いが立ち込め、体がじんわりと汗ばんでいく。


「でも……この感じ、確かに力の残り香がある」


 ロメオさんは岩壁をなで、感嘆の声を上げた。


「火の精霊信仰……火山の噴火を神の声と信じ、沈黙を神の怒りと捉えた部族の文化……これだよ、これだよォ!!」


「ロメオさん、テンション戻ってきたな……」


 俺たちは、渓谷の奥へと足を踏み入れた。

 沈黙の中に、誰かの祈りのような、囁くような、遠い声が微かに聞こえるような気がする。


 渓谷の奥へ進むにつれ、空気は次第に熱を帯びていく。岩肌は黒く焼け焦げ、ところどころがひび割れ、真っ赤な鉱石が地中からのぞいていた。


「これが……かつての『火の神座』か」


 俺たちの目の前には、半ば崩れた神殿跡が広がっていた。山肌に抱かれるように建てられたその構造物は、石造りでありながらまるで鉄のような赤い光沢を放っている。


「この材質……融岩を冷やして作った『火精石』かもしれないわ」


 純子が壁に触れながらつぶやく。表面には、今も微かに熱が残っているようだった。


「彫刻が……あります」


 有紗が指さしたのは、崩れかけた柱に残された複雑な浮き彫り。人の姿をした炎の神と、その神に跪く巫女たち。そして中心には、大地を穿つような火柱の文様が描かれていた。


「この文様……『火を封ずる儀式』だな。沈黙の声を聞くには、これを再現しないといけないかもしれん」


 ロメオさんが手帳を取り出し、すぐさま写し始める。


 そのときだった。


「……あれ、なにか、音しない?」


 沙耶が眉をひそめる。耳をすませば、確かにどこかから――


 コツ……コツ……コツ……。


 石を踏みしめるような、乾いた音。

 そして、それが消えた瞬間――


「熱っ!? 壁が光ってる!」


 明が叫ぶ。神殿の奥の壁がぼんやりと赤く発光し始めた。その中心に、まるで口のような形状が開いていく。


「扉……?」


「いや、封印のようだ」


 ロメオさんが震える声で言った。


「これは……『声を閉じ込めた祭壇』。この中に、『沈黙の声』が――」


 ――ゴウン。


 低い音と共に、封印の扉がゆっくりと開かれた。


 奥には、丸い部屋。中心に据えられたのは、黒焦げた台座と、その上に置かれた一本の炎の杖。杖の先端は砕けかけていたが、微かに赤い光を宿していた。


「これが……火の巫女の杖……?」


 俺が手を伸ばすと、突如、空気が震えた。


 ――誰かの声が、頭の中に響く。


「……火よ。いま一度、言葉を……。災いを越え、力を導け……」


 視界が揺れ、熱に包まれるような感覚。

 ――そして、目の前に幻が浮かぶ。


 神殿がまだ立派だった頃の姿。巫女が祈りを捧げ、杖が火柱を呼び、空を裂いた『沈黙の災厄』が訪れた瞬間。


「っ……!」


 俺は膝をつく。杖を離すと、幻はふっと消えた。


「間違いない。これが『第二の言葉』の痕跡だ」


 ロメオさんが目を輝かせる。


「沈黙の声……まだ完全ではないが、この杖が『火の言』を記している。『第二の言葉』と繋がる、重要な鍵になるぞ」


「でも、今の幻……声が叫んでた。封じられたのは、力だけじゃなくて、何か……もっと悲しいものだった気がする」


 俺の言葉に、誰もが黙る。

 燃えるような沈黙の中で、声が確かに今も生きているようだった。


『第二の言葉』は、杖に宿る記憶と共に発見された。



神殿の封印が解け、火の巫女の杖に宿る『沈黙の声』が語られた夜。俺たちは焚き火を囲み、ロメオさんが解読した記録を聞いていた。


「この杖の根元に刻まれていた、古い言語の詩文……どうやら次の言葉を示す暗号のようなんだ」


 ロメオさんは手帳をめくり、一節を読み上げる。


『光なき塔にて 鏡は眠る

  嘆きを映し 夢を断つ

    風も火も届かぬ地 第三の声はそこにある』


「『光なき塔』……『鏡』……?」


 純子が眉をひそめる。


「つまり……地下とか、閉ざされた場所にあるってことか?」


 明の推測に、有紗がぽつりと言葉を重ねた。


「『風も火も届かぬ地』って……もしかして、水の領域かも。冷たくて、静かで、閉ざされた場所」


 全員が息をのんだ。


「水……そうか。三精霊の信仰が本当なら、風、火と来て、次は水……」


 ロメオさんが地図を取り出し、ある一点を指差す。


「『鏡の湖』って呼ばれている場所がある。南東の断崖地帯に位置していて、夜になると星を映して真っ黒に見える。近くには、廃寺の跡もあるらしい。記録によれば、かつて『水の巫女』が祈りを捧げていた場所とか……」


「そこだ……!」


 俺たちは顔を見合わせる。

 皆が、『第三の言葉』は、水の巫女が眠る『鏡の湖』を探せば見つかると確信した。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。


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お手数だと思いますが、ご協力頂けたら本当にありがたい限りです <(_ _)>ペコ




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