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奇妙な冒険者  連載版  作者: 大介丸
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第38話

「聞いてるだけで、ありとあらゆる文句を言いたくなりそう場所なんだが・・・

 それよりも直接説明って、そこのギルドマスターがわざわざ出向いて

 説明してくれたのか!?」

 それを聞いたカーリンは、驚いた声でハインツに聞き返した

「ギルドマスター」クラスの役職に就く人物が、わざわざ一つの

 冒険者パーティーに出向いて説明する事は、普通ならば

 有り得ない話だ

 しかもハインツは、ギルド職員ではなく冒険者なのである



   本来ならギルド職員のやり取りで済ませるはずの話を、何故ハインツに

 直接説明する必要があったのか理解できなかったが・・・

 それでも説明を聞いただけでも、そのギルド支部の何か並々ならぬ

 意思を秘めているような気がしてカーリンはならなかった

「そうだ

 説明では、ロージアンまで稼ぎに来る冒険者がほとんどいないため、

 月1で「冒険者ギルドと地域住民合同訓練」という

 名称で魔境内の魔獣と怪物の間引きと開拓行事が行われているとか・・・・

 もしギルド支部専属パーティーになれば、月1で強制参加させられるとの事だ」

 ハインツが冷静に答える

 それを聞いてカーリンは、ますます訳が分からなくなった


「問題が山積みなんじゃねぇか!

 それに何だよその面倒くさい催し物は・・・ それにお前の説明だけじゃ

 良く分からない部分もあるし、お前自身も何を考えているんだ?」

 カーリンがハインツに問いかける

 ハインツの言う事に納得できない点もあり、魔獣や怪物を間引くと言っても、

 ギルド支部所属の専属パーティーだけでは、対処できる数にも限界がある

 周辺弱小国家群や都市国家群から冒険者が来てくれないと

 どうしようもないはずだが、ハインツからの説明を聞いたかぎりではそれは

 望み薄だろう

 情勢や治安が不安定なら、わざわざそんな場所に好き好んで来ようと

 冒険者は思わない

 しかし、間引きをしないと魔境から魔獣や怪物が「スタンピード」を

 引き起こして這い出でてくる恐れがある



「・・・その「冒険者ギルドと地域住民合同訓練」の報酬は、俺達パーティーの

 取り分が8割、ギルド側は2割とか提示されたんだが・・」

 ハインツが口ごもりながら説明する

「何処でそんな馬鹿けた割合になるんだ!?

 普通は、もっと冒険者ギルド側が有利になるように配分されて、

 冒険者パーティーが・・・・あまり大きな声で言えないが

 搾取されるんじゃないのか?

 それが俺達側が8割って事は逆じゃないか」

 カーリンは、それを聞いてさらに頭を混乱させつつ言う

 魔境や魔獣や怪物の討伐や退治は冒険者の本懐であり生き甲斐だが、

 常識的に考えればありえない事だった

 ましてや、自分達の取り分が8割というのは、あまりにも

 優遇され過ぎる

   他の冒険者達が知れば、妬まれても仕方がないほどの扱いだ



「同席したここの迷宮都市のギルドマスターには、「メンバー達の能力を考えたら、

 それでも安いくらい」とか言われた」

 ため息を吐きつつそう、ハインツが応える

「・・・何か裏でもあるんじゃないか?」

 カーリンは怪しげな目つきで尋ねる

「裏っていうより、ここの迷宮都市のギルド支部によるちょっとした

 親切心みたいなもんさ

 これから俺達のパーティーは、間違いなく今後壮絶な争奪戦の

 中心になるだろ?

 騒がしくなるのに、今後この迷宮を中心に情報公開により狂乱が加速する

 可能性がある

 それによる騒動に巻き込まれないように、あらかじめギルド側なりの配慮だ」

 ハインツが淡々と説明する

 おそらく、このままこの迷宮を中心に活動すれば大騒動に巻き込まれる事に

 なるだろうと予想していた

 その騒動に巻き込まれた際に、少しでも自分や他の仲間達が巻き込まれず

 安全に避難できるよう措置が出来るのかと考えれば、困難としか言えなかった



「つまり、狂乱の対策で手一杯になるのに争奪戦の監視に手が回せるほど

 余裕が無くなるから、一時的に世間から眼が届きにくくなる魔境での活動で

 経験を積んでおけとでもいうのか」

 カーリンが、疑問に感じた点を尋ね返す

 カーリン自身は、迷宮外の探索や依頼活動の経験が豊富とは言えないが、今まで

 魔境や魔獣の討伐依頼を受けて来た経験はある

 魔境は迷宮とは違った意味では比較にならないほど危険な場所だ

 特に魔境に生息する怪物や魔物達は、迷宮内で遭遇するような

 怪物や魔物よりも 強力で凶悪で恐ろしい存在である

 その分、迷宮内部で採取できる資源や宝玉、貴重な鉱物などに比べれば

 希少価値は高い



「そういうことなんだろうな

 それに、辺境の「ギルドマスター」に、『お前さん一人で、であの優秀な

 メンバー達にわんさか群がってくる『勧誘員』から防ぎられるとでも

 思っているのか?』と忠告されたらなぁ・・・」

 ハインツが、遠い目をして思い出すように話す

 その忠告は、ハインツには痛いほど理解できた

 ハインツ自身、冒険者として活動を始めてまだ4年ほどだ

 未だに冒険者の中で頭一つ抜けた存在として周囲に認識されてはいない

「で、どうするんだ?

 俺としては受ける気はないが、ハインツが引き受けたいなら構わないぞ」

 カーリンは、ハインツがが受けると言うなら一緒に行くつもりだが

 ハインツが断るというのであれば自分も行かないつもりだった

 二人がパーティーを組んでから丁度3年だが、駆け出しに近い状態だ

 1人は冒険者を辞めてしまっている状況で、さらに新メンバーが勧誘で

 移籍をすれば魔獣の討伐や怪物の討伐の依頼を受ける事は出来ない

 だが、今は違う

  能力的には凄まじい新メンバーが偶然にも同じパーティーの仲間として

 組んでいる

「リーダーとしては受けようと思うが、その前に新メンバーにも伝え無いとな

 新メンバー全員に推薦状やらなにやらある事だし、さすがに全員が

 同意する事もないだろうしな」

 ハインツが、腕を組みながらそう答える

「全員が同意しなかったら、この話はどうなるんだ?」

 カーリンが尋ね返す



「その時はこの話は無くなるだろうな

 恐らく、そんな聞いた事もない辺境に行くくらいならパーティーを抜ける

 メンバーが出る

 ま、抜けられたら抜けられたらで問題は無いと思うぞ

 あの高い素質なら、何処に行っても活躍できるだろうしな」

 ハインツは、少し残念そうな表情を浮かべる

「その時は、しばらく二人だけで活動するしかないか」

 そう言ってカーリンは立ち上がる

「そうだな、

 とりあえず、他のメンバーに伝えて今日中には結論を出すか」

 ハインツが短く応えた

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