第49話
『なぜここの場所は、俺達を迷宮調査に行かせてくれないんだっ!?』
血まみれになって拘束された冒険者が叫んだ
『 この国の「冒険者ギルド」支部は魔境開拓を第一優先にしろと
言ってきているはずだぞ!
許可もなく迷宮都市へと移動できると思っているのか!』
その冒険者の言い分を黙って聞いていた、領兵の中で一番偉そうな
人物が進み出て怒りをあらわにして怒鳴りつけた
『お前らには関係ないことだ!
俺達冒険者は自由に移動し、魔物や魔獣どもと闘って死ぬ覚悟がある!
自由がない冒険者なんて冒険者じゃない!! そんな冒険者なんて
死んだも同然だ!!!』
地面に倒れ伏した別の冒険者が言い返した
『どの様な訳があろうとも、秩序を乱す事は許されないのだ!!
もし「迷宮」での活動をしたいなら、「魔境」での開拓と間引きが
終わってからにしてもらおう!」
領兵の中で一番偉そうな人物が言った
この言葉に激昂したのは、拘束されていた冒険者の中でも、最も
苛烈な性格の持ち主であり、実力も抜きん出ていた冒険者だった
『だからって、迷宮調査に向かわせない理由にはならないだろうがぁ!!!』
その冒険者は叫び口汚く罵り、領兵の中で一番偉そうな人物を睨み付けた
「諸君冒険者達にとっては、この辺境に住む我が国の国民の命は
塵芥程度にしか思っていないのかもしれないが、 我々は国民の命を
護る義務がある」
悛烈な眼差しを向けられながらも、その領兵の中で一番偉そうな人物は
微動だにせず冷静沈着に言葉を返してきた
この騒動で400人近い冒険者が拘束され、辺境の地での生活を
余儀なくされた
執拗なまでの取り締まり行為が中央の「冒険者ギルド」総本部が知る事に
なると後に大きな波紋を呼ぶことになる
元々から辺境地域の「冒険者ギルド」支部と中央の「冒険者ギルド」総本部の
魔境に関しては温度差が激しく、総本部と辺境の「冒険者ギルド」支部との
軋轢もありその情報が伝わるのに時間がかかり発覚するまでにかなりの
時間を要した
中央「冒険者ギルド」総本部の長ルシアーノ=アルラは、それを知ると
激怒した
『セレネギル大陸の東部と南部方面の辺境地域内にて、「冒険者ギルド」所属の
冒険者達が捕縛される事態が発生したことは 誠にもって遺憾である
この件に関して支部を預かる「ギルドマスター」やご領主様方らは
どう責任を取るつもりなのか!』
と、問題を起こした辺境地域にある各「冒険者ギルド」支部の「ギルドマスター」や辺境領主に対して怒りの書簡を送ったのだった。
その対応は一一一
『全ての責任は、辺境地域の魔境関連の軽視を続ける中央「冒険者ギルド」に
あります
今回の件については、当方の落ち度は一切無いと断言します
また今後も魔境での開拓や間引きに影響が出るような事があれば、その時は
さらに断固とした処置を取らせていただきます』
中央総本部からの書簡に対しての辺境の各「ギルドマスター」は、
そう回答した
各辺境領主達は一一一
『 魔境開拓は我が領地とっては、重要な産業であり収入源です
また一定数間引きを行わないと「スタンピード」の発生率が高くなり、
もし発生すれば我が領地に多大な被害が出てしまいかねません
領民の命を護る事は我々の義務でもあり、そのためには多少の危険も
冒さなければならず、そのために、多くの冒険者に依頼をしています
それ故に魔境へと赴く冒険者の数はそう多くはない辺境とはいえ、今回の
『冒険者ギルド』総本部による大々的な迷宮調査告知によって、
さらに辺境地域で活動する冒険者が減少の一途を辿るでしょう
これでは辺境で暮らす民達や領地運営に深刻な影響が出てくるので、今後も
我が領地内では冒険者達の移動は徹底的に取り締まりを続けさせて頂きます
一一中央『冒険者ギルド』総本部は、「迷宮」の調査が最重要だと方針を決められていますが、辺境地域は眼の前に広がる「魔境」開拓が最重要です』
と、返答をした
これに対し総本部の一部幹部は、激怒する事となる。




