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自由商業都市《福佐山》。
人口二十万を超えるこの北方の独立都市国家は、黒龍河と昇龍河、二本の大河を利用した水上輸送網によって、周辺諸国の物流の中心地となっている。
その活気ある都市の中心街の福佐山冒険者ギルドに、俺たちは帰ってきた。
「おかえり、フォーカスの皆さん。地下神殿の調査、無事に終えたようね」
カウンターの奥で書類を束ねながら、受付嬢の礼子さんが微笑む。癖のないストレートの黒髪と、淡いピンクのリップ。その落ち着いた声に、ようやく帰ってきた実感が湧いてくる。
「ただいま戻りました。任務達成報告と、資料提出です」
俺は古代遺跡から持ち帰った防衛機構(=古代兵器)の残骸の一部と、ロメオさんの確認状を礼子さんに手渡す。
「……ありがとう。確認するわね」
礼子さんが器用に封を解き、内容を確認していく。その眼差しは鋭く、だがどこか楽しげだ。
「……うん。これで3回連続、Aランクチャレンジ達成ね」
「ってことは……!」
沙耶が目を輝かせて身を乗り出す。
「うん。ギルド本部への正式報告後、全員に個人ランク昇格の個別審査が入るわ」
礼子さんが頷き、柔らかく微笑んだ。
「『フォーカス』としての昇格試験とは別に、Aランクは個人の資質も見られるのよ。だから、個人ごとの審査があるの。戦闘力だけじゃなく、協調性、判断力、実績、そして……覚悟」
その言葉に、一同が少しだけ緊張するのを感じた。
確かに、ここまではチームで走ってきた。俺たち『フォーカス』は現在Bランクのパーティ。でも、次に問われるのは「個人の評価」だ。
俺の個人ランクはA、明はB、そして純子、有紗、沙耶の三人はC。それぞれの到達度は違う。だが、個人ランクには“飛び級”も珍しくない。実力次第で、一気に駆け上がることもできるのだ。
「審査官への推薦状、私が添えておくわ。あなたたちなら、きっと大丈夫」
「ありがとう、礼子さん!」
明はいつになく真面目な表情で礼子さんに一礼し、純子、有紗、沙耶もそれぞれ静かに決意を固めた。
「それでですね、試験を受けるのを少しおくらせてもいいですか?」
純子が恥ずかしそうに切り出すと、沙耶も小さく手を挙げて続いた。
「そうなんです。私たち、スキルをきちんと身につけてから昇格試験に挑みたくて……。スキル道場で修業する時間を取りたいんです」
「ええ、もちろんよ。ちゃんと準備してからの方が、結果も出しやすいものね。昇格試験の日程は、また後で相談しましょう」
礼子はにこやかに頷き、了承のサインを出した。
俺たちは踵を返して、ギルドの片隅にある丸テーブルに腰を下ろすと、すぐに相談を始める。
「さて、今回は道場でスキルを身につけることについて、皆で話し合いたいと思います」
純子がまるで議長のように、やや緊張した口調でみんなを見回す。
「王都にはたくさん道場があったけど、ここから通うのは大変です。日数も必要だし宿泊費用もかなり掛かると思います。どうしましょう」
「はい。議長! 」
沙耶が元気よく手を挙げる。
「王都では、あっちで修業したいと思ったんですけど、私も費用面を考えると、福佐山の『遠距離スキル道場』もすてがたいでーす」
「私も地元の『遠距離戦スキル道場』にもう一回行きたいかな。前に通ったとき、先生すごく分かりやすかったし、遠見の練習いっぱいさせてもらえたし……」
有紗も沙耶の意見に追従する。
「俺は、もともと、この前の道場で教わるつもりだぜ」
明がうなずく。
「あれ? 明くんってこの前、「近接戦特化スキル道場」に通ってたんじゃない? 遠距離戦闘のスキル、教われるの?」
有紗が不思議そうに首を傾げる。
「剣士は『近接戦特化スキル道場』で習うんだよ! 剣士のスキルには、斬撃を飛ばしたりするのがあるんだ。難しいけどな」
明が自信満々に胸を張って答えると、有紗は「なるほど」と小さく頷いた。
