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奇妙な冒険者  連載版  作者: 大介丸
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第119話

 

 オオシマは疾風の様にすれ違いざま、手に持つ

 苦無で次々と頸筋を斬り裂いていく

 ゴブリン達もただ指をくわえている訳ではない 武器を持ち

 立ち向かってくる

 時には飛びかかり襲い掛かってくるが、オオシマは経験に

 裏付けられた直感任せに身体を捻ってかわし、体勢を立て直しつつ

 カウンター気味に苦無で仕留めていく

   その身のこなしは素早さを極め、地形を活かして走っては跳び、

 気配を殺してゴブリンの背後に回り込み 確実に急所を狙って仕留める

 それは紛れもなく暗殺者の如きだ



 アトリーサは愛用しているの鋸鉈を煌めかせて、詰め

 寄ろうと駆け込むゴブリンを次々と両断していく

 ゴブリン達の攻撃は、アトリーサが使う鋸鉈で

 受け止められていた

 鋸鉈は振りが速いうえに小回りが利くためか、怯む相手なら

 ほとんど反撃を許さずに斬り伏せる事ができる

 また、振りが速いために一撃一撃が素早く、そして重い

 加えて刃の部分が鋸状になっているため、刃での攻撃と

 同時に相手を傷つける事が出来る

 的確に弱点を狙い、回り込みへの対応を試みたゴブリンを

 次々に斬り捨てていく

 アトリーサに襲い掛かるゴブリンの中に、歴戦の傷を刻まれた

 年代物の鎧を着込み十文字型の槍を両手に構えたゴブリンがいた

 おそらく、このゴブリンが群れのリーダーなのだろう

 他のゴブリンよりも大きく強靭な肉体と、鋭い眼光を放つ隻眼は、並々ならぬ

 威圧を放っていた

 剛腕から繰り出された十文字型の槍がアトリーサの頸元へと迫るが、

 紙一重で避ける



 正確に狙い澄ました一撃で、大地に突き刺さり、衝撃によって

 舞い上がった土煙が辺り一面を覆い隠す

 土煙がおさまると、崩れ落ちる様に倒れていたのは年代物の鎧を

 着込んでいたゴブリンだった

 首の骨を180度回転させ絶命していた

 おそらくオオシマが背後より忍び寄り、ゴブリンの首の骨をへし折った

 のだろう

 まさしく「忍」というに相応しい見事な手際だ

 リーダーゴブリンを倒されるの同時に、ハインツが何か言う前に

 ゴブリンの群れは一掃された後だった

 カーリンとハインツ、そしてタルコット達は一度も動く事無く全て

 片付いてしまった

 カーリンとハインツは特に呆気に取られていたが、タルコットや

 カルローラ達は眼をキラキラさせて、興奮した様子で拍手をしていた



 戦闘終了後、ハインツ一行は死骸となったゴブリンの後始末をはじめる

 ここでの後始末をしておかないと、後々死体はやがて腐っていき

 最終的にはゾンビ化する

 そうなるとただの魔物ではなく、魔物の亜種として分類される

 しかし、ゴブリンのゾンビは比較的に弱い部類に入るがそれでも

 一般人にとっては脅威となる

 ゾンビ化を防ぐには、死骸の首を刎ねるか余裕があれば

 燃やす必要がある

 それが普通なのだが、大幅に時間を短縮できたのは、『回復士』テレンスと

『迷宮道士』カルローラコンビによる

『清めの儀式』があったからだ

 2つの『職』による『清めの儀式』方法は異なってはいた

『迷宮道士』カルローラは、火を灯した『蒼蝋燭』を

 1か所に集めたゴブリンの死骸を囲うように置く

 続いて、中央に霊力を込められた鶏血で呪文を記されている

 黄色の紙を二枚置く

 そして『迷宮道士』職の独特な印を結ぶ

 すると、ゴブリンの死骸を中心に青白い光と熱を放ち、ゴブリンの

 肉は焼かれ骨だけとなり灰となって消えていった

 次に『回復士』テレンスの『清めの儀式』方法は、寺院の

 僧侶の祈りのような独特の詠唱を唱え始める

 それは、この世のあらゆる悪しき物、魔、邪、混沌を祓い、善きものを育み、

 天の加護を受けるための祝詞である

 外見はガチガチの肉体派の前衛職にしか見えないにも関わらず、その声色は

 美しく澄んでおり、まるで天上の神々へと

 呼びかけているように聞こえる



 まるで大僧正が高説を述べているような厳かな雰囲気さえ感じさせる

 そして、テレンスは聖印を結び、両手を大きく広げて祈る様に目を瞑る

 すると、ゴブリンの屍の周りに光の粒子が舞う

 光の粒は次第に数を増していき、ゴブリンの屍を覆い隠すとその

 効果なのか屍は骨だけとなり灰になって消えた

 それと同じように光の粒達も消えていた

 共通している事は、後に残っているのは『魔石』だけが

 残っているだけだった



「2人の『清めの儀式』とやらは凄い!」

 カモサワが、初めて目の当りにしたのか興奮気味に声を張り上げる

 それは、ハインツ達も同じでこの光景を見て驚愕している様子だった

 それ以上に衝撃を受けているのは、ハインツとカーリン古株コンビだ

「こんな高度な『清めの儀式』なぞ見た事も聞いた事もないぞ!!」

 カーリンが震える声で、ハインツに向かって言う

「 『迷宮道士』という職による『清めの儀式』なんか見た事はないが、俺でも

 あれは真似できないと思うぜ……」

 ハインツ自身も同意見だった 今見ているものは、今まで見てきたどの様な

 技術よりも高度で精密なものだと感じたからだ


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