13
部屋に戻った卓郎は、ベッドに倒れ込むと大きな息を吐いた。
新しいパーティに加わって一日目。何とか少しはメンバーたちの役に立てたような気がしている。
「はー、それにしても疲れたな。流石に連日で大荷物を運ぶのは体にくるぜ」
独り言ちてマッサージをはじめる。方も腕も太ももも、明日に備えてよくもみほぐしておかなけりゃ……。
体をもみほぐしながら新しいパーティの事を考えていた。
有紗も沙耶も良い子だよな。優しいし、明るいし、弓矢の腕もかなりのものだ。
明も割といいやつじゃん。ちょっと狩りの時がイケイケなのと考えなしのところはあるけど、根は良いやつだし、積極的なのは悪いことばかりじゃあないしな。
勝負を挑まれた時には困ったけど、終わってみれば後を引くこともない性格だし、これからもうまくやっていけそうな気がする。
純子は……機嫌も直ったみたいだし、一緒に帰ってくることもできた。まだうちとけることはできてないけど、いずれは仲良くなれるだろう。
「よし。滑り出し順調」
窓から西日が差し込み、もうすぐ日が暮れだすのが分かる。
それじゃあ……と考えて百点ポイントがどれだけ貯まったかチェックすることにした。やっぱりこれが一番きになる。
「百点カード!」
目の前に百点カードがあらわれた。現在ギルドカードと連携中だ。百点ポイントは10ポイントになっていた。
「あいつは一匹5ポイントになるのか。小物よりもらえるポイントが多いんだな」
このポイントもステータスアップに使おうか? ……と考えて百点カードの冒険者ギルドのボタンをポチッと押した。冒険者ギルドのメッセージボードが現れステータスが確認できる。
百点ポイント10、銅級、冒険者レベルF、力の一撃
ステータス、HP:80/80 攻撃力:139 防御力:80
速度:85 知力:100 器用:80、
スキル獲得 ステータス加算
「百点ポイントでステータスアップをしようかな。それとも100まで貯めて何かスキルを得ようかな?」
やっぱり、たった10ポイントしかないのだ。早めにステータスを上げよう……それとも……。
ここは迷うところだった。
その時ふと今日、手に入れた商業ギルドのカードを思い出した。
「連携? これとも連携するのかな?」
俺は商業ギルドの会員証を取り出した。そして百点カードにふれさせる。
機械的な音声が脳裏に響いた。
「連携しますか? 二枚目のカードとの連携には10ポイントが必要です」
そしてメッセージボードに、『はい/いいえ』の表示。
俺は少し考えてから『はい』を押した。
「二枚目のカード、商業ギルドと連携しました。三枚目のカードとの連携は100ポイント必要です」
百点カードに商業ギルドボタンが出現している。百点ポイントは0になっている。
「ええー! 連携したよ。どんな機能があるのかな?」
俺は驚きと期待に胸を膨らませた。
商業ギルドのボタンをポチっとさわる。メセージボードが切替った。
百点ポイント0、銅級、商人レベルF、0ゴルド
お取り寄せ 買い取り 通貨投入 通貨取り出し
「なんだこりゃ?」
俺はメッセージボードに表示された項目を順番に確認してみる。
お取り寄せ、買い取り、通貨投入、通貨取り出し……。
「とりあえず、お取り寄せって何だ?」
試しにボタンを押してみると、新しいウィンドウが開いた。そこには商品リストらしきものが並んでいる。
「パン、干し肉、リンゴ……日用品もあるのか。なんだか、便利そうじゃん」
試しに「パン」を選択すると、さらにメッセージが表示された。
『商業ギルドでの取引にはゴルドが必要です。現在の所持金:0ゴルド』
「……あ、そうか。金がないとダメなんだな」
次に『買い取り』ボタンを押してみる。すると、別のウィンドウが開いた。
『買い取り可能なアイテムを所持品から選んでください』
「って言われても、今手持ちのアイテムって……」
俺は部屋を見回した。ストックしてある回復ポーションが机の上に転がっている。
「こいつで試してみるか」
百点カードを角に向けると、機械的な音声が響いた。
『回復ポーション(品質:並)を200ゴルドで買い取ります。売却しますか? はい/いいえ』
「おお、これはすげえ! ここで売れるのか! でもこれ買う時400ゴルドのやつだぞ」
俺は迷った末に『はい』を選択。すると、ポーションが消え、画面の所持金が『200ゴルド』になった。
「おお……金が増えた! これなら、いつでもどこでも売れるってことか?」
買い戻そうとするとポーションの買値は400ゴルドだった。
「買値は売値の半分かよ!」
売り買いでもうけは出そうにない。
さらに『通貨投入』を試すと、手持ちのゴルドをこのカードに貯めておけるようだ。そして『通貨取り出し』はその逆。つまり、商業ギルドのカードを財布代わりに使えるってことらしい。
「でもこれは、結構便利だな。狩りをしてその場で売れれば、運ぶ手間が省けるぞ。でも、依頼達成にはならないか……」
金を安全に保管できるし、商業ギルドボタンをポチッとすれば物を売ったり買ったりできる。これまでギルドに持ち込まないといけなかったものが、部屋にいながら取引できるってわけだ。
「よし……これ、使いこなせばかなり役に立つんじゃね?」
俺はワクワクしながら、新しい機能の活用法を考え始めた。
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