第72話
「辺境の村にしては、比較的に活気があるんだな」
頬骨の尖った貌の冒険者が感心した様に口を開いた
それに対して、髭面の男冒険者も、顎に手を当てた
二人とも30代半ばで、それなりに修羅場を潜ってきた
雰囲気を醸し出している
「辺境といっても、ここらは弱小国群や都市国家群が集まる
国境付近らしいぜ」
その横で、早速屋台で買い食いをしている小柄な体格の男冒険者は、モグモグ
食べながら説明し始めた
三人は互いに面識がありそうな様子だが、今回の募集に応じた
初貌合わせ同士の冒険者だ
「・・・それはつまり、ここら辺一帯が魔境に近いから魔獣や怪物の素材や
魔石目当ての商人や、それらを取引できる業者が多く集まってるって事だよな」
ひげ面の冒険者は、そう口にしながら改めて周囲を見回している
「屋台のおっちゃんから聞いた所、ロージアン国土は、馬を交替しながらで
全力で走らせても、端から端まで渡り切るのに5週間以上かかるらしい
おまけに、この国境付近から南西側の麓にある首都との間は平地は
平地らしいんだが、強力な魔物や魔獣が徘徊する大平原が広がっていて
あんま安全とは言えない状態なんだとよ」
小柄な体格の男は、焼き鳥を食べながら話を続けた
「それじゃあ、この町の人達は安全な街道の往来だけで暮らしている
訳なのかい?」
長身の男が疑問を口にした
「ここ数年はゴブリンの群れも徘徊してるらしくて、それで危険だから
首都へも出ていけないみたいな話をしてたな
宿場町から首都まで、徒歩で4週間くらいかかるんだと」
小柄な体格の男は、肉串を手に持ちつつ応えた
「ゴブリンの群れが徘徊してるとは、あんまり穏やかじゃないな」
それを聞いていた別の中年の戦士風の風貌をした冒険者は 腕組みをしながら
口を開いた
この冒険者は30代後半で、それなりに経験を積んできたベテランの
雰囲気を出している
「ただでさえ数多いし、しかも狡猾で 厄介な魔物だよな・・・
やはり報酬は安いし酒代にもならねぇから、ここも討伐依頼を受ける
冒険者はいないって事か」
頬骨の尖った貌の冒険者がうんざりしたように溜息をついた
「いんや、そもそも討伐依頼を受ける冒険者そのものが居ないみたいだぜ?
そのおっちゃんの話によれば、周辺の弱小国群や都市国家群にも
居るか居ないか、 そもそもそ「冒険者ギルド」支部があるのか
どうかも分からない状態らしい」
小柄な体格の男は、手に持っていた肉串の最後の一切れを口に
入れながら応えた
「・・・最悪「冒険者ギルド」支部があるのは、このロージアンだけっていう事も
考えられるのか」
髭面の男は少し考える素振りを見せて、肩をすくめた
「そんな状況なら仕方ないな――それでも新天地を求めて募集に応募した
俺達にとっては幸運だったのかもしれない」
頬骨の尖った貌の冒険者が苦笑しながら呟いた
それぞれの冒険者は、互いに顔を見合わせて その通りだと言わんばかりに、
大きく何度も首を縦に振った




