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奇妙な冒険者  連載版  作者: 大介丸
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第18話

「担当した訓練教官は、その三つの中でも『ウォルトン』と『ヘブリマス』の

『冒険者ギルド』支部専属を推奨している」

 ハインツの言葉を聞いたカーリンは、驚きのあまりゆらっと席から

 立ちあがりかけ、そのまま椅子に座って脱力した

「『ウォルトン』には、もっとも最高難度の『最高危険迷宮』・・・・

『ヘブリマス』周辺各地は、『魔境』と呼ばれるほどの危険地帯・・・

 二つともこの大陸中から集められ選りすぐりの冒険者が集う場所じゃねぇか。

   そして大陸全土でも屈指の実力をもつパーティーが数多く存在してる

 そこにあの2人が推薦されたのか?」

 カーリンの質問に、ハインツは無言のままうなずいた



 カーリンは、ハインツと組む前に今まで様々な依頼をこなしてきた

 その中には危険な場所や、命の危険が伴うこともあったゆえに、

『ウォルトン』と『ヘブリマス』の場所は知っていた

 どちらもこの大陸では有名処だが、その場所の難易度は別格だ

 実力者しか生きられない修羅の楽園でもあるからだ

 カルローラとアトリーサに、そんな場所を推薦されようとはカーリンは

 信じられなかった

 だが、 確かにあの2人は新人冒険者としては、底が知れないほどの手練れだ

 仮にカルローラとアトリーサが推薦先のいずれかの『冒険者ギルド』支部専属

 冒険者になれば、即戦力処かすぐにでも超一流になるだろう

 間違いなく名を馳せる事は確定だ

 そうすれば、末恐ろしい事に2人はいずれは国仕えの騎士になる道を

 選ぶ可能性だってあるし、『冒険者ギルド』や国の中枢に

 関わる可能性すらある事を考えると・・・・

 今後、『冒険者ギルド』中心に響き渡る衝撃的な出来事は想像を

 絶するほどの凄まじいものになっていく

 壮絶な争奪戦がはじまる事を想像すると、ハインツとカーリンは

 憂鬱になった

「最後にテレンスについてなんだが・・・」

 ハインツは少し息を吐きだすように話し始めた



「何処に推薦された?」

 カーリンは驚き疲れたのか、何処か投げやりに答えを促した

「・・・『ギルドマスター』が口を閉じて、《《話題を反らした》》」

 ハインツは、少し声を落とした

 カーリンは思わず眉間にシワを寄せた

『冒険者ギルド』『ギルドマスター』は一つの都市や周辺地域を支え、猛者揃いの

 荒くれ冒険者を束ねる権力者だ

 周辺地域の冒険者の頂点に立つ人物が、黙って話を止めて、

 《《話題を反らした》》?

   カーリンの頭の中では嫌な予感しかしていなかった

 本能で深く詮索はしてはいけないと察知できたが、同時にそれは

 好奇心を刺激するものでもあった

「 『ギルドマスター』は、テレンスの『回復士』としての実力を

 見極めているのか?」

 気がつくとカーリンは前のめりになり、ハインツを見つめながら尋ねていた



「あれは『何か』を知った眼だった

 はっきり言って俺が出した結論は、『知らない方が良い』だ 

 テレンスを担当した訓練教官はとんでもなく重要な事を知り

 過ぎてしまったのかもしれない」

 ハインツは、顔を歪めたまま腕を組みテーブルをじっと見つめた

 カーリンは、ハインツの言葉を聞いて『 『ギルドマスター』が口を

 閉ざすほどの『回復士』って一体…』と考えて、何か答えが

 分かるのではないかと思い、色々と考えを巡らせた

『回復士』になる冒険者には金や名声を目当てにしている輩がいる一方で、

 高潔な意志や立派な目的を持つ者も一定数存在する

 それとは別に自身の力量の程も分からずに、軽い気持ちで登録しに

 来る者もいるが、 そういった輩に限って大した実力も無く、実力の

 無い者は直ぐに淘汰されていく



 そして稀にだが信仰心をより高め、あるいは魔法を更に究めた『回復士』は

『死者蘇生』も扱う事ができると言われている

 だが、本当に扱えるのはほんの一握りの存在だけであり、ほとんどが

 寺院で修行を積み祈りを捧げ続けた大神官や大僧正のみが行える

 それゆえに『死者蘇生』の奇跡の代償は高くつくため気軽に

 使えるものでは ない

 それなりに金額がかかるのが現実だ



 もしも、テレンスの担当訓練教官がその辺りを把握したとすれば・・・

「俺の推測通りだとすると・・・寺院が絡んでくる可能性もあるな」

 カーリンは震える声でゆっくりと口を開き、静かに呟いた

「《《口には出すな》》」

 ハインツは、カーリンの様子を見つつ真剣な表情で忠告した

「《《何処にも口外はしない》》」

 カーリンはハインツの言葉を聞き、一度強く目を瞑った後、真っ直ぐに

 目を開いて答えた

「・・・『クラン』などが、こんなに優秀な人材を見逃し発見しなかったのか、

 そもそも なんで一介のパーティーに過ぎない俺の所に『冒険者ギルド』は

 紹介したのか気になる所はあるが、さすがに もうそんな化け物じみた

 新人冒険者はいないと、俺は思っている」



 ハインツは、溜め息をつく

「・・・その口ぶりからすると、もう一回メンバー募集をするのか?」

 カーリンは諦めたように問いかける

「中級迷宮は、『冒険者ギルド』より8人編成が推奨され、上級迷宮は

 最低でも10人編成が推奨されているぞ?

 それに今後の事を考えれば、本人達の意思と希望次第だが推薦先などに

 行く可能もある」

 ハインツは強く応える


「まあ、残ってくれる方が戦力的には圧倒的に大きいが、あの才能は

 こんな所で埋もれさせるべきではないな」

 カーリンは眉間にシワを寄せ、腕を組んで俯く

「あと、これはあくまで俺の個人的な意見として聞いて欲しいんだが、あの

 才能の塊である本人達が、このパーティーに残れば

 いずれば近い時期に大陸規模の争奪戦に発展するだろう・・・

 お前は巻き込まれたいか?」

 ハインツは、少しお道化るように尋ねる


 優秀な冒険者の争奪戦は、大陸規模で発生する事もある

 それは例えば、大国同士が冒険者を抱え込み自国の防衛や

 軍事力増強のためであったり、あるいは自国の発展のためだったり

 あるいは単なる娯楽のためにと様々だ

 特に冒険者パーティーや『クラン』による人材確保は凄まじいもので、

 上級冒険者や、時には英雄クラスの逸材さえ取り合う事がある

 この争いを勝ち抜いた者たちは、歴史に残るような偉業を

 達成して名を残すのだ

 現在でも、各大陸では優秀な人材の発掘、獲得を目的とした大規模な

 競争が行われ、各国の貴族や王族も必死になって有望な人物を

  囲い込もうとしている状況だ


「俺はごめんだ・・・

 そうなるとハインツ、お前はもっと大変だぞ?

 お前はこのパーティーのリーダーだ。 もしも本人達の移籍の交渉などを

 妨害や拒否なんかしてみれば、最悪 命を狙われかねない」

 カーリンの言葉を聞いたハインツは苦笑いする

 そしてカーリンの言い分ももっともだと思い、少し考えてみるが

 やはり結論は変わらなかった

「推奨されている規則に従えばせめてあと二人欲しいところだな」

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