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奇妙な冒険者  連載版  作者: 大介丸
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第25話

 一方、ハインツとカーリンが会話をしている間にもオオシマ、ローザ、アトリーサの3人は、互いの位置を確認しながら、周囲の警戒に当たっていた

 それは自分達の周囲に、巨人種が残っていないかのチェックだ

 ハインツとカーリンの話し声が聞こえていたので、三人は視線を合わせ

 お互いにうなずくと、周囲を警戒しつつゆっくりと近づいて来た

 ヴァレーアは、手慣れた様子で殲滅した巨人種から素材の剥ぎ取りをしていた

 その解体作業も熟練者の動きであった

 それを手伝う様に、タルコット、カルローラ、テレンスも作業に関わっていた

「特殊個体の巨人種の素材は、鎧に使えるし、血は魔術師なり研究者などに

 売れば金になるよ」

 ヴァレーアはそう言って、テキパキと作業を勧めていく


「巨人種の血が魔術の触媒に使われることは知っていたけど、まさか

 特殊個体の血を使うなんて考えたことがなかったや」

 タルコットは、それを聞いて 驚きを隠せないようだった

「人型の生物である魔獣や魔物の血を有効利用する魔導士は少ないからね」

 テレンスが、少し解体作業の手を止めて応える

 魔導士とは、一般的に魔法士のことを指す名称で、魔力を扱う能力に

 長けている者が名乗ることを許された称号でもある

 魔導士になるためには、魔法の発動に必要な詠唱破棄を会得する

 必要がある

 また高度な魔法技術を習得しなければならないため、並大抵の努力では

 到達できない高みにいる存在と言えるだろう

 魔導士として一流の腕を持っている者は、大概は王宮に仕え、宮廷魔導士となるのが普通だ



「 『迷宮道士』だと、鶏血と墨汁などを混ぜた液体を結界や武器と

 しての利用する術式があるよ」

 カルローラが続けて、説明しつつテキパキと解体作業を続ける

「死んだ師匠は、そんな事教えてくれなかったけどなぁ・・・

 あ、この黒い魔石って重要素材だったけ? ヴァレーア」

 タルコットがぶつぶつそう言いつつ、巨人種の内臓を取り出すために、

 腹を割いた所に手を突っ込んで掻き出している

 その様子を見て、ヴァレーアは 一瞬ギョッとした表情になるが、

 すぐに平静を装い、タルコットの手元に目を向ける

「タルコットちゃん、魔石という素材は滅多に採取できない物質だよ

 それを高確率で発見し、採取できるのは凄い事だからね?」

 ヴァレーアが、少し慄く様に答えた

「何と言うか、こう何度も採取できるもんじゃないよ!?

『魔導士』というのは、そんなことできるんですかぁ?  テレンスさん!」

 カルローラが、テレンスに貌を向けつつ問いかける

「恐らく彼の天賦だろう・・・いやはや」

 テレンスは、いつもの落ち着いた口調で応えた


「あー・・・おいら、また見つけたんだけど、魔石」

 タルコットは、申し訳ないような声で手に持っていた拳ほどの

 大きさの魔石を二つ見せた

 カルローラとヴァレーアは目を輝かせていた

 魔石は、大きさや質によって様々な価値を持ち、その値段は金貨100枚から

 億単位まで様々である

 魔道具などの核となるため需要は高く、高価なものだ

 二人は無言で肯き合い、それぞれの作業に戻った



 ハインツはカーリンに何か言いたそうに視線を向けた

「言いたいことは理解できるぞ

 少なくとも、素材買い取りカウンターへは付き合わんからな」

 カーリンが先手を打つように釘を刺す すると、まるで見透かされたかのような

 発言で、ハインツは言葉を失う

 そんなやりとりをしている二人の様子を横目にしながら、テレンスは

 解体作業をしていた



中級者冒険者向け『アルスター』迷宮の探索を一旦切り上げ地上に戻ると、

一旦パーティーを解散した

各自で装備を点検しておき夕方頃に酒場で集合することになった

ハインツは気が進まなかったが、ヴァレーアを連れて『アルスター』迷宮の

素材買い取りカウンターへ向かった

そこには、筋骨隆々とした体躯の冒険者ギルド職員の受付担当者がいた

「あー、では採取した素材類をこちらの台の上に出して貰えるかな」

筋骨隆々の職員が、少しぎこちなく言う



「では、出していきますね」

ヴァレーアはそう応えると、バックパックから巨人種の特殊個体の

魔石や武器や防具類の素材となる鉱石、回復薬や解毒薬の

原料となる植物などを次々と取り出し並べていく

それらを見た職員は、驚きを通り越して唖然としていた

その表情からは、先程までの余裕ある態度が消え去り、冷汗を

流している様子だ

(気持ちは分かる!)

ハインツはそんなことを考えながら、ヴァレーアは手際よく素材を

出していく様子を眺める

それらの作業は瞬く間に終わり、素材の量にして数トンを超える量の

素材が山積みになった



この量は、買取カウンターだけでは対応できず、奥にある倉庫へと移動させ、

そこで査定されることになった

ちなみに、ハインツが持ってきた素材の数は3~4キロ程度だ

ハインツは、ヴァレーアの作業風景を見て、ただ感心するしかなかった

しかし、素材を出した後で、ふと疑問が沸いてきた

(この量、持ち運びできるのか?)

そう思うと、『空間収納』保持者の凄さをハインツは実感し、自分の常識を疑った

「あんたらのパーティーは、『迷宮』じゃなくて、辺境の魔境に行ってきたのか?」

職員がそう尋ねると、ハインツは笑って誤魔化す事しかしなかった

素材の査定金額が出たのは、二時間後のことだ

内訳は、魔石が金貨400枚、巨人の皮膚や肉が金貨800枚武器や防具等の

金属系素材が、それぞれ金貨50枚相当

植物が、薬草各種がそれぞれ金貨200枚

鉱物資源は、鉄が10キロあたり金貨5枚、銅・銀が各2キロで金貨5枚、

錫が金貨15枚、鉛が金貨20枚

その他、特殊な魔道具の核となりそうなもの・・・

これらが、すべて査定された


その額、実に金貨1万8千枚だった

しかも、まだ査定中のものもある

例えば、回復薬の原料になる植物の種だ

査定中だが、最低で金貨1000枚、最高で白金貨500枚の可能性がある

これらの素材は、ハインツ達だけで使うわけではなく、全て売却するつもりである

なぜなら、ハインツは今回のような大量な素材を売却した経験が無かったからだ

そもそも、上級冒険者のパーティでも一回の探索でこれほどの量を

『迷宮』から持ち帰った経験は無かったはずだ

ハインツは、買い取り金額を聞いてしばらく間放心状態だった

そして改めて規則外の新人冒険者を

加入させたなと痛感した

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