第91話
アルヴィンは目を逸らし窓の外を見つめる
「少ないよりは、多い方が良いんじゃないかな?」
アルヴィンは、クロワの問いにそう応える
その声はどこか遠くの方を見ているようで、その貌は心ここに
あらずといった様子だ
「書類には300人分の冒険者達に関しての書類もあるから、全て眼を
通しておけよ
・・・それとハインツの、良く来てくれたな歓迎しよう」
「ギルドマスター」エンゲルベルトは、そう告げると微笑みつつ
椅子から立ち上がり、ハインツ一行の方へと歩み寄ってきた
アルヴィンは、クロワに突き出すように差し出された書類の
束を受け取っていた
そして、エンゲルベルトはハインツの目の前まで近づくと
その右手を差し出した
すると、ハインツが代表として前に出ると右手で握手をした
「これからよろしくお願いします」
ハインツは緊張しつつも笑顔で応えた
エンゲルベルトはそんなハインツの手を力強く握り返し、ニカッと
白い歯を見せ爽やかな笑顔を浮かべた
エンゲルベルトは手を離すと、クロワと呼ばれた女性に視線を向けた
「こっちも紹介しょう
ロージアン「冒険者ギルド」職員、訓練教官及び素材鑑定など
兼任してるクロワだ。
・・・クロワ、この冒険者パーティーがこれからロージアン「冒険者ギルド」支部
専属パーティーとして、ロージアン近辺の魔獣や魔物の調査及び討伐などを
行う事になった。挨拶してくれ」
エンゲルベルトはクロワにアルヴィン達の事を軽く紹介した
「ギルドマスター」エンゲルベルトがそう言い終えると同時に、クロワは
ソファから立ち上がってハインツの方に近づき握手を交わした
「ロージアン「冒険者ギルド」にようこそ
私はクロワ、よろしくね」
クロワはハインツに向かって微笑むが、眼差しがまるで
品定めでもするかのような鋭いものだった
思わずハインツ一行は身体が強張ってしまう
アルヴィンとエンゲルベルトは、その様子を横目で見つつ、互いに顔を見合わせ
苦笑していた
そしてクロワは握手を終えると、さっさと書類の山があるデスクへ戻っていく
「クロワは、普段からあんな感じだから気にしなくて大丈夫さ
さて、俺は色々と報告しなきゃならないから、ハインツは受付のアイラから
説明を受けると良い
何かあれば俺かクロワに言ってくれればいい 」
アルヴィンは、ハインツ一行にそう伝えた
「分かりました、ありがとうございます」
ハインツはアルヴィンに感謝の意を伝えると、一行は執務室から退出した
「ギルドマスター」執務室には、アルヴィン、クロワ、エンゲルベルトだけが
残りしばし静かな時間が流れた
「ねえ、私が見た所、彼のメンバー全員が新人冒険者とは
到底思えないんだけど・・・
特に黒髪の2人は、相当な使い手じゃない?」
クロワはハインツ達が出て行った扉を見つめながら、アルヴィンに
問いかけた
表情は真剣そのもので書類をチェックしていると見せかけながら、
ハインツ達の様子を観察していたようだ
「ここまでの道中はどうだった?」
エンゲルベルトが続けてアルヴィンに質問した
アルヴィンは肩をすくめつつも口を開いた




