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奇妙な冒険者  連載版  作者: 大介丸
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第30話

 ・・・重要な会議が終わると、ギルドマスター達はバラバラに大会議室を

 出ていった

 これからそれぞれのギルド支部に戻って、今回話し合われた議題について

 協議を行うのだ

「冒険者ギルド」総本部のかつてない大規模な命令をこなすため、各

 ギルドマスター達は、冒険者はそしてセレネギル大陸が

 大きく奔走をすることになるだろう

 まず間違いなく、この決定事項は各ギルド支部を疾風怒濤の如く駆け巡り、

 様々な憶測が飛び交う

 その嵐は、セレネギル大陸で活動している『クラン』、各ギルド支部が

 置かれている各国もいっさいの例外を許されない



 各ギルド支部はその置かれている国と密接な繋がりがあり、互いに

 協力関係を築いており、どんな些細な報告と要請でも

 それぞれが 応える義務があるからだ

 今回の議題についても国によっては即座に対応しなければ

 ならなくなる



 ほとんど居なくなった大会議室には、精悍な風貌の「ギルドマスター」と

 眼帯の「ギルドマスター」、そして

 ハインツ達が現在活動している迷宮都市のギルドマスターの彼女の姿だけあった

「・・・よお、同期、何だかんだで元気そうじゃねぇか?」

 最初に声を出したのは、精悍な風貌の「ギルドマスター」だった

 その声には懐かしさと同時に親しみが込められていた

 それはまるで旧知の仲であるかのようだ

 だが眼帯の「ギルドマスター」は反応せず、無言で机に広げられている精巧な

 迷宮地図に視線を向けたままだ

「そっちこそ元気そうね

 少し前の夏に手紙を送ったら、返答が来たのは秋口だったから、まさか

 あんたが人事で辺境に飛ばされてるなんて思いもしなかったわ」

 そう言ってギルドマスターの彼女は、精悍な風貌の「ギルドマスター」に

 話しかけた




「「冒険者ギルド」総本部一幹部の汚職を暴いたからだ

 汚職の多かれ少なかれ、そんなのはあるもんなのにこいつは、納得出来ずに

 調査を進めてたら上から圧力が掛かったんだよ」

 眼帯の「ギルドマスター」が、そう言いながら精巧な迷宮地図から視線を

 外して精悍な風貌の「ギルドマスター」を見た

 それに合わせるように二人のギルドマスターも視線を合わせた

 その表情は、どことなく楽しげだ

 この二人のギルドマスターは、冒険者時代からこうしてよく

 二人で悪巧みをしていたが、お互いの実力を認め合っていた



「俺は後悔はしてねぇさ

 それにあのままだと、下から叩き上げの職員からの突き下げと上からの

『早く上がってこい』の催促で 胃に穴が開くところだったぜ

 そんなこんなで左遷されちまったが、今の俺の肩書きは2人と同じ

『ギルドマスター』の1人だ」

 精悍な風貌の「ギルドマスター」は豪快に笑い飛ばし、眼帯のギルドマスターと


『アルスター』のギルドマスターの彼女は軽く溜め息を吐きながらも、

 どこか嬉しそうだ

「親交を温めるのは後回しにして、今は仕事の話をしようじゃないか」

 眼帯の「ギルドマスター」が、真剣な顔つきになり、そう切り出した

 その雰囲気に二人も神妙な態度になる

「そうね

 私がこの緊急定例会議の開催を要求したのは、これが1『迷宮都市」の

『ギルドマスター」でいる限りは解決できないと 判断した為よ」

『アルスター』のギルドマスターの彼女は、少し険しい表情でそう告げた



「・・・で、会議後に俺とこいつに残ってくれというのは、それだけ

 じゃないんだろ?

