第120話
―――再び移動を再開しつつ、ハインツがカモサワとオオシマ、そして
ウルリーカに尋ねた所、3人はゴブリン討伐は
何度か経験しているらしかった
カモサワとオオシマのコンビは、ペリアーレ大陸で傭兵として主に
『傭兵冒険団』と呼ばれる、このセレネギル大陸で言う所の
『クラン』を渡り歩き、ペリアーレ大陸各地を転々としていた
そこでのゴブリン討伐に関しては、何度もこなしており自信は
あるとの事だった
大規模討伐も幾度か参加した事があるらしい
では、ウルリーカはと言うと彼女も北方地域に居た時分には、大規模な
ゴブリンの群れとの実戦経験があるそうだ
そして彼女はゴブリンだけではなく、魔獣や魔物の大群との戦いの
経験もあって手慣れているようだった
(ゴブリンの大規模討伐を何度か経験したって・・・特に魔獣や魔物の
大群との戦いを経験したウルリーカの北方地域は、どんだけ
巣窟があるんだよ)
ハインツは、少し呆れを通り越して感心してしまった
色々と聞きたいことは山ほどあったが、冒険者の暗黙ルールで
お互いの素性について詮索する事はマナー違反なので、そこは
聞かない事にした
鬱蒼とした森の中をさらに進んでいくと薬草の群生地帯に辿り着いた
「油断は禁物だ」
ハインツは剣を抜きつつ、メンバーにそう静かに告げた
カモサワ、オオシマ、アトリーサ、ローザは周囲の状況を
確認するため警戒する
その警戒行動は、一騎当千の冒険者にふさわしいものでとても
駆け出しの冒険者とは思えないものだ
一方、テレンス、ウルリーカ、ローザ、タルコットは、ヴァレーアの
指示を受けていた
「採取の依頼の真に大変なところは、群生地を見つけること
以上に薬草に使える数少ない対象の花を探し出すことなの
また草の株に手を当て、根っこから引き抜く時も慎重にね
最後に、そのあとのことも考えて根っこの部分を残しておくの
それをすると、そこから芽が出て新しい薬草になる可能性があるから。
だから必ず根っこは残しておくように」
ヴァレーアが説明しつつ浮かべる表情は、まるでベテラン冒険者を彷彿させる。
採取組のテレンス達は、ヴァレーアから採取の仕方を教わると
真剣な表情を浮かべつつ実際に作業をし始めた
腰を落とし、視線の高さを合わせると薬草の株に手を当て
ゆっくりと引き抜いていく
その際、周囲に気を配りつつ根を傷付けないように注意し
作業を進めていく
「環境にも注意はしなくてはいけない?」
ウルリーカが首を傾げつつ疑問を口にした
それを聞いたヴァレーアは小さく首肯し、話を続ける
「闇雲に乱伐すると、その周りの環境に悪影響を及ぼすからね
あと森の木を無計画に切り倒しても、そこにある木の実や果物を
食べたりする動物がいなくなったりするから、場合によっては自分たちの
食べる物がなくなって餓死してしまう可能性もあるの」
ヴァレーアは微笑みつつ言葉を続けた
説明に納得したのか、ウルリーカはうなずいた
その様子を見つつ、周辺警戒を行っているハインツとカーリンは
ヴァレーアの博識な知識に感心していた
ヴァレーアのおかげもあってなのか、群生地帯からの薬草採取作業は
大変な作業があった
雑草が生い茂り起伏の激しい採取ポイントを歩き回る事は、予想以上の
体力と気力を消耗する事はむろん、頭上を飛び回る虫を掻い潜って
採取ポイントを探すのも集中力を必要とするのだ




