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 ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。  作者: 米糠


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「さて、せっかくだし、星露草をもう少し探してみよう。一つあれば、近くには群生してることがあるらしいぞ。クラック・トラッパーがいるところは特にな」


「え、そうなんですか?」


「地中の魔力を吸って育つ植物だからな。あいつらが地中を掘ることで、魔力の通りがよくなるんだ。ほら――」


 俺は周囲の倒木や岩陰を探りながら歩き、リーナも後に続く。


「あっ……! こっち、いっぱいあります!」


 リーナが指さす先には、青白く光る星露草が数十本、群生していた。魔力の濃い空気の中で、その花は静かに、しかし神秘的に輝いていた。


「やったな。これだけあれば、十分だ」


「うわ……本当に綺麗……。これ……精製したらどんな薬になるんですか?」


「《リルドラ》っていう、高位魔法薬の原料になる。高級回復薬、魔力増幅剤、毒解除などが作られるが、特に《星露の霊薬》っていう、高級ポーションは、希少性が高いし、保存も効く。精製期限だけ注意すれば、数ヶ月は持つ」


「精製期限?」


「ああ。星露草は、普通、摘み取ってから24時間以内に錬金処理しないと、魔力が抜けてただの雑草になる。渡された容器に入れておいても最大36時間。錬金処理のために帰ったらすぐ納品だな」


「そっか。そういえば、そんなこと言ってたっけ。……摘んだら早く戻らないとですね!」


 ふたりで群生地から星露草を丁寧に採取し、慎重に採取袋にしまう。全部で30本あった。あとは安全に帰るだけだが――


「卓郎さん……帰りは瞬間転移で帰れますよね」


「ああ、大丈夫。冒険者ギルドまで、一気に飛ぼう」


「……はい!」


 俺たちは無事に《エイル断層帯》での星露草の採取を終え、ポータルシフトで転移その場を離れた。


 ポータルから転移した俺とリーナは、そのまま駆け足でギルドの受付カウンターへ向かった。もう夕刻近く、冒険者たちの報告で混み合う時間帯だが、俺たちは『精製期限つき』の素材を持っている。受付員もそれを察してすぐに応対してくれた。


「おかえりなさい。早かったですね。この手の依頼は制限時間ギリギリになることが多いんですよ。精製素材をもって、受付奥の錬金処理室へどうぞ」


「助かります。星露草三十本、保管容器入り。精製期限、あと十七時間ってとこです」


「確認します。リーナさんもこちらへどうぞ」


「は、はいっ」


 ふたりで小部屋に案内されると、奥にはすでに白衣をまとった錬金術師風の男が一人、待っていた。中年だが、目に知性の光が宿る人物だった。


「やあ、君たちが《星露草》を採ってきたCランク冒険者かね?」


「彼女、リーナがそのCランク冒険者です。俺は付き添いです。……もしかして依頼主の方ですか?」


「その通り。私はギルドと提携している錬金術師、グレン=アルファルト。星露草の採取依頼を出した者だ」


 グレンは笑顔のまま、こちらに歩み寄ってくる。


「まずは……本当にご苦労だった。まさか《クラック・トラッパー》が出るような危険地帯まで足を踏み入れて、しかも一本だけじゃなく、三十本も採ってくるとは……想像以上だよ」


「そ、それは……! 卓郎さんのおかげで……」


「いえ、リーナの魔法支援がなかったら、今ごろ俺はトラッパーのエサです」


「ふむ、連携もできているようだな……いいチームだ」


 グレンは星露草の束を一本手に取り、容器を開けて魔力の反応を確認した。花弁はまだしっかりと輝きを保っている。


「うむ、素晴らしい……魔力の抜けもなく、新鮮そのもの。これなら《リルドラ》の高純度抽出に使える」


「《リルドラ》って、やっぱりそんなに希少なんですか?」


「当然だとも。錬金協会の中でも《星露草》から精製できる霊薬の品質は別格。しかも、それを地道に採ってこれるCランク冒険者は、滅多にいない」


「そんなにですか……」


 リーナが目を丸くする。グレンはそこで、軽く咳払いをして口調を変えた。


「……そこで、だ。君たちに一つ提案がある」


「……提案、ですか?」


「ああ。私と個人的に契約を結ばないか?」


「え?」


「今後、定期的に星露草などの採取任務を頼みたい。報酬は市価の二倍。状態に応じて追加報酬も出す。専属契約にはなるが、他の依頼を完全に断れというわけじゃない。……ただ、依頼をしたら最優先で取りに行ってもらいたいだけだ」


 リーナが俺の顔をじっと見る。俺も戸惑いながらグレンを見返した。


「専属……ということは、定期的にエイル断層帯に入ることになると?」


「その通り。他の場所の貴重な素材を取りに行ってもらうこともあるだろうが無理はさせない。魔獣情報、地形情報、私が持っている資料も共有する。ギルドより先に、私が君たちを守るつもりでいる」


「どうして……そこまで?」


「それほど、今回の成果が素晴らしかったということだよ」


 リーナが小さくつぶやく。


「……そんな風に言われたの、初めてかも……」


 俺はリーナの肩に手を置いて、しばらく考えるふりをしてから笑った。


「悪くない条件だ。ただ、一つだけいいですか?」


「なんだね?」


「危険なときは、遠慮なく断ります。俺たちは《死に急ぐ》タイプじゃないので」


 それを聞いたグレンは、満足そうに頷いた。


「もちろんだとも。……君たちが無事に戻ることが、第一条件だ」


 こうして、(俺と)リーナは《錬金術師グレン》との専属契約を結ぶことになった。ギルドのカウンターで手続きを終え、書類に署名したあと、精製素材の正式受理も完了。


 星露草三十本の成果報酬は、なんと合計240万ゴルドの二倍、480万ゴルド。リーナは思わず財布を見て目を白黒させていた。


「ひゃ、480万ゴルド……? これ……ほんとに……?」


「ほんとに。働いたな、俺たち」


「なに買おう……じゃなかった、少しは貯金しないと……!」


 冒険者としての、新しい一歩が始まっていた。












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