第33話
「なるほどね・・・現役の時からその辺りは抜かりがなかったわね? 貴方の手腕を、もう少し評価してあげても良かったかも
それなら貴方の冒険者ギルド支部に、この優秀なパーティーを
専属パーティーとして推薦状を送っても問題は無いわね」
「アルスター」の「ギルドマスター」の彼女が、嬉しそうに微笑みながら
提案してくる
眼帯の「ギルドマスター」が、その話に苦笑を浮かべた
現役の時から、「アルスター」の「ギルドマスター」の彼女は、優秀な人材を
スカウトしたり育成したりするのが得意だった
そのため、迷宮都市「アルスター」には有望な若手のパーティーが
数多く集まっている
「今後の狂乱を考えれば、妥当だね」
眼帯の「ギルドマスター」が思案顔を浮かべる
「・・・冒険者が足りない一辺境のギルド支部しとしては、冒険者は
喉から出る程欲しい
が、同期よ、争奪戦の眼になる冒険者パーティーを押し付ける気だろ?」
精悍な「ギルドマスター」がジト目で睨む
冒険者が足りないと嘆くギルド支部が他のギルド支部に、冒険者の
派遣を依頼する事はある
その分依頼料も割高になるため、依頼主側からあまり
良い顔をされない事が多い
反対に優秀な冒険者であれば囲い込むために、派遣を依頼された
ギルド支部やギルド本部はその支部に無理難題を突き付けたりする事がある
「これから私の所とそっちの同期の所は、諸に狂乱の影響を受けるのよ?
その対策のためにギルド職員の割り当て、迷宮都市に拠点を置く冒険者達に
対する対策などが山ほどあるのに、争奪戦の監視などやってられるかっての!
それともせっかく優秀な冒険者パーティーを同期の誼で紹介しているのに、
何か正当な理由があって断るの?」
「アルスター」の「ギルドマスター」の彼女が、笑みを浮かべつつ尋ねる
「・・・・近隣周辺にはギルド支部もなく、辺境なため大した
冒険者施設もないからな
恐らくだがギルド支部に寄宿しながら活動させる事になると思うぞ
内容は魔境に棲む怪物と魔獣の間引きだが、月1の『冒険者ギルドと地域住民合同訓練』は強制参加だ
そのパーティーの今後については、保証は出来ないぞ?
間引きの手伝いの他にも冒険者の育成や未探索の迷宮調査、さらに
辺境周囲からの依頼が色々入る可能性がある」
精悍なギルドマスターは答える
「その辺りの事はパーティーに説明するし、決して強制もさせないわ」
「アルスター」の「ギルドマスター」の彼女が応える
「・・・その前にその優秀なパーティーが、辺境に活動の場を移す事を
良しとするかだからな?
どっちかと言えば、普通は「ウォルトン」冒険者ギルド本部に
推薦状を送るもんだぞ!」
精悍な「ギルドマスター」が、ため息交じりに反論する
「正直、そんな優秀なパーティーは欲しいくらいだけど、今後の狂乱は
僕の所も影響があるのさ
恐らく専属冒険者の派遣要請が殺到するだろうね
あと、拡大した迷宮内部調査にもギルド職員派遣は
間違いなく求められる
そういった依頼が来ると必然的に、優秀な専属冒険者はその依頼先に
向かわせる事が多くなり、近辺の依頼には手が回らなくなる可能性が高い
・・・争奪戦の監視に人員を分ける余裕ってないよ」
眼帯の「ギルドマスター」が思案顔を浮かべつつ応える
「・・・あとで『返せ』とか『譲って』とか言うなよ?
俺はお前らみたいにコネが無いからな
2人に恩を売れるなら、それはそれでいいけどな」
精悍なギルドマスターが、笑みを浮かべて告げる
その表情からは、冗談なのか本気なのか判らない




