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奇妙な冒険者  連載版  作者: 大介丸
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第22話

「 『騎士』職の上位の技量を持つ職となれば・・・それはもはや『君主』職しかありませんが・・・?」

秘書はその書類を見て、首を傾げる

『騎士』職の上位となる『君主』職は、限られた極少数の人間だけが就ける職業で、相当才能に恵まれた貴族、または王族など、血筋的に高貴な者が成れる

上級職であり、通常の平民では非常に厳しい職種だ

能力は計り知れないほどに高いが、その職に就く者は国を動かす為の政治手腕も求められる為に非常に厳しく選定される

金で地位を買うような偽騎士がはびこっているためか、『君主』職の名は

地に落ちてもいる

が、真の信仰心と気高き心によって自ら『君主』を目指す者も多くいる



その能力の高さから 憧れる者も後を絶たず、特に女性からの人気は高い

だが、女性の場合は男性のようにその能力を数値化して評価する基準が曖昧で、

その能力を測れないために女性だからといって、その人物の実力が劣るとは限らない

ウルリーカに記載されている訓練成績は、『騎士』職にしては遥かに凌駕する高成績だった

「北方一部地域の中小国家群領土の大半は、数多の魔獣が棲む広大な原野が広がり未開の地とされている魔境なのよね・・・

近隣の『ギルドマスター』同士の定例会議でも、北方一部地域で開拓して生存圏を広げようと試みている所では魔獣の被害報告が

多く報告されているみたいだし・・・ ・・・

それらの被害に対しての反応は北方周辺各国で、検討されているみたいだけど自国の領内の治安維持だけで手一杯という感じみたいよ」

ギルドマスターの彼女は、溜め息混じりに呟く



その言葉を聞いて秘書は納得した表情を見せる

北国は絶妙な力関係にある様々な中小国家が乱立しているためか、各国間の

情報交換なども盛んでありそのおかげで国同士の仲は比較的良好で戦争なども

滅多に起きないゆえ、比較的平和ボケをしている事が多い地域だ

そのため各小国家で対処しきれないような事態が発生した場合には、周辺国家の

大国であるこの国が対応策として要請され、場合によっては

その解決のために軍を派遣されることも少なくない

北方周辺一部地域の中小国家群領土の大半は、数多の魔獣が棲む

広大な原野の魔境が広がり、開拓して生存圏を広げようと試みている所では、

近隣̪周辺国へ救援や協力要請などがよくある

が、その問題解決のための軍を派遣するほどの国力が無い国も数多い

ギルドマスターの彼女は、再び書類を眺めて眉間にシワを寄せて難しい顔をする


北方周辺一部地域からの魔獣による被害やそれら魔獣による討伐の依頼も、

北方周辺の『冒険者ギルド』に多く持ち込まれおり、ギルド側も

それなりの対策や戦力増強などの措置は取っているのだが、根本的な問題として

人手が足りていない

「北方周辺の魔獣による被害や討伐の依頼関連については、こちらの

ギルドにも相当量の報告や相談事が持ち込まれているため

把握はしていますが・・・」

秘書が不思議そうに問いかける



「開拓最前線の各地は、私達が思っているほど優しいものではなく過酷で劣悪、

そして常に死と隣り合わせの環境下よ

多くの有能な冒険者達がいる事も事実だけどね・・・

これは機密情報だけども、ここ数十年の間で地図にも乗らない

小国が幾つも魔獣の『スタンピード』で呑み込まれ壊滅しているわ」

ギルドマスターの彼女は、苦々しい顔で語った

「・・・この大陸中央の『冒険者ギルド』総本部は、その事については?」

秘書は冷静沈着に尋ねる

「3年前の『ギルドマスター』定例会合で交流した、北方管轄地域の数人の『ギルドマスター』から聞いたけど、

『比較的平和ボケをしている地域と危機感が薄く 未だに認識が甘い

