第41話
「メンバー全員に推薦状の事を含めて説明したのに、まさか全員が残るとは
予想外だったよ」
そう応えたのは、一癖も二癖もありそうな冒険者パーティーのリーダー、
ハインツだった
今現在ハインツがいるのは交易都市ルングーザの大通りに面した食堂で
昼食を摂りながら旧メンバーのカーリンと打ち合わせを
行っていた
「……まさか1人も抜けないとはなぁ」
カーリンが呟きながら、目の前にあるパンを小さく千切り口の
中へ運ぶ
ハインツは、あれから新メンバーを集めて一同の前で冒険者ギルド支部専属
パーティーについての詳しい説明を行った
また、その支部はリンガラム山脈を越えた西部辺境地域の人口400人ほどの
弱小国ロージアンという場所にあるとも伝えた
そして最後に、これから向かう目的地には、開拓も探索も進んでいない
『魔境』が広がっているためその開拓にも協力しなくてはならい事、
また未探索の「迷宮」が2つ存在している事も説明した
もちろんその説明に、各メンバーの推薦状も付け加えである
この話を聞いた面々の反応は様々だったが、それぞれの気持ちの整理や
決断のため二日ほどハインツとカーリン以外のメンバーに、
自由行動する様に指示を出した
その二日間にハインツとカーリンは旅の準備や情報集めを行い、他の
新メンバーがどんな選択をするのか予想できていなかったので、
二人で行動していた
その結果が今のこの現状である
ハインツとカーリンは、誰も残らないだろうと予想していたのだが全員が
このパーティーに残る事を決断した
大方の訳は、このパーティーにいると冒険者として更なる高みを目指せる
可能性を見出し、メンバーの実力や連携力、信頼度が圧倒的に高く、
何より居心地が良いと感じていたためだ
ハインツとカーリンはにとっても嬉しい誤算だったが、反面不安を
覚えてしまった
『俺達旧メンバーは、脚を引っ張ってないだろうか?』
新メンバーの実力が規格外すぎて、そんな事を思っていた2人は残る事を決めた
新メンバー達に素直に伝える事にした
すると意外な反応が返ってきた
『冒険者としての知識や腕は素人に毛が生えた程度しかない自分達の
実力を気遣ってくれた』
そう応えたのは、虎の着ぐるみを常時着用しているローザだった
『知識や腕は素人に毛が生えた程度しかないおいらに、このパーティーで
学ばせてくれている』
続いて言ったのは、タルコットだった
『このパーティーメンバーは、それぞれが自分が知らない知識を
持っていたりしたりしているので新鮮味です』
筋骨隆々なのに『回復土』のテレンスだった
『ボクはこのパーティーが心地良いから残るよ!』
元気良く応えたのは、カルローラだった
『まだまだ冒険者としては未熟な部分があるので、そこら辺を
補える様にこのパーティーで頑張りたい』
そう応えたのは、アトリーサだった
『私もアトリーサと同意見だな
他のメンバーが、それぞれ得意分野に特化しているので私は
苦手な分野でも頑張っていこうと思う』
ウルリーカがそう応えた
『我々2人も、何せこの大陸で冒険者稼業というものが初めてなので、皆の
意見を参考にして、色々と勉強させて貰いたいと考えています』
カモサワがそう応え、オオシマが同意するかのように頷いた
『私もこのパーティーが楽しいから、残りますね』
最後にヴァレーアが笑顔で答えた
「……思った以上にリーダーとして責任が重く圧し掛かっているな」
ハインツは苦笑いしながら、そう独り言ちていた
「・・・まずはこのルングーザで、ロージアンへ向かう準備を整えるのが
最優先だな
なぜ、ロージアン『冒険者ギルド』支部の『サブ・ギルドマスター』が
残って同行するのか頸を傾げたが、まさか
ロージアン『冒険者ギルド』支部の業務の一環で、行商人の手配や
辺境地域の情報提供をしているとは思わなかったな」
カーリンが何処か納得した表情を浮かべて応える
「何でもこれからお世話になるロージアンには、行商人が
滅多に立ち寄らないらしいので『ギルドマスター』から
命令されたとか」
ハインツは溜息を吐きながらテーブルに置いてある水を
一口飲んだ




