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奇妙な冒険者  連載版  作者: 大介丸
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第24話

臨戦態勢のハインツ一行の前方から、何者かが歩くような音がゆっくりと

 近づいてくる

 警戒して立ち止まっていると、その気配の主は突然姿を現した

 現れたのは、30匹以上の巨人種だった

 全身が体毛で覆われており、貌つきは猪に近い

 巨体にもかかわらず足取りがとても軽く、そして彼らの手には

 大木のような太さと大きさの棍棒が握られている

 群れの中に3mほどで肌が真っ赤で、額の左右にそれぞれ

 突起がある個体がいた

 額にある突起物は2本の角に見えるのだが、よく見ると一本が

 途中から折れていることがわかる


 おそらくその個体が群れのリーダー格なのだろう

 真っ赤な肌の個体が低い唸り声で群れに命じると、一斉に動き出した

 一番先頭にいるリーダーは巨大な棍棒を振り回しながら突進してくる

 その後ろに付いて行くように走り出す巨人種はリーダー格に

 率いられているため、通常の他の仲間達は

 その後ろに付いて行くように走り出す

 速度はかなりの速さだ

 しかも、1人に対して3,4匹が連携して

 攻撃しようと襲ってくる


 これが前衛を務める普通の新人冒険者なら、さすがにあっさりと

 やられてしまうだろう

 ハインツとカーリンが互いにアイコンタクトを交わし、すぐに

 行動に移る前に――――

 前衛を務める実力が桁外れの新人冒険者達が飛び出していた


 動いたのは、オオシマ、ローザ、アトリーサの三人だ

 この3人の連携が取れた反撃は、雷光の如き素早い完璧な連携から

 華麗な個人技だ

 まずローザは、向かってくる巨人種に向かって急加速し、懐に潜り込むと

 跳躍しながら自身の拳を叩き込む

 放たれた拳は標的の巨人種の胴をぶち抜き、そのまま

 宙返りをしながら後方へ抜けていく

 着地と同時に反転し、別の巨人種に向かい今度は

 回し蹴りを喰らわした

 また、巧みに拳や蹴りを放ち、次から次へと

 巨人種を吹き飛ばしている



 虎の着ぐるみなため、まるでローザの攻撃方法は虎が

 獲物に噛みつくような印象を受ける

 ローザの繰り出す攻撃に対して、オオシマの動きは

 とても軽やかで流れるようなものだ

 巨人種が右から左、或いは背後からオオシマに向け

 大木のような太さと大きさの棍棒を振り下ろす

 連打につぐ連打だが、繰り出す攻撃に対して

 ひらりひらりと体をかわす

 まるで舞うような動作で巨人種の攻撃をよけ、時には身を

 屈めてすり抜けるため、巨人種の強烈な一撃は思うように当たっていない

 懐に飛び込むと眼にも止まらぬ速さで『苦無』を抜き、巨人種の

 首元に目掛けて突き刺す



 オオシマの標的にされた巨人種は、一体何か起こったのか

 わからないまま痛みを感じる間もなく絶命し、そのまま倒れる

『苦無』は特殊な投げ専用武器だが、近接攻撃用でも

 十分使用できるほどの切れ味がある

 オオシマは扱いに熟練しているのか、次々と的確に巨人種の首元を狙い、

 確実に仕留めている



 一方アトリーサはというと、ローザ、オオシマが敵を引きつけているため、

 その横を疾走していた

 アトリーサ が主に武器としているのは、ハンドクロスボウと

 折りたたみの鋸鉈だ

 最初から2つの使用武器は使わず、『罠土』として

 地面に何かしら設置していく

 何匹かの巨人種がアトリーサを視界に捉え、棍棒を振り下ろすが

 サイドステップで回避すると同時に、折りたたみの鋸鉈で

 棍棒を握る手を切断する

 すかさずハンドクロスボウを構え至近距離で発射した

 至近距離で発射した ハンドクロスボウの矢は通常の弓矢とは違い、

 まるで杭の様な太さを誇っている

 それが巨人種の貌面に命中すれば、顔面を貫く威力はある

 狙い通り、巨人の額に直撃するとそのまま貫通していった

 頭部を貫かれた巨人種は即死し、糸が切れた人形のように崩れ落ちる

 仲間がやられたことで激怒した数十匹の巨人種は激怒したのか、同時にアトリーサに突進してきた