中央の『冒険者ギルド』総本部は、各地域の迷宮などに関する危機感の方が高く、

各辺境領地で発生する魔獣討伐依頼や、『開拓村』や『貧しい村』からの

依頼が多いゴブリン討伐らなんやらの面倒な事案を

丸投げしてくる・・

酷い時にはゴブリン討伐に熟練冒険者が受けるのがいないから、代わりに

新米冒険者を斡旋しろなんて言う 地方支部まで出てくる始末・・・

僅か400人の兵を率いて魔獣や大量発生したゴブリンなどから

5年間護り抜いた『君主』もいたというのに』

そう言って嘆いていたわね」

ギルドマスターの彼女は疲れた表情で言った



その後、暫くの間、2人は黙ったまま何かを考えるように書類を見つめる

秘書も北方の国々の状況についてはある程度知っていたが、それほど

危険な状況下にあるとは考えていなかった

「・・・その壊滅した小国の『君主』の中には、『鑑定眼』保有者は?」

秘書は、ウルリーカの訓練成績書類に一つ眼を通しつつ尋ねた

ある項目の一つに、少し震えた字で『鑑定眼』保有者』という短い書き込みがあった

「何人かはいたみたいだけど・・・壊滅した小国の1つには数少ない

女性『君主』だったらしく、民の事を誰よりも想っていた、

とても心優しき方だったという情報だわ」

ギルドマスターの彼女は、なんともいえない表情を浮かべつつ応える

その報告書を纏めていた訓練教官は、北方小国での出来事を

幾つか詳細に書き綴っていた

そこには、5年間小国を護り抜いた女性『君主』についても記述があった


『もし、仮にこの新人冒険者のウルリーカが5年間、小国が『スタンピード』で壊滅するまで400人の兵を率いて魔獣の大群や

それらを率いる上位種、ゴブリンの大群などと闘い抜いた人物であればまさしく

希代の英雄である

現にそれぞれの戦闘訓練成績を確認すれば、到底『騎士』職とは到底考えられない』

そう報告書に記されていた

「パーティリーダーのハインツ氏からは、ますます疑われますね・・・」

秘書はそう応える

「疑われても、今まで紹介したのは紛れもなく新人冒険者なんだから

仕方がないじゃない

最後のこの『空間収納』保有者のヴァレーアも、まったくもって新人冒険者よ・・・

『運搬人』職にしては凄腕の採取名人の様に材料や薬草類の知識が豊富、調理師や調合士、それに薬師としての腕もなかなかのものみたいだし、

何よりこの若さで『空間収納』の上限がかなりの量を収納できるという、将来有望な新人冒険者よ」

ギルドマスターの彼女は、書類を見ながら淡々と答える



「それに戦闘サポートについても、担当した訓練官より報告が上がっています

近接戦闘や剣術に魔法術、更には弓術、そして投擲技術に至るまでまだ駆け出しの冒険者とは思えないほど洗練され、高度な水準にあるとか

戦闘中の資材の配置、各種類の回復薬予備の配分など、ベテランの後方支援を

彷彿させる動きで非常に優秀な人材との評価です

・・・この報告書が正しければ、もはや新人冒険者とは言えませんね」

秘書は、呆れたような声で応える

そして2人は再び沈黙した

ギルドマスターの彼女は、ヴァレーアを担当した訓練教官の報告書の内容を疑っている様子はない



『ヴァレーアの技量は、一般の『運搬人』職よりもはるかに高い技量があり、採取や採掘技術、薬草類と調理師や調合士の知識が豊富で、その知識が戦闘の

サポートに活かされている

また他の冒険者との協調性もあるが、彼女の能力が最大限生かされると思われるのは各大陸で行われている魔境の開拓最前線での仕事だろう

ヴァレーアの技量であれば、過酷で劣悪な開拓事業でも十分に成果をあげ、

生還できるに違いない

だが、何故新人冒険者として登録しているのか理解に苦しむ』

報告書にはヴァレーアが見せる驚異的な才能の数々について触れながら、最後は疑問を投げかけていた

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