第97話
朝食を食べ終えた所で、続々とロージアン「冒険者ギルド」支部内
大会議室には、続々と募集に応じての辺境地にやってきた冒険者達が
集まってきていた
その中には、もちろんハインツ達の姿もある
内部拡張されているためか、会議室も拡張されているため
300人程度なら余裕で入れるほどのスペースがある
不安と緊張が入り混じる表情を浮かべる冒険者達の種族は、人間種族以外
多種多様の男女が見受けられる
それは種族のサラダボウルと表現できそうなほど多彩だ
室内の右端が演壇のように一段高くなっており、中央部分の壁は
大型の黒板が埋め込んである
また、ロージアン領内の地図と首都内の地図らしきものも
壁に貼り付けられていた
そして、その手前にはテーブルが横向きで置かれており、それに
沿うようにイスが並べられている
ハインツ中心メンバーは、予め決められていた通り最前列の席に着いていた
予定時刻通り開始時間となったのか演台に、ロージアン『冒険者ギルド・
ギルドマスター』エンゲルベルトを筆頭にして、
『サブ・ギルドマスター』アルヴィン、『訓練教官及び素材鑑定ギルド職員』
クロワ、最後に『ちびっこ先生』という愛称のベイセルが登壇した
全員が揃うと同時、会議室に続いて2人の人物が入室してきた
1人は白髪が混じり始めた黒髪を短く刈り揃え、貌は歴戦の戦士を
思わせるような厳しい
年齢は50代半ばくらいだろうか
2人目は、30歳前後といった感じの青年でその眼光は鋭く
射抜くような視線を放っている
共通しているのは、2人とも身につけている鎧は装飾性よりも実用性を
重視したものである
鎧には幾つもの傷痕が刻み込まれており、それだけ修羅場を
経験してきたという証があった
その2人は、歴戦の英雄を彷彿とさせる佇まいをしているためか、
ハインツ達中心メンバーを含めた300人の冒険者達は思わず
背筋を正し てしまった。
現にエンゲルベルト達が2人に対して軽く一礼する姿を見せているため、
それが決して勘違いではないことが窺える
その英雄のような風貌をした2人が演台の前まで歩み寄ると、エンゲルベルトが
咳払いをして話を始めた
「さて、時間も頃間だ。まずは自己紹介からさせて貰おうか
私はロージアン『冒険者ギルド・ギルドマスター』を
務めているエンゲルベルトだ」
先に口を開いたのは、頭髪と日焼けをした肌で二重瞼の眼の
騎馬騎士のような精悍な風貌が特徴のるエンゲルベルトだった
ハインツに取っては今更だが、その堂々とした態度から募集に応じた
冒険者達はエンゲルベルトが確かな実力を備えた『ギルドマスター』
であることを 肌で感じ取っていた――
少なくとも執務室でふんぞり返っている様な輩とは格が違うという事を
「同じくロージアン「冒険者ギルド・サブ・ギルドマスター」を務めている
アルヴィンだ」
続いて言葉を発したのは、ロージアンまでハインツ一行達を
案内したアルヴィンだ
赤みがかかった髪をオールバックにした細身な体格の若い青年だが、
同行途中に見せた「冒険者ギルド・サブ・ギルドマスター」としての
風格を漂わせた姿を、すでに一癖も二癖もある冒険者達は目撃しているため
外見で侮る様な素振りは一切見せなかった
アルヴィンという人物もまたかなりの手練れ・・・
特に実戦経験はかなりあると推測したからだ
「同じくロージアン「冒険者ギルド訓練教官及び素材鑑定ギルド職員」クロワよ」
次に声を出したのは、腰まで伸びたウェーブのかかった栗色の髪に青い瞳、
二十歳後半の女性ギルド職員のクロワだ
黒いタイトスカートに白シャツ、その上に革鎧を装備というハインツ中心
メンバーが初貌合わせした時と同じ格好だ
それ以外の冒険者達は初貌合わせだったが、良くあると言うべきか
下品な野次でも囃し立てる口笛もすることは無かった
いや出来なかったと言うべきか。
300人の冒険者達は、何か本能的に感じ取ったのだろう。
まるで肉食獣に睨まれた草食動物のように、気圧されてしまっていた




