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 ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。  作者: 米糠


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 村に戻ると、俺たちはすぐに村長の家に呼び出された。

 玄関をくぐると、すでにギルドの連絡員も到着しており、重苦しい空気の中、報告の席が設けられていた。


 年季の入った木製の卓を挟み、俺たちは正面に座る村長と向かい合う。その隣では、ギルドの連絡員が筆記用具を手に、真剣な面持ちで控えていた。


「……で、どうじゃった?」

 村長が眉間に深い皺を寄せながら問いかけてくる。


 俺は仲間たちと目を合わせ、うなずき合うと、ゆっくりと口を開いた。


「原因は――霧でした。あの谷に満ちていた、異常な濃霧が、すべての引き金です」


 村長の目が細まり、俺の言葉を静かに噛み締めている。


「魔物じゃないってことか?」


「直接的には、違います。ただ、その霧に……心を蝕むような力がありました。幻覚や幻聴、過去の記憶をえぐるような精神攻撃……。それに飲まれた者たちが、あの『霧の迷い人』になっていたんです」


「迷い人……」

 ギルドの連絡員が筆を止め、表情を強ばらせて顔を上げた。


「それは、魔物ではなく……何か別の存在ということですか?」


「ええ。元は人間です。おそらく、かつてあの谷で命を落とした冒険者たち。その未練が霧と融合し、半ば霊のような存在になって彷徨っていました」


 室内の空気が一瞬、張り詰める。誰もが息を呑み、静寂が訪れた。


 その重さを破るように、明が口を開く。


「卓郎が、ヒールを霧に宿った迷い人に使って……成仏させた。物理攻撃は通じなかったけど、癒しの魔法は、確かに彼らを解放できたんだ」


「ヒールでじゃと……?」

 村長が目を丸くして驚く。


「つまり、アンデッド系ということか?」

 ギルドの連絡員も顔をしかめ、思案するように続けた。


「それに近い存在だと思います。ただ、霧自体がそれらを生み出しているというより、何か……過去の出来事や、この地に蓄積された魔瘴が絡んでいるように感じました」


 俺の言葉に、有紗が頷いて補足する。


「霧の影響で、周囲の魔物も通常よりずっと凶暴化していました。まるで、谷全体が魔瘴に染まっているような……自然とは思えない異様さがありました」


「なるほどな……」

 ギルドの連絡員は椅子に深くもたれ、疲れたように息を吐いた。


「原因は、霧に宿った魔瘴と、過去の死者たちの残留思念。それが魔物にも影響を与えている……。だが、完全に解決はしていない、ということか」


「はい。俺たちがやったのは、あくまで応急処置です。本格的に解決するには、専門の聖職者と、調査団の派遣が必要でしょう」


 俺の言葉に、沙耶が肩をすくめて苦笑した。


「結局、私たちじゃ荷が重かったってことね。でもまあ、全員生きて帰ってこられただけでも十分よ」


 純子と有紗もそれにうなずき、ギルドの連絡員が手帳をパタンと閉じる。


「詳細は本部に報告しておきます。二次調査隊の派遣を、こちらから要請しましょう」


 その言葉に、俺たちは肩の力を抜いた。


「この件はこれで依頼完了とします。こちらが報酬の50万ゴルドです。お疲れさまでした」


 俺が代表して金を受け取り、それぞれに分配する。仲間たちの目が一瞬輝くが、すぐに安堵の笑みに変わった。


「それじゃあ、『福佐山』に戻って、打ち上げしようか?」

 俺が提案すると、


「良いわね。私も自宅のベッドが恋しいわ」

 純子が笑顔で応じた。


 こうして俺たちは、大橋村を後にし、帰還の途についた。



 道中、馬車の揺れの中で、明が唐突に口を開く。


「なあ、これで、Dランクチャレンジ連続2回成功だよな?」


「そうね。あと一回連続成功すれば、Dランク認定試験を受けられるわ」


「明は早くDランクになりたいの?」

 沙耶が小首を傾げながら尋ねる。


「『Sランクになる男だ!』……だったっけ? 初めての挨拶」

 茶化すように笑う沙耶に、明はむすっとした顔を見せた。


「まあな……でも、正直卓郎を見てると、ちょっと自信なくすぜ」


 明がぽつりと漏らした言葉に、場の空気が少し変わる。すると純子が、まっすぐに明を見つめて真剣な声で言った。


「チート級のステータスに加えて、魔法まで使える。はっきり言って、卓郎は多分Sランクになるわ。でも、明だって諦めなければ、きっとなれる。卓郎と切磋琢磨していけば、ね」


「……俺がSランク? なれたらいいな。明と一緒に、いや、みんな一緒にSランクになれたら、最高だよ」


 俺がそう言うと、沙耶が笑いながら問い返した。


「卓郎と一緒にいれば、私たちもなれるのかな?」


 その言葉に、しばらく皆が沈黙した


「あ、私はランクとかどうでも良いの。ただ……ちょっと、倒したい魔物がいるから、強くはなりたいけど」


 純子がふと遠くを見るような目でつぶやいた。その表情はどこか寂しげで、しかし心の奥に灯る炎を宿していた。


 ……倒したい魔物?


 その言葉の奥にあるものを、誰もが察したのか、しばらく静寂が流れた。だが、その沈黙には不安よりも、仲間としての絆が満ちていた。



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ここまで読んでいただきありがとうございます。


この小説を読んで、「続きが気になる」「面白い」と少しでも感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです 。



本日、あと16:30、20:00に投稿予定


お手数だと思いますが、ご協力頂けたら本当にありがたい限りです <(_ _)>ペコ




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