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奇妙な冒険者  連載版  作者: 大介丸
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第88話

『知者殺し』という名で呼ばれるこの武具職人は、一般武具職人の様に自前の工房を持ちそこで作られた製品を商品として陳列した店を 出店しているわけではなく、

 流れ歩く行商人のような形で依頼を受けては武具の修理や製造を行いつつ

 各地を転々としている

 修理や製造を行いつつ各地を転々としている

 その為か彼の素貌を知る者は少なく、彼自身も滅多に自分の店を

 持つ事がない

 だが、その職人能力技術は超一流であり、その作品を欲しがる貴族や

 冒険者などは多い

 超一流の職人がこの辺境に『定着』したいと望んているとなれば、事情を

 知っている者からすれば喉から手が出るほど欲しい人材である

 だが、ベイセルと他の冒険者達はガウルテリオの事を詳しく知らない者が

 多いためか単純に職人が居つく程度にしか思っていない様子だった



「ちびっこ先生は辺境生活だから詳しくは無いと思うけど、『研ぎ師』は

 冒険者や鍛冶屋からはあまり必要とされてないって聞いた事ない?」

 髪と瞳が蒼色の風貌のジヌディーヌが唐突に、ヘイゼルに尋ねた

「この辺境では聞いた事無いが‥何でだ? 

  あとちびっこ先生は余計だ」

 ベイセルにはあまり馴染みのない情報のため、首を傾げるしかなかった

「鍛冶師が丹精込めて打った剣は鍛冶師にとっての誇りであり、それを

 簡単に他者に見せびらかすような真似はしないからよ

 冒険者も刃が零れれば自分で直すための研ぎ石も持っているし、

 そして何より、新しい剣を買うのが一般的とされているわ」

 ヘイゼルの様子に、ジヌディーヌの表情には苦笑いが浮かぶ

 その言葉に幾人かの冒険者が思わず同意したように無言で頷いていたが、

 東部地域で活動していた冒険者達は『価値のわからん冒険者どもめ』と

 言わんばかりの表情を浮かべている




「・・・中央諸国などではどうか知らんが、ここら辺境地域じゃあ『研ぎ師』は

 需要あるぞ?

 特に魔獣素材を使った武具はここらでは何度もメンテナンスする必要のある

 物が多い

 それにここらで活動する冒険者・・・はそもそも居ないに等しいため、

 代わりに魔物の間引きをする領兵は使い物にならなくなった

 武器や防具をそのまま使っているのが大半で手入れもままならない有様だ。

 鉄の斧一本、鍬一本が貴重品な辺境ではそんな常識は通用しねぇぜ?

 この辺境に生きる人間には、その辺に転がっている武器でも立派な宝だからな!」

 ベイセルの返答に、ジヌディーヌが少し考え込み口を開こうとした

 が、先に鋭い眼つきをしたガウルテリオという名の冒険者言葉を発した

「新調する過程に残念ながら『研ぎ師』の仕事は含まれてないんだ

 大多数の鍛冶師は、打った剣こそが最高の出来栄えだと自負しているため、

 打った作品を他人に触れられるのを嫌い

 それを研がれるとなるとプライドが許さない」

 ガウルテリオがそれについて何か思う事があるのか、苦い表情をしながら応える

「悪くなれば買い替えるというのは、言い方は何だが恵まれた

 環境で育った冒険者や金持ちの贅沢って奴だ」

 ヘイゼルは自信満々といった様子で応える

 その言葉を聞いた大多数の冒険者達は思わず言葉を失う

 辺境に生きる者達にとっては、武具や道具類は貴重品であるという認識で

 武器防具も定期的にメンテナンスが必要とする考えが一般的なのだ


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