第62話
一方その頃、2匹目の怪物人外生物が棲処としていた廃坑跡に向かっていた
カーリン達グループは、丘の側面に空いた洞窟へと辿りついていた
こちら側には、カーリンの他にローザ、カモサワ、ウルリーカ、テレンスがいた
「見張りらしき人外生物はいない」
静かに告げたのはウルリーカだった
「中から生存反応らしき臭いは無いぞ」
続けて応えたのは募集で集まったラウルフ族系種族の
冒険者だ
種族の特徴を生かしてか斥候職の役割を買って出てくれた
彼は、犬のような鼻をヒクつかせながら報告した
それを聞いた他の冒険者達も、各々で索敵を行った
結果、中にも周囲にも人外生物の気配が無い事がわかった
「大胆に突っ込んで薙ぎ倒すというのも結構だが、ここは慎重に行こう」
そう言ったのはカーリンだ
「そうだな
こういう場所が戦場になった時は、大抵罠が仕掛けられている
可能性があった
今回は俺は見た事がない人外生物の怪物が相手だからな
念のため慎重に行く事にしよう」
とカモサワが同意してそう言うと皆を鼓舞するように
先陣を切って歩き出した
他の面々もそれに続いていった
洞窟の中は暗く、ジメっとした嫌な空気が漂っていた
「なんだこりゃあ・・・」
カーリンは驚いた声を上げつつ、洞窟内の様子を見渡した
廃坑跡内部は元々の構造より変化しており、先が見えないように
微妙なカーブがあちこちに生じていた
また歩いても足音がせず、粘液で固められた凹凸のある通路のせいもあって
視界が悪くなっていた
触れればぺたりとくっつく、気持ちの悪い柔らかさをした床が、さらに
不安感を掻き立てた
そして何よりも気になったのはこの独特な匂いである 不快ではないが
慣れない臭さで、内部に突入したカーリン達は自然と貌を顰めた
「ふむ・・・これは何と無くだが問題の人外生物が迅速かつ、縦横無尽に
駆けられるようにしたんだろうな」
ウルリーカが壁に触れて触感を確かめた後、予想を口にした
それを聞いて皆が辺りを見回した
跳躍で脱出する事も出来なければ登る事も出来ないように、壁と天井が妙な
具合で歪曲をしている
「何だが、蒸し暑いな・・・外とはまるで違う」
1人の冒険者が口を開いた
剃髪の僧侶風の冒険者は、着ている僧服の胸元を摘まんでパタパタと
仰いで少しでも熱を逃がそうと試みていた
彼の名前は オレゲール
聖職者として神に仕える身でありながら冒険者稼業を続け、あの募集広告に
釣られた変わり者の1人だ
「・・・問題の人外生物は、さっそく俺達の侵入に感知しやがった!」
そう罵りながら告げたのは、悪人面の冒険者だ
名前はクリスティアン
「遠距離系」職なのだが、その職はセレネギル大陸でもペリアーレ大陸でも
聞いた事がない職「銃土」という謎の職業に就いていた
それもそのはず、クリスティアンはスタロール大陸から
このセレネギル大陸へと渡ってきたばかりだからだ
そして初めて冒険者ギルドで冒険者登録を終えた直後に、問題の
広告を眼にしてすぐさま飛びついたのだ
クリスティアンの手元には、スタロール大陸の斥候職なら
誰でも持っている「動体探知機」なる道具を持っていた
それが突如赤く点滅し始めたのだ
それを見たクリスティアンは、スタロール大陸では
珍しい武器ではない
ライフルと呼ばれる武器を取り出し、素早く構えた
その動作はまるで熟練した兵士を思わせるものだった




