第45話
交易都市ルングーザ周囲は10mにも及ぶ高い石の城壁に囲まれている
都市周囲に点在する村落や街は、いずれも魔物や盗賊等の襲撃を防ぐ目的で、
石壁ではなく木の柵によって守られている
この場所が鉄壁ともいえるほどの防御設備を誇るのには理由がある
それは東西を隔てるリンガラム山脈が近いからだ
山岳地帯の中腹より上はほとんど人が踏み込めていない広大な森林場所が
多々あり、魔物や魔獣、そして怪物が棲息しているために
未開の地だ
棲息場所から這い出た魔物などは、近隣の町村を襲う可能性がある
実際幾度と無く魔物による襲撃があり、その都度周辺にある
村や町が襲われている
その度に討伐隊を編成して魔物や魔獣を討伐してきたが被害は
甚大であった
この山脈の周辺には、他に人の住める場所は殆ど無いと
言って良い
山を越えるには標高2千メートル級の連峰を徒歩で越えるか、もしくは
空を飛ぶしか方法は無い
空を飛ぶと言っても飛竜種の様なドラゴンを捕獲して調教しなければなず、
そのための資金は莫大になる
また、巨大な翼を持った魔物や鳥型の魔物が棲息しているために
リンガラム山脈の上空を超えて移動する事は、かなりの難易度だ
つまり唯一の移動は、徒歩で峠道や街道を通って進むしかないのだ
その為西部辺境地域との接点でもある交易都市ルングーザは、古くから
魔物などの襲撃を食い止める為の防衛拠点として機能していた
交易都市として発展するには、豊富な物資の輸送と防衛が欠かせない
しかし現状ではそのどちらも満たすことが出来ない
なので交易都市の交易品には、貴重な魔法道具も含まれる
だが高価な代物故に輸送コストが嵩む上に、魔物や野盗の襲撃に備えての
護衛費なども掛かる為、交易商人は護衛の冒険者や傭兵を雇う
それ故に交易都市ルングーザ「冒険者ギルド」には、他のギルドとは
違い常に多くの護衛依頼や配達依頼で溢れていた
交易都市ルングーザで山越えなどの準備で1週間が過ぎた頃、天空から
降り注ぐ日差しの中ハインツはカーリンはルングーザの東門の外にいた
2人の近くに幾台かの幌付きの荷馬車が停まっており、体格の良い御者が
ハインツに話しかけていた
「・・・実は集まった人数は100人ではなくて」
御者が何か言いにくそうな表情で話し出す
「少ないんですか?」
ハインツは、御者の話を遮って質問した
「 いいえ、募集に応じたのは全部で250人の冒険者達を
連れてきております」
御者は質問に答えた
ハインツは言葉を失い、カーリンの方を見る
そののカーリンは腕を組んで目を閉じ、考え込んでいた
「 100人じゃなくて250人?!」
ハインツは驚きを隠せない
その数は「サブ・ギルドマスター」が冒険者を募った人数を
大幅に超えていたからだ
「はい、申し訳ありませんがこの人数がギリギリのラインでして、
現在各「冒険者ギルド」支部では迷宮関連の
探索メンバー募集で冒険者を集めております
なので、これ以上となるとどのギルドでも受け付ける事は出来ません」
御者はハインツに謝罪の言葉を述べ頭を下げた
「いやいや!? 募った人数を大幅に超えてますから!!謝る必要なんか無いですよ」
ハインツは慌てて応える
100人でも大人数なのだが、250人も冒険者が集まった事に
理解が追い付かなかった
「合流した冒険者達のほとんどは、大陸の西部や東部などの各「冒険者ギルド」支部でパーティーメンバー募集広告を眼にして集ってきた冒険者達です
中には北部小国群の開拓最前線各地で鍛えられた冒険者もいますよ」
御者がそう告げながら、唖然としているハインツにリストメンバーが載っている羊紙を手渡してきた
「・・・まさかと思いますが、「サブ・ギルドマスター」は大陸中の
「冒険者ギルド支部」にパーティーメンバー募集広告を出したり
してないでしょうね」
ハインツは恐る恐る確認をしながら、羊紙を受け取った
交易都市ルングーザにも、もちろん「冒険者ギルド」支部はある
都市や街と規模によるが、大体の都市部には『冒険ギルド」支部は存在する
商業や工業などのギルドは大抵が商人や職人達の組合であり、その
規模は小さい
交易都市ルングーザの商業ギルドは、東西を結ぶ交易の要所なので
当然のように大規模だ




