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 ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。  作者: 米糠


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「異世界スクロール職人はジョブを極めて無双する 」絶賛発売中です!






 洞窟の中は、外の快晴とはまるで別世界だった。

 空気は重く、湿っていて、遠くから水滴の落ちる音がこだましている。

 壁には淡く光る苔が張りついており、最低限の視界は確保できるが、奥に進むほど光は乏しくなっていく。


「……天井、低いね。頭上、気をつけて」

 純子が小声で注意する。全員、反射的に頭をすくめた。


「足元も、ぬかるんでる……滑らないように」

 有紗が後ろの沙耶の手を取りながら進む。


「うわっ、今なんか踏んだ!? ねぇ今なんか踏んだよね!?」

 沙耶が半泣きで騒ぎ、明に口を塞がれる。


「黙ってろって、反響して敵呼びそうなんだよ」

 先頭を進みながら、俺は剣を片手に、慎重に足を運ぶ。

 足場の悪さだけでなく、どこから敵が飛び出してくるかわからないこの状況では、一瞬の油断も命取りだ。


 ――そのとき、ふと空気が変わった気がした。


「止まって」

 俺は小声で仲間に合図した。


 前方、十メートルほど先に、何かが……光っていた。赤く、脈打つように。まるで心臓のように。


「なにあれ……? キモ!」

 純子が顔をしかめる。


「……普通じゃないわね」

 有紗が小さく呟いた。


「引き返す?」

 沙耶が不安げに尋ねる。


 けれど俺は、ほんの少しだけ笑って、首を振った。

「……ここまで来たら、行くしかないだろ? もっと近づいて調べよう」


 俺たちが赤い光に近づいた、その時だった。


「……動いた!?」

 純子の声が震える。


 脈打っていたそれが、ぶるん、と内側から跳ねるように脈動し――次の瞬間、裂けた。


 内側から、ぬるりと何かが這い出てくる。赤黒い体表、無数の目、細長い触手のような脚。


「卵じゃねえか……中身つきのな」

 明が前に出て、刀を構える。


 モンスターの全貌が露わになると、洞窟全体がぐわんと揺れるような咆哮が響いた。


「来るぞッ!」


 モンスターが跳ねるように飛びかかってくる。俺は一歩退きながら、剣を構え――息を吸い込む。


「……力の一撃! 明、3秒……耐えてくれ!」

 剣を構えたまま、全身に力をためる。剣には魔力が流れ込んでいく。


「はァアアア……っ!!」

 一秒、二秒――その間にも、モンスターは触手を振り上げ、襲いかかってくる。


「来させねぇよ!」

 明が前に飛び出すと、剣を振り抜いた。


「フレイムバスター!」

 炎をまとった刃がモンスターの胴体をかすめ、爆ぜるような火花を散らす。

 続けて弓組の援護が飛ぶ。


「こっちは任せて、卓郎!」

 有紗の矢が一つ目を撃ち抜き、純子と沙耶の矢が胴体に突き刺さる。


「今だッ!」


 ――3秒が満ちる。


「力の一撃ッ!!」

 溜め切った力がミスリルソードに宿り、振り下ろされた斬撃がモンスターの脚を粉砕する。


 体勢を崩したモンスターの胴体めがけて、俺はもう一撃――剣を突き立てた。

 ドスッ!

 モンスターは崩れ落ち、洞窟に静寂が戻る。


「……勝った、の……?」

 沙耶が震える声で呟いた。


 俺は静かに息を吐き、剣を地面に突き立てた。

 全身から、やっと緊張が抜けていく。


「――ああ。全員、無事だな」

「……ねえ」


 純子が不安げに声を上げる。

「まだ……鼓動が止まってない、気がする」


 倒れたモンスターの腹部。

 たしかに、赤黒く脈打つ光が内側から灯っていた。


「まさか……っ!」


 俺が剣を再び構えた、その瞬間――


 ズボァンッ!


 モンスターの胴体が内側から裂け、赤黒い肉塊が飛び出す。

 異形の触手、無数の目玉、むき出しの神経のような本体が、粘液をまき散らしながら地面に着地する。


「さっきのは……殻かよ!?」

 明が目を見開き、剣を構え直す。


「来るよ、第二ラウンド……!」

 有紗が震えながらも矢をつがえる。


 俺は剣に視線を落とす――もう、体の硬直はなおっていた。

 一秒のクールタイムは終わっている。ならば――


「……力の一撃!」

 再び力をためる。三秒――体に力がみなぎり、力が剣に収束していく。


 第二形態の本体が、咆哮とともに跳ね上がるように飛びかかってきた。


「下がれッ!」


 俺は踏み込み、剣を――真上から振り下ろす!


「ッらああああああッ!!」

 地を裂くような斬撃が、異形の体をまっすぐ叩きつける。


 ぐちゃッ!

 本体は断末魔をあげる間もなく、そのまま地面に叩きつけられ、潰れた。

 動かない。今度こそ、完全に沈黙した。


「……」

 沙耶がぽかんと見上げる。


「……終わったな」

 俺は剣を構えたまま、肩で息をしながら、仲間たちに向かって頷いた。



 俺たちは、異形の死骸の周囲を慎重に調べ始めた。

 洞窟に静けさが戻っても、どこか張りつめた空気が残っている。


「……やっぱり、こいつ。変だ」

 明が眉をひそめ、潰れた胴体を蹴って転がすと、その下から――金属片のような何かが転がり落ちた。


「……え、なにこれ?」

 沙耶がしゃがみ込み、それを拾い上げる。


 指先に乗るほど小さな、それでいて妙に精巧な金属片。

 中央には、呪文のような刻印と、魔石のかけらがはめ込まれている。


「魔導装置……? でも、こんなの魔獣に埋め込まれるか?」

 俺が呟くと、純子が顔をこわばらせた。

「聞いたことがある……。古代文明の技術で、“制御用の魔導核”を使って、魔獣を強制的に暴走させる実験があったって」


「でもそれ、封印されてたはずじゃ……?」


「だから……誰かが、あえて掘り起こしてるのかも」


 洞窟の奥に進むと、今は使われていない通路の奥に、無造作に放置された鉄製の檻や、魔方陣の痕跡――

 まるでここが、何かの実験場だったかのように感じられた。


「さっきのあれ、ただのモンスターじゃなかったんだな……」

 俺は魔導核の破片を見つめながら、深く息を吐いた。


 この異常な変異――偶然じゃない。

 背後には、意図的な“何か”が存在する。


「やっかいなことになってきたわね。ギルドにこのことを報告しなくちゃ」

 純子が肩越しに呟く。


 俺たちは顔を見合わせる。

 もはや、これはただの依頼じゃ終わらない――そんな予感が、胸の奥に広がっていった。




ここまで読んでいただきありがとうございます。本日四話投稿、12:10、16:30、20:00、予定です。


この小説を読んで、「続きが気になる」「面白い」と少しでも感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです 。


感想のお手紙で「面白い」などのコメントをいただけると最高です!(本人褒められて伸びるタイプ)


お手数だと思いますが、ご協力頂けたら本当にありがたい限りです <(_ _)>ペコ




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