第83話
「凄い! おいらが育った村とは全然違う!」
タルコットが大声を出して感動を表している
隣にいるカルローラは、無言のままその景色に見入っていた
それは、首都に入った300人の冒険者達も同じ様子だった
恐らく辺境地域なのでもっと質素で寂れた感じを想像していたが、
予想以上に 立派な都だったことに驚いているようだ
ベイセルとアヴィンは、そんな冒険者達の様子を見ながら
満足そうな表情を浮かべていた
「では、ロージアン「冒険者ギルド」支部に案内するよ
これからは支部に寄宿しながら活動して貰う事になる」
アルヴィンがハインツにそう言うと歩き出す
「あの・・・300人全員ですか?」
ハインツが心配そうな顔をしながらアヴィンに尋ねた
その質問に対して、ベイセルが横から口を挟む
「 『冒険者ギルド』の建物は古代魔道具の1つだよ
人数に応じて内部が拡張されるんだ」
ベイセルの説明にハインツは納得したようで安堵の
表情を見せた
暫く大通りを進んで歩くと、木造二階建ての
建物が見えてきた
一見すると食堂のような感じの建物だが、上には冒険者が
シンボルとなっているエンブレムが掲げられている
建物の出入り口は、両開きの押し戸となっていた
「ほら、ちびっこ先生の職場だよ」
アヴィンがベイセルの方を見ながら告げる
「 職場じゃなくて、「冒険者ギルド」な!」
ベイセルはアルヴィンの言葉にすかさず反論しつつ、
ハインツ達を建物へ促した
アルヴィンが扉を開けると、中は広々としており天井も高く、
奥にはカウンターがあった
カウンターでは『冒険者ギルド』職員の制服を着込んだ
女性職員が1人受付をしていた
女性は二十代前半に見える金髪碧眼の美人だ
その手前のフロアには椅子やテーブルがいくつか
置かれている
が、やはり冒険者となる人手が不足しているのか、他所の
「冒険者ギルド」なら冒険者と思われる男達や女達が酒を飲んでいたり
するのだが、今は誰一人いない
その光景が、ロージアン「冒険者ギルド」支部の閑散とした
状況をより 一層際立たせていた
また、先ほどのベイセルの説明通り「冒険者ギルド」の建物が
古代魔道具なため、内部空間が300人の冒険者達を受け入れるのに
十分な広さがある事に、ハインツ達は驚いていた
更に驚くことに、その内装が意外にもシックな作りになっている事が
驚きをさらに増していた
「サブ・ギルドマスター」アルヴィンとハインツ達一行を見て、
一瞬驚いた表情を見せた女性職員だったがすぐ笑顔になり口を開いた
「 お疲れ様です 『サブ・ギルドマスター』」
女性職員がそう挨拶をした相手は、アルヴィンだった
「ただいまっと 随分久しぶりに辺境から遠出したけど、
やはりここがいちばん落ち着く
執務室にはクロワや「ギルドマスター」はいている?
それとも「冒険者ギルドと地域住民合同訓練」の協力を求めた
各集落の村長との話し合いに出ているのかな?」
「サブ・ギルドマスター」アルヴィンは、女性職員に尋ねながら
辺りを見渡している
「今、丁度お2人とも執務室にいらっしゃいます」
女性職員が笑顔でそう告げると、「サブ・ギルドマスター」アルヴィンは
納得した様子で笑みを浮かべる
「なら丁度良い
俺をほっといて先に戻った「ギルドマスター」に、専属パーティーを
案内した報告を 済ませようか。構わないかい?」
「サブ・ギルドマスター」アルヴィンは、そう女性職員に訊ねると、
ハインツ達中心メンバーの方を見る
「はい!勿論です
早速ご報告をお願いします」
女性職員がそう返事をすると、アルヴィンは満足げに微笑んだ
「では、ハインツ達中心メンバーは、俺が執務室に案内するよ
その間に、後の300人の冒険者達にはちびっこ先生とアイラが
簡単なレクチャーを行っていてくれ
皆が落ち着いたら、ここで待機するように 」
アルヴィンは、そう言うとカウンターの女性職員とベイセルに
声をかけた
「畏まりました」
カウンターの女性職員は、笑顔でアルヴィンに
向かって頭を下げた
「え゛、俺もかっ!?
ギルド職員でも冒険者でもない俺に、さっそくそんな事させるのか?」
言葉を聞いたベイセルは、思わず声を上げた
だが、アルヴィンはベイセルの声に反応することなく、ハインツ一行を二階へと
案案内していった
ベイセルは、そんな「サブ・ギルドマスター」に文句を言いたい
気分になったが、 既にアヴィンは、「ギルドマスター」の執務室へ向うべく
階段へ向かっている




