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奇妙な冒険者  連載版  作者: 大介丸
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第29話

「・・・西部地域の情勢は、情報として伝わっているよ。

 と言っても、具体的な詳しい事は分からないが話を聞いている限り、

 かなり切羽詰まっている様だ」

 眼帯のギルドマスターは、精悍な風貌の「ギルドマスター」に

 囁く様に告げる

「俺の統括するギルド支部は、冒険者不足だから定期的に中央の

 ギルド支部に魔境の探索や手も付けられていない迷宮内部の調査依頼を

 定期的に出してはいるんだがなぁ・・・

 それにここ1、2年、西部辺境地域内の弱小国家群や

 都市国家群全域で、天候不良による暖冬と旱魃、洪水の影響で

 作付けが出来ずに酷い飢饉に陥りつつある

 俺の所に入っている情報でも幾つかの弱小国家や都市国家の杜撰な対策で失敗し、

 飢餓に加えて疫病が発生し、大規模な反乱が起きたと聞いているが・・・

 ほとんどが被害の深刻さを表沙汰にさせないようにしているため、実情が不明だ

 ま、かなり悲惨を極めている事は確かだろうがな

 それに警備隊が眼が届かない場所では、食い詰めた百姓や窮民などが

 流れ込んでいて治安悪化を招いてる」

 精悍な風貌の「ギルドマスター」は、囁く様に呟きながら

 地図を見つめていた



「総本部や他のギルド支部には掛け合ってはいるのか?」

 眼帯の「ギルドマスター」は、精悍な風貌の「ギルドマスター」に

 囁く様に尋ねる

「掛け合ってはいるが、総本部や他のギルド支部様方は『それよりも

『迷宮』や 『魔境』の調査、討伐依頼を優先してくれ』の一点張りだ

 ・・・まぁ、分からなくもない

『迷宮』の間引きや『魔境』の調査を放置していれば、「氾濫」や「スタンピード」に

 なるのは分かり切ってるからな

 だからといって、『はい、そうですか』とはいくか

 こっちのギルド支部が置かれている場所は、人口は数百人程度の集落みたいな

 村だぞ? 国合わせても人口400人ほどの弱小国だ

 新人冒険者でも欲しいくらいな状況で、管理している『迷宮』の探索依頼も

 碌に出来ず、『魔境』の調査も出来ないって言うのにな・・・

 苦肉の策として、領主様からの間引きと開拓の要請に応えるため、

『冒険者ギルドと地域住民合同訓練』という無理な題目で月1の

 催しをおこなってるんだぞ?

 それなのに、この上今後の『迷宮』内部の調査や討伐に人を割けってか?

 総本部は、辺境の事情を分かっていないらしいな・・・」

 精巧な地図を見ながら、精壮な風貌のギルドマスターは深い溜息を吐いた



 そんなやり取りを密やかにしている間でも、会議室ではそれぞれの

「ギルドマスター」が真剣な表情で話し合いを続けていた

 その時会議に参加している、狼が擬人化したラウルフ種族の

「ギルドマスター」が手をあげながら言葉を発した

「つまり今まで冒険者達が迷宮で探索をしていたのは限りなく一部分で、

 実際は一層一層が一つの国がすっぽりと入るほどの広大であり

 大陸や海を越えるほど広いと?」

 ラウルフ種族のギルドマスターの言葉に、金髪碧眼の

 長身痩躯の男性は頷く

「それもこの迷宮一つだけではなく、全ての迷宮が異常といえるほどの

 広さを誇っている可能性がある

 それは『最高危険迷宮』も例外ではない」

 金髪碧眼の長身痩躯の男性がそう言い切る



 同時に、大会議室中は一層大騒ぎになった

 それは、その言葉の意味を理解してしまったからだ

 もし、その通りだとしたら、今現在この大陸に存在する迷宮の

 全ては攻略不可能ということになってしまう

 それどころか世界そのものが滅亡しかねない程の大事だ

 この世界の迷宮は、『冒険者ギルド』が把握して冒険者が最下層まで

 辿りついた迷宮は多数存在している

 だが、冒険者が迷宮に踏み入れてもおらず、熟練の冒険者ですら足を

 踏み入れることを躊躇うほどの危険性を孕む迷宮も多数存在している

 そんな迷宮の内部が、一層一層が一つの国が入るほどの広さを実は

 誇っているという情報が広まってしまえば、その危険性から、

 冒険者は勿論のこと、各国の騎士団や軍などは、迷宮に近付くことはおろか、

 その存在すらも認めなくなる恐れがある



 そうなってしまっては、冒険者の数も減り、必然的に冒険者達が受け持つ

 依頼も減少してしまい、収入の減少に繋がる上に・・・・

 迷宮の内部に蠢く強力な魔物を間引いて、一気に外へ溢れ出てしまう

「大氾濫」を 抑えていた機能が失われてしまうことになる

 そうなれば、大陸中の国々は滅びの道を辿るしかない

 しかもその危機は、迷宮の上層にいる魔獣や魔物だけでなく、より深い

 階層に潜んでいる魔物にまで及ぶ

 迷宮の管理や戦略も必要となり、さらに莫大な資金が

 必要となってくる

 そして迷宮の魔物が溢れ出した時に発生する被害は、計り知れない

 ものがある

 だからこそ、今まで冒険者以外の一般人や各国にも知らせてはおらず、隠し

 通していた

 それが今回の議題で、全ての情報を公開するという世界の天秤を

 ひっくり返す狂気の提案が出てきた

 だが、これは世界の平和や存続を考えれば、当然の選択でもあった

 この世界で迷宮の探索をしてきた冒険者達が、迷宮の異変に

 気づかなかったのも無理はない

 なぜなら彼らは、自分たちの経験と知識を総動員し、時には己の

 命を賭けて戦ってきた

 だが今回は違う 今までとは桁違いの、想像を絶する

 規模の事態だ

 だが、現状で放置しておくことも出来ない

 このままではいずれ訪れる最悪の結末を回避する為に、

「冒険者ギルド」総本部はそれを打破できる可能性が

 最も高い手段を採択した


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