第108話
「・・・・あの不気味な剥製を展示するのかよ」
ベイセルが若干引き気味に『サブ・ギルドマスター』アルヴィンに尋ねた
「一方の冒険者組は『ゼノモーブ』の姿は観ていないし、一方の冒険者組
『浸食魔』は観ていない
また、その両方を見ていない冒険者組もいるからさ
そのため互いに言葉で幾ら説明してもいまいちピンときてないから、
実際に観てもらうのが一番分かり易いしょ?」
『サブ・ギルドマスター』アルヴィンが笑顔を浮かべつつ、
そう応える
「他所から来訪する冒険者や依頼者に、『ここは魔王城か!』って
言われても知らねぇぞ・・・
さて、次はと・・・そうそうお待ちかねの『迷宮』についてだ
ロージアン領内には、今の所未探索のため全容が全く掴めない
『迷宮』が2つ存在するんだ
その2つとも魔境内にあるんだが、1つは魔境大森林深部の東側
それらを偶然発見したのは、俺の死んだ爺さんなんだ。
ただ、言った通り冒険者不足も原因ではあるんだけど、内部は
未探索なため内部がどれだ広いのか、階層は幾つなのか、
魔獣や