 結果的に突進してきた数十匹の巨人種はアトリーサには近づく事もできなかった

 その途中でアトリーサが、先ほど何かしら設置していた罠が発動したからだ

 その罠は地面の床が斜め方向に飛び出し、十数体の巨人種を巻き込んで

 下へ落下させてしまったのだ

 しかも落とし穴から触手らしきものが飛び出して、更に数十匹の巨人種に

 絡みついて引き込んだ

 落下先には、鋭い刃物が剣山のようになっていてそこへ落ちていった

 巨人種達は、あっと言う間に串刺しとなり殆どが絶命した



 あと残りは、3mほどで肌が真っ赤で額の左右にそれぞれ突起がある

 リーダー格の巨人種と4、5匹の普通個体の巨人だけだった

 瞬く間に仲間を減らされたためか、リーダー格の巨人種も冷静な

 判断が出来ないようだ

 4、5匹の普通の巨人達も驚き戸惑っていた

 しかし、そんな好機をカモサワとウルリーカは逃すこと無く、素早く動いた

 カモサワは一気に加速した

 一足飛びにリーダー格、真っ赤な肌の巨人種の間合いに踏み込む

 そして同時に、武器の大太刀を振るった

 刃は見事にリーダー格の巨人種の肩から入り胸まで振り抜き、そして

 その勢いのまま返す刀で反対側の脇腹まで斬り上げた

 まるで大振りの剣戟が連続で叩き込まれたかのような斬撃だった

 真っ赤な肌の巨人種は、『何だ』と疑問に感じる間もなく絶命して倒れた

 カモサワは倒れ込む寸前に跳躍して避けていた

 圧倒的な強さを垣間見せた一撃に、周りの巨人種は驚愕し、ハインツとカーリンを言葉を失っていた



 そして残りの巨人種が慌ててその場から逃げ出そうとしたが、ウルリーカがいつの間にか後ろに回り込んでいた

 自分の周囲を薙ぎ払うように、身長の倍はありそうなやや大きめの剣を大振りした

 それは、巨大な岩石に鉄槌を叩きつけたような音と衝撃で無防備な巨人種達の体を吹き飛ばした

 剣風で体がズタボロになりながらも何とか立ち上がる巨人種がいたものの、

 その瞬間にはウルリーカは大股で数歩移動していた

 大振りの剣を水平に構えると、跳躍して渾身の力を込めて横一線に切り裂いた

 大振りの剣の切っ先が音速を超え、衝撃波が辺り一帯を襲う

 その衝撃波は、 近くにいるハインツとカーリンは勿論のこと 離れた場所にいる

 カモサワ、アトリーサ、ローザ、オオシマにも響いた

 あまりの光景に唖然としているのは、このパーティーでは

 ハインツとカーリンぐらいだった



 他の超人的な素質を持つメンバー全員は、目を丸くしたり、

「凄い!!」と感嘆の声を上げている

 その攻撃の余波で、逃げ出そうとしていた巨人種の集団が居た場所は土煙で見えなくなっていた

 しかし土煙はすぐに晴れ、僅かな残骸をその場に残し巨人種の群れの姿は無かった

 わずか4人のメンバーにより、特殊個体の巨人種を含めた群れが一瞬にして殲滅しまった

 それも1分足らずの出来事だ

「ハインツ・・・あの特殊個体はレッドオーガだったよな・・・?」

 カーリンが信じられないといった様子でハインツに訊ねてきた

「ああ、少なくとも新人冒険者が一瞬で葬れるほどヤワじゃない」

 ハインツは険しい表情を崩すことなく、肯定するしかなかった

「 ギルドはとんでもない新人冒険者を斡旋したものだな」

 呆れたような口調でカーリンが言った

 レッドオーガは、中級冒険者でさえ苦戦を強いられる強力な魔物だ

 それを瞬殺出来るような、新人冒険者などあり得ないことなのだ

「俺は、カモサワ、アトリーサ、ローザ、オオシマの息の合った

 連携が信じ難いんだが・・・

 初めてパーティーに入ったメンバーとは思えないほどの

 見事な戦いぶりだ ・・・・」

 と言いかけ、ハインツはその状況を目の当たりにしたこと

 で何も言えなくなってしまった

 そして複雑な心境になった


「まだ、2、3回程度の戦闘を繰り返しただけで、連携の呼吸がまるで

 熟練者のそれだ・・・

 本当に新人冒険者とは信じられないな」

 カーリンは苦笑いをしながら言うしかなかった

 ハインツは、 カーリンの言いたいことが解り、溜息混じりに

 同意するようにうなずいていた

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