「やっぱり地元の道場って、費用も王都よりかなり抑えられるし、必要なスキルが覚えられて、いい先生なら、わざわざ王都の道場にこだわることはないわね」
純子が現実的な視点でまとめる。
「うん。距離的にも近いし、全員でまとまって行けるのもいいよね」
俺も同意を示す。
「じゃあ、決まりだね! 地元の道場に、集中して通おう!」
沙耶が笑顔で手を挙げた。
「この前、スキルを覚えるのに三週間かかったから今度もそれくらいはかかるかも。三週間集中で修業して、帰ってきたら……昇格試験に挑みましょう」
純子が真剣な表情で言うと、みんなの顔にも自然と覚悟が宿った。
「じゃあ俺は、その間、王都の魔術師ギルドに行って、魔術師としての基礎指導を受けてこようと思う。そういうの、聞いたことないし、全部自己流だから、役に立つ知識が得られるかもしれないからね。そんなに何日もかからないだろうから、そのあとは福佐山に戻るかな。まあ、適当にやってるよ。3週間後にここに集合ってことでいいよね」
「ああ、それでいいと思うぜ。魔術師ギルドで変な魔術師にからまれるなよ」
「はは、気をつけるよ。明も道場頑張れよ」
「きっちり、遠距離攻撃ができるようになってくるから楽しみにしてくれ」
「私たちも、今より強くなってくるからね。卓郎君の援護ができるようになってくるから期待して」
有紗がニッコリ笑って握手をもとめる。
「今でも十分援護してもらってるよ」
俺はそう答えながら有紗の手を握った。
*
部屋に戻った俺は、教会カードを連携してみる。
「連携しますか? 四枚目のカードとの連携には1千ポイントが必要です」
そしてメッセージボードに、『はい/いいえ』の表示。
俺は少し考えてから『はい』を押した。
「四枚目のカード魔術師ギルドと連携しました。五枚目の枚目のカードとの連携は1万ポイント必要です」
1千ポイントを消費したが、百点カードに魔術師ギルドの項目ができていた。
メッセージボードを確認すると__
百点カード 『冒険者ギルド』『商業ギルド』『教会カード』『魔術師ギルド』
『冒険者ギルド』の枠をタップすると
百点ポイン3485、銀級、
冒険者レベルA、
ステータス、HP:400/400 MP?/?
攻撃力:409 魔法効果:2万3815 防御力:400
速度:484 知力:400 器用:400、
『スキル取得』 『ステータスアップ』
スキル一覧
力の一撃、完全見切り、斬光断(光)、影走り、断空輪、鋼壁斬、
終天の一閃、セラフレイム(光火)、
『商業ギルド』の枠をタップすると
百点ポイント3485、銀級、
商人レベルF、674万3千346ゴルド
『お取り寄せ』『買い取り』『通貨投入』『通貨取り出し』
『教会カード』の枠をタップすると
百点ポイント2340、銀級、
教会貢献レベルB、
『寄付』 『祈り』 『加護取得』
加護一覧
絆の加護、約束の灯火
『魔術師ギルド』の枠をタップすると
百点ポイント2340、銀級、
魔術師レベルS
MP?/? 魔法効果:2万3815
『基本魔法取得』『特殊魔法取得』
魔法一覧
シャインウェイブ(光) ヒール(光)、サンクチュアリ(光)、
ピュリファイ(光)、セイントシールド(光)、ホーリーレイン(光)、
ジャッジメント(光)、
ファイアバレット(火)、フレイムジャベリン(火)、
クリムゾンバインド(火)、カタストロフブレイズ(火)、
メテオフレア(火)、ウィンドカッター(風)、
ウォーターショット(水)、レインコール(水)、
ストーンウォール(土)、スノウバインド(氷)、アイスニードル(氷)
「百点カードが銅級から銀級に昇級しました。銀級昇級特典が与えられます。今後の特典メッセージに期待ください」
『魔術師ギルド』はやはり魔法を覚えることらしいな。これから必要に応じて覚えることにしよう。
それから今後、特典メッセージが流れるらしい。流れた時に考えよう。
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