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題名、変更しました。

「ダメスキル『百点カード』でチート生活・ポイカツ極めて無双する。」です。

挿絵(By みてみん)



「わりーが他をあたってくんな! スキルの使い方が分からねーんじゃ組むメリットねーからな」


 正体不明のスキル『百点カード』


 今まで散々仲間に馬鹿にされ、仲間外れにされてきた弱小冒険者ーー卓郎の持っているスキルだ。 彼は、使えないスキルのせいで幾多のパーティを追放され続けてきた。今日もまた試しに組んでくれたパーティから首を言い渡されたところである。

 駆け出し冒険者レベルの実力で使える便利スキルが何もない卓郎と組みたいと言ってくれる冒険者は珍しい。パーティ不採用の経験は慣れっこなのでショックは少ないものの、明日からまた一人かと肩を落として深いため息をつく。


 またソロで活動しながら入れてくれるパーティを探そう。スキルさえもっとマシな物ならこんな事にはならなかったのかな。…………なんだい? 『百点カード』って。


 『百点カード』と心の中で唱えると『百点カード』が手の中に現れる。……ただそれだけのスキル。卓郎が、表に『百点』と書かれ、光でできているような手のひらサイズのそのカードを怨みがましく見つめても、手の中のそれはピクリとも反応しない。


 13歳の『鑑定の日』、町中の子供達が教会に集まり、自分のステータスやスキルを見てもらったあの時からもう一年が過ぎ、今だに卓郎は、そのスキルの使い方が分からないままでいた。


 その間、ギルドで冒険者を始めた卓郎は何度も出会いと別れを繰り返し、会う人達からは『ダメスキル持ち』のレッテルを貼られている。


 一日の仕事ーー狩りーーを終えて、また一人取り残された卓郎は、屈辱に耐えながら目頭に熱いものを感じ、鼻を擦る。

「まだ若いんだから、どこかで何かスキルを覚えりゃ良いじゃねーか! 授業料はたけーけどな」

 去り際に言われた言葉が脳内で木魂する。


 この世界は実力主義だ。持っているステータスやスキルでその人生が大きく左右される。ステータスもスキルも努力をすれば伸びたり得られたりするのだが、ステータスを伸ばしたり、スキルを覚えるのは大変で、相当な努力を要する。

 ステータスは年齢に応じて自然に伸びたり、老化によって衰えたりする部分もあるのだが、スキルは金を払ってそのスキル持ちの指導者に教えてもらわなければ普通は身につかない。

 生まれながらに持っているかいないかは、スタートラインが違うのだからかなりの影響があるのは言うまでもない。


 スキルを覚えるための授業料は馬鹿高い。最低ランクに分類されるスキルでも、授業が行われるような利用価値のあるスキルを身につけるには、最低でも一ヶ月分の生活費位、つまり二十万ゴルドはかかるのだ。一年間働いても手元にはそんな大金はありはしなかった。


「これどうすんだよ……こんなカード出せるからってなんの役にも立たねーじゃん!」


 多少でも役にたつスキルだったら良かったのにな……。使い方もわからないんじゃどうしようもないよ……。


 情けなさそうに背中を曲げる卓郎の首にかかった『ギルドカード』がぶらりと揺れて、手にした『百点カード』とぶつかったその時のこと、それは起こった。


 『ギルドカード』はギルドに入った時に渡される証明書のようなものだ。ギルドのランクや討伐経験、各種ステータスなどの個人情報を記録している魔道具のようなカードで、一見名前とランク以外は目視できないが、ギルドの専用読み取り機に掛ければ個人の情報は丸分かりだという優れものだ。


「このカードと連携しますか? はい/いいえ」


 目の前に音声と共にメッセージボードが現れる。


 なんだコリャ? 


 何が起こったのか分からないが『百点カード』と『ギルドカード』が触ったことでこの現象が起きたのだろうと推測する。


『はい』……で良いのかな? これが『百点カード』のスキルなの? とりあえずスキルを使うには『はい』だよね……。


「はい」


 声に出して言ってみるが目の前のメッセージボードに変化はない。じゃあ押せば良いのかな? 『はい』の所を押してみると、連携しましたーーという音声が流れて、メッセージボードが消えてなくなった。


 手に残った『百点カード』を確かめるとカードの片隅に四角く縁取りされたギルドカードの表示ができていた。


 連携しますか? ……という音声が思い出される。


「連携したからかな?」


 一人ごちて、これはなんなのだろうと思って押してみると、また目の前にメッセージボードが現れた。そこにはギルドカードに記憶された卓郎の個人情報が記されている。勿論ギルドランクは一番下、S、A……E、FのうちのFランクだ。それはギルドに登録してからこの一年、卓郎がランクアップしていないことを意味している。まじまじとメッセージボードを見つめて小さく呟く。


「百点カード、百点ポイント237、銅級、冒険者レベルF、ステータス、HP:80/80 攻撃力:90 防御力:80 速度:85 知力:100 器用:80、へー、自分のステータスがいつでも見られるんだなあ。……便利と言えば便利かもしれないけど、ギルドで教えてもらえるからなあ……」


 ステータスの数値は18歳冒険者の平均値が100と言われている。『百点カード、百点ポイント237、銅級』の部分は意味不明だ。


 自分のステータスが分かるだけならなくても同じ。やっぱりダメスキルには違いないのかと肩を落とす。まあそれは、散々言われてきたことだと思い直して、クローズと唱えてカードを消した。


 とりあえず初めてスキルを使えた事を喜ぼうと思う。それにしても『百点ポイント237,銅級』という表示は何なのだろう?

 ……そんなことを考えながらギルドの掲示板をチェックするが、残念な事にパーティメンバー募集の張り紙はなかったので、今日はギルドハウスを後にする。


 卓郎は明日の日雇い募集に加わる事で新しいパーティを作れたら良いなと願った。


 ギルドの日雇い募集は、ソロの冒険者を集めて一緒に仕事をさせることで、新パーティの結成に繋げる事を目的としたギルドの政策依頼である。常時買取依頼の獲物を多人数のパーティを組織して依頼として請け負わせるので、難易度は低いし、お見合いをすることがメインの目的なので、狩りの効率も悪くて取りぶんも少ない。


 参加者は大体卓郎のようにパーティから追い出されるような役立たずか、協調性のない問題児か、冒険者を始めたばかりでまだパーティを組んでいない新人の一部か、メンバーを増やしたい少人数パーティか、あるいは特殊な目的を持った曲者かである。


 そんな人間達の集まりでもパーティに加わりたいと願う者が集まることで僅かばかりのパーティが結成されてきたのも事実であった。結成は安く持続は難しであるけれど……。








ここまで読んでいただきありがとうございます。本日4話投稿予定です。12:10、16:30,19:30です。


この小説を読んで、少しでも「続きが気になる」「面白い」と少しでも感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです 。


感想のお手紙で「面白い」などのコメントをいただけると最高です!(本人褒められて伸びるタイプ)


お手数だと思いますが、ご協力頂けたら本当にありがたい限りです <(_ _)>ペコ



10/2書籍発売 『異世界スクロール職人はジョブを極めて無双する』もよろしくお願いいたします。


7/8 『転生したら陰陽師でした。まったりスローライフが望みなのですが』穏やかなる陰陽術師、異界知識で静かに無双中 新作投稿します。よろしくお願いいたします。

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