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奇妙な冒険者  連載版  作者: 大介丸
50/168

第50話

 そんな騒動があろうとなかろうとセレネギル大陸中の冒険者達は、各迷宮都市の

 迷宮調査へと向かっていた

 そして、冒険者達が情報交換場所として常に活用している小さな酒場などでは、

 時たまに酒の肴代わりに話題になる事があった

 もし、これがこの様な大騒動がなければかなり注目されていたことは

 間違いなかった

「最近、ここらで活動していた『蹂躙』のクソどもの姿が見かけねぇな・・・

 あの生まれ付きの冒険者共は、真っ先に迷宮都市に向ったのか」

 と、ある冒険者は酒を片手に持ちながら呟いていた

「いなきゃいなかったで良いんじゃないのか?

 馬鹿げた冒険が好きな奴等なんだろ?」

 隣にいた別の冒険者が言った


 その冒険者は、まだ20代前半ぐらいの若さで、その顔立ちや体つきからして、

 冒険者としてはまだまだ駆け出しといったところだろう

 しかし、その言葉を聞いた他の冒険者達は、鼻で笑い飛ばした

 冒険者という職業は、基本的に実力主義であり、年齢などはあまり

 関係がない 実力さえあれば、若かろうが老いていようが関係ないのだ

 だが、この場にいる冒険者達の大半は、中堅以上のベテラン冒険者達だ

 彼等は、自分達が若い時に経験してきた苦労や挫折などを思い出して、

 嘲笑っていた

「お前さんみたいなひよっこは知らんかもしらんがなぁ、

 あいつらは、ただの無謀な馬鹿じゃなくてな、 ちゃんと考えて行動してるんだよ

 だから、あんなにもしぶとく生き残ってたんだぜ 」

 一人の冒険者が、その言葉を吐いた


 そんな他愛のない会話がたまに出るのは、その酒場だけではなく

 幾つもの酒場や「冒険者ギルド」支部などでの、冒険者同士の話の中で

 ごく普通に出てくるものだった

 北部の『冒険者ギルド」支部内では、冒険者同士が最近見かけない冒険者の

 噂をする事が度々あった

「 そいえば『戦慄の牙』クランの連中や『歩く幽霊』パーティーの野郎共も

 姿が見当たらねぇな どうしたんだろうか」

 と、ある冒険者が呟く


「一足先に何処かの迷宮都市へ向かったんだろ?

 あいつらは、安くて危険度の高い依頼すら喜んで引き受ける

 昔ながらの冒険者だ

 それにしても、俺達が若い頃に比べて、冒険者達の質が落ちたってのが、

 よくわかる

 昔は、もっと冒険者ってのは、こう、熱い魂を持ってたもんだったんだが、

 今の冒険者ってのは、何だかなーって感じだ 」

 と、その冒険者の隣の席に座っている冒険者の言葉に、その冒険者の

 仲間の冒険者達は、苦笑を浮かべていた

「確かに、昔のこの北方で活動していた冒険者ってのは、熱かったよな

 今はほとんどが、その熱さを忘れちまっていたが・・・今回の騒動で

 昔ながらの情熱が戻ってきたみたいだし、 また昔のように活気溢れる

 冒険者達の時代が来るかもしれねえな」

 そう言って、一人の冒険者が、ジョッキに入っている

 火酒を飲み干した


 そして、セレネギル大陸南部地域にある都市の酒場でも、この地域を

 主に活動していたある冒険者達の姿が見かけない事をやはり

 話題に出していた

 この酒場では、いつもなら10人近くの冒険者や傭兵達が集まってきて

 騒ぐのだが、この騒動のためたったの5人の冒険者しか集まっていなかった

 その5人は、全員30代後半ぐらいの男女で、全員が屈強な冒険者達だ

「 『修羅の志願者』クランメンバーらも、もうこの辺りにはいないようだ

 何処かの迷宮都市に向かったのかもしれないな」

 と、一人の男が言う


 言葉を発したその冒険者はこの周辺の地域では、それなりに名の知れた人物で、

 冒険者仲間からも尊敬されている存在だ

「 『暗闇に轟く伝道者』クランメンバーは、この騒動直前に『西部へ旅行する』とか

 言って向かったけど大丈夫なのかしら?」

 と、その冒険者の仲間の女性が心配そうに言った彼女もまた、この近辺では

 有名な女性冒険者で、この酒場では彼女のファンも多い

 そんな彼女が言った言葉に対して、残りの冒険者達は不安そうな表情を浮かべる

 この冒険者達は、北部を中心に活動している冒険者達とは違い、南部辺境地域で

 活動している冒険者達だ

 そのため南部特有の問題や、厄介事に巻き込まれやすい

 そして、そのたびに精強な南部冒険者の力が必要とされている

 この酒場に集う冒険者達は、特にそういった面倒事に巻き込まれる事に

 慣れている猛者達だ


 この騒動勃発後、南部辺境地域の「冒険者ギルド」支部から主な迷宮都市に

 向けて精強な南部冒険者達が次々と向っていった

「 西部へ旅行? なんじゃそりゃぁ・・・

 そいやぁ、『霧の鷹』とつるんで良く魔獣討伐してる『片目の封印師』も

 いないな・・・ あいつらも何処行ったんだ?」

 と、冒険者の一人が言った

「またぞろ、危険度は高いわりには糞安い依頼を受けて何処かの地域に行ったか、

 物見遊山で迷宮でも行ったんじゃないのか」

 と、別の冒険者が言った

 その言葉を聞いた周りの冒険者達は、「あーあいつらならやりそうだわ」と

 口々に言いながら、笑い合っていた

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