 それとお前さんがそんな態度をとる時は、大抵ろくでもない内容だってこと

 ぐらい 付き合いの長い俺たちは知ってるんだぞ?」

 精悍な風貌の「ギルドマスター」は、口元に笑みを浮かべながら

『アルスター』の「ギルドマスター」に問いかけた

「いつもなら、一迷宮都市の『ギルドマスター』として、都市を

 拠点としている冒険者達の権利と都市住民を護るためなら、

 総本部のギルド幹部や他のギルドマスターと真正面から対立できる覚悟と

 度胸を持ってるはずだけど、今回は それを感じられなかったよ?」

 眼帯のギルドマスターは、鋭い目付きをしつつ『アルスター』の

「ギルドマスター」の彼女に問いかけた


「これはまだ総本部にも話してないから、まだ心に秘めていて欲しいんだけど

 この今回議題として提出した迷宮地図は、マッピング技能に優れた

 ギルド職員でもなく、マッピング技能持ちのベテラン冒険者でも

 ないのよ」

『アルスター』の「ギルドマスター」の彼女は、重々しく話し始めた

 それを聞いた二人は、とっさに理解できず絶句してしまった

「 『職』は?」

 しばらく沈黙が続いたが、やっと我に返った精悍な風貌の「ギルドマスター」が、

 確認の意味を込めて尋ねた

「『迷宮道士』 年齢は10代前後の少女で、『アルスター』で冒険者登録

 仕立ての新人よ」

『アルスター』の「ギルドマスター」の彼女は、淡々と告げた

「そんな『職』は聞いた事ない・・・俺のギルドを

 拠点として活動している冒険者にもいないな」

 眼帯の「ギルドマスター」は、信じられないと言わんばかりに、苦虫を

 噛み潰したような表情になった

「同期が嘘を言っているとはこれっぽちも思わないが、10代前後の少女で

 冒険者登録仕立てのその新人があの精巧な

 迷宮地図を階層単位で書き上げたというのか?・・・

 間違いなく争奪戦が勃発するな・・・いや下手したら暴動すら起こりかねない

 事態だぞ?」


 精巧な迷宮地図は、その精巧さ故に値段が高く、買うのにかなりの資金が

 必要となる

 なので、迷宮地図が売買されたらその情報はすぐに広まる

 そして、その迷宮地図は本物かどうか確かめるために、冒険者や迷宮関係者、

 商人達が大挙して押し寄せるのは間違いなかった

 それは、今までの情報からすると容易に想像できた その迷宮地図が、迷宮内の

 地図だという事が知れ渡れば、冒険者ギルドに駆け込み、迷宮地図を

 買い占めようと殺到するのは目に見えていた

 しかも、迷宮内で手に入れたアイテムなど、迷宮攻略の証拠となりうる物は

 ギルドの買取窓口に持ち込めば、 確実に買い取ってくれるのだから



「それとこの少女を担当した、私の所の訓練教官が「ヘブリマス」 

「ドンディッチ」 「ウォルトン」冒険者ギルド本部専属冒険者として

 推薦状を用意しているわ」

『アルスター』の「ギルドマスター」の彼女は、淡々と告げつつ、視線を

 眼帯のギルドマスターに向けた

「 「ウォルトン」冒険者ギルド本部は、いつでも優秀な

 冒険者を歓迎しているよ?

 しかし、「ヘブリマス」 「ドンディッチ」にも推薦状を用意された

 新人冒険者なんて、僕の記憶にもないな」

 眼帯の「ギルドマスター」は深く溜め息を吐いた


「その前に、もしその新人がお前の「ウォルトン」冒険者ギルド本部に

 専属冒険者として所属するときめたら・・・

「ヘブリマス」 「ドンディッチ」と壮絶な引き抜き合戦になるぞ」

 精悍な風貌の「ギルドマスター」は、真剣な顔つきになり眼帯の

「ギルドマスター」に語りかけた

「こればっかりはね

「ヘブリマス」 「ドンディッチ」も優秀な専属冒険者は喉から手が出るほど

 欲しいはずだし・・・

 冒険者の質が落ちてしまう事だけは絶対に避けなくてはならないから、

「ヘブリマス」 「ドンディッチ」「ウォルトン」で

 暗黙の協定を結んでるよ、まぁ、そこはお互いに譲り合だ」

 眼帯の「ギルドマスター」は、精一杯の笑顔を浮かべて応えた


「・・・辺境にいれば、そんな詳しい事は聞こえてこねぇから、それで

 平穏を保てているなら何も言う事は無いわな」

 精悍な「ギルドマスター」は、肩をすくめながら応えた

「言っておくけど、もし人事で辺境に飛ばされてなきゃ、お前は「ヘブリマス」

 冒険者ギルド本部の「ギルドマスター」に内定していたはずなんだからな

 それに現「ヘブリマス」のギルドマスターが、たまに『本来、この椅子に

 座っているのは俺じゃない』って言ってるよ

 あと、これは伝言だけど『辺境に厭きたら、「ヘブリマス」に

 来ても良いんですよ?』だってさ

 そうすれば、すぐにでも「ヘブリマス」のギルドマスター・・・

 には難しいけど、あそこのギルド内でそれなりの地位を用意してから、

 総本部と肚の探り合いと駆け引きで、ギルドマスターの座を譲るみたいだ」

 眼帯の「ギルドマスター」がそう言うが、そこには冗談が

 含まれていなかった

 それがどれだけ凄い事なのか、眼帯の「ギルドマスター」の

 言葉からは読み取れなかった


「あいつ、まだそんな事を考えてるのか・・・やめとけやめとけ

 季節の代わりに良くあいつから手紙が送られてるんだが、

そんな青くせぇ内容を書いてあんだよ

 大人しく、出世する事だけを考えてりゃいいんだ」

 精悍なギルドマスターは、少しだけ寂しげな表情をして答えた

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