第75話
「普通に魔獣退治とかさせてるじゃんか!
アルヴィンの兄ちゃんも兄ちゃんで、「大冒険者ごっご」とか呼称しているけど、単なる討伐だよ」
その子供が、怒っているのか呆れているのか判断しかねるほど微妙な表情をしつつ、ハインツに言ってきた 他の村民達も、それを聞いて笑っていた
「はっはっはっ さすがちびっ子先生だ!」
誰かがそう言った
「その呼び名はやめろって言ってるじゃんか!
ロージアン領内の魔物や魔獣などの知識があったのは
死んだじいちゃんの蔵書のおかげなんだ 俺が知っているのは、ほんの
一部だけなんだぜ」
少年は少しむくれつつも、その口調から嫌がっていない事がわかる
その様子からこの場所では、かなり信頼されている少年の様だった
「 『実際の生態を見ないとわからないもんだぞ』とか言って、俺や
「ギルドマスター」を唆して「大冒険者ごっご」を立案させたのは、
ちびっ子先生だったじゃないか」
そう声をかけてきたのは、他の村人達と歓談を終えて近づいてきた
「サブ・ギルドマスター」アルヴィンだった その発言を聞いて、
周囲でまた笑いが起こっていた
どうやら、少年の事を愛称で呼んでいるのだろう
「唆してなんかいない!
子供向け「大冒険者ごっご」を勝手に立案したのはアルヴィンの兄ちゃんや
「ギルドマスター」のおっちゃんじゃねぇか
特に春と冬の「冒険者ギルドと地域住民合同訓練」行事内で行うたんなる
夜間討伐の事を「夜間魔境生態観察」名称変更して実行するのは
どうかと言い出したのはアルヴィンの兄ちゃんだからな」
ちびっ子先生の愛称で呼ばれている少年が、アルヴィンに向かって
反論した
この少年の言う通りだとすると、 エンゲルベルトとハインツが言い出しっぺという事になるが、ハインツが聞いている限りでは
そんな感じはしなかった
それにしても、確かに冒険者らしいと言えば冒険者らしい
イベントだと言えるかもしれない
「その行事には、子供も参加しているんですか」
ハインツは、少し驚いた声を上げつつ「サブ・ギルドマスター」アルヴィンを
まじまじと見つめてしまった
「参加というか、ちびっこ先生に騙されたんだ
『冒険者ギルドが、俺達子供向けにも楽しい行事を主催するみたいだぜ
参加すれば菓子と銅貨二十枚』とかなんとか ・・・」
それに応えたのは店内で食事をしていた子供達の1人だった
苦虫を噛み潰したような表情だが、様子からして本気で
嫌がっている様子は無く、むしろ子供達が喜んでいるようだった
「そこぉ!騙したとか言うな
菓子と銅貨二十枚というご褒美に釣られて燥いでいたのは
誰だったかなぁ!?
俺は、ただその話を聞いて知らせただけだからな!
それとちびっこ先生とか言うな!」
ちびっ子先生という愛称の少年が、同年代の子供に向けて抗議した
その言葉にこの店にいる子供達は笑っていた




