表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/265

41

 

 キングシルバーウルフの赤い片目がギラリと光った瞬間、地面を蹴る音と共に、黒い影が一直線に突っ込んできた!


「くるぞっ!!」

 俺はミスリルの剣を構えて前に出る。


 ――ガギィィィィンッ!!


 剣と牙がぶつかり、火花が散った。重い! たった一撃で腕が痺れる。

 だが俺は踏ん張って押し返した。


「純子、有紗、今だッ!」


「了解っ!」


「援護するわ!」


 二人の矢が、キングの左右から放たれる。しかし、キングは大きく跳躍し、まるで見えていたかのようにかわした。


「くっ、早っ……!」有紗が唇を噛む。


 空中から降りてきたキングは、前脚で俺に向けて爪を振り下ろす。

 俺は咄嗟にバックステップでかわしたが――


「ぐっ……!」

 地面に叩きつけられた衝撃波が全身に響く。足元がえぐれてる。あんなのまともに食らったらひとたまりもない。


 それでも俺は笑った。


「上等だよ、お前……!」


 そしてミスリルの剣に魔力を流し込む。刀身の輝きがどんどん強くなる。それと同時に俺の集中が高まっていく。強敵……死と対峙する緊張が俺の集中を高めていた。


「……きた」


 視界が一変する。キングの動きがスローモーションのように見えた。


「右の踏み込み……次、左に回り込んで牙を……っ、見える!」


 キングの攻撃を紙一重で避け、俺は一気に間合いを詰める。そして腹部に渾身の斬撃を叩き込んだ。ミスリルソードがさらに輝く。


「――おおおおおおおおッ!!!」


 鋼鉄のような毛並みが裂け、黒い血が飛び散る。キングが唸り声を上げてのたうった。


「今っ!!」

「撃ち抜けぇっ!!」


 純子と有紗の矢が、キングの傷口を正確に貫いた!


 ――ズシュウウウッ!!


 キングの動きが鈍った。だがまだ終わっていない。凶暴さを増した片目が俺を睨み――


「がああああああああっ!!」

 ――魔力の奔流。口元に紫の光が集まり始めた。


「まずい、なんかくるぞ……!」


「魔力砲撃……!?」有紗の声が震える。


「っくそ、間に合え――!」


 俺は全力で踏み込んでいく。


 その時、キングの後方から別の声が響いた。


「こんのやろー!!」


 直後、明のロングソードがキングの背後からぶち込まれた。沙耶の矢と同時にだ!


 キングの魔力砲撃の弾道がそれる。


 ズドーン!!


「とどめだー!」


 俺はミスリルソードを振りかぶり、同時に魔力を思いっきり流し込む。その限界まで輝いた刀身を大上段から叩き込んだ。


 光が炸裂し、魔力が暴発する。紫の閃光と共に、キングが雄叫びを上げて崩れ落ちた。


「っはあ……」

「終わった……?」


 黒煙の中、キングシルバーウルフは地面に沈み、その巨体は動かなくなった。

 静寂が、森に戻る。


 そして――


「……みんな、生きてる?」

「もちろん!」と明が拳を突き上げる。


 沙耶が矢筒を背負いながら笑った。

「逃げたやつ、ちゃんと仕留めといたよ!」


 有紗も微笑む。

「卓郎、すごかった……まるで主人公みたいだったよ」


「いやいや、俺はあくまでサポート役で……」

「いやいやいや、主役だったでしょ今のは!」と純子が突っ込む。


 俺はちょっと照れながら、キングの亡骸を見下ろした。


 ――これが、俺たちの初めての本物の戦いだった。

 だけど、何だろう。不思議と確信していた。


 これから先、もっと強いやつと、もっとヤバい状況がある――でも、俺たちならいける。


 だって、――最高の仲間たちがいるんだから。



 キングシルバーウルフ、シルバーウルフの死体は追加報酬として受け取る約束なので百点カードの『買い取り』機能で現金化した。(キングシルバーウルフ・40万ゴルド、シルバーウルフ・10万ゴルド32体分=320万ゴルド   )

 数時間後。俺たちは村に戻っていた。村人たちは驚愕の声を上げた。


「し、信じられん……あんな魔獣を倒したのか……!」

「村の英雄だ!」

「結婚してくれ!!」


「え、今なんかプロポーズ混ざってたよね!?」と明が笑いながら肘で俺を小突く。


「いや、俺は断るぞ!?  そっちの気はない!!」

 ※プロポーズしてきたのは髭モジャの農夫(42)だった。


 村長が慌てて人々を鎮めると、満面の笑みで俺たちに言った。


「本当にありがとう。君たちのおかげで、村は救われましたのじゃ」

 そして手渡されたのは――


「うおっ、金貨50枚(50万ゴルド)!? 」


「やったぁ!」

 沙耶が金貨を両手にすくってにやにやしてる。


「まあ当然ね。これだけの働き、報酬が見合わない方がおかしいわ」

 純子はそう言いつつ、しっかり自分の取り分を数えている。


 そして――


「……で、こっからが本題じゃ」

 村長の顔が引き締まる。


「実は、森の奥――『霧の谷』のあたりに、最近また異常な魔物の気配があってのう……」


「え、また?」と俺。


「うむ。しかも、今回のキングシルバーウルフと同じく異常変異の痕跡があるらしいのじゃ。もしかしたら、これはただの魔物異常ではなく――」


「誰かが意図的にやってる……ってこと?」

 有紗が神妙な表情で呟いた。


「可能性はあるぞい。だから、もしよければ……いや、君たちにしか頼めないかのう」

 村長は深々と頭を下げた。


「『霧の谷』の調査をお願いしたい。報酬は弾む。50万ゴルドでどうじゃ?」


 その場に、緊張が走る。


 でも――


「いいぜ、受けてやるよ。面白そうだしな!」明が即答。


「私も!  今回みたいな協力プレイ、燃えるもん!」沙耶も笑顔。


「……西も仕事できなくなると困るしね」純子がぼそっと呟き、


「謎の原因があるなら、明らかにしたいよね」と有紗。


 そして俺は、仲間たちの顔を見渡して、にやりと笑った。


「じゃあ次の目的地は『霧の谷』ってことで――行くか。」


 こうして俺たちは、新たな依頼へと向かうことになった。


ここまで読んでいただきありがとうございます。


この小説を読んで、少しでも「続きが気になる」「面白い」と少しでも感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです 。


感想のお手紙で「面白い」などのコメントをいただけると最高です!(本人褒められて伸びるタイプ)


お手数だと思いますが、ご協力頂けたら本当にありがたい限りです <(_ _)>ペコ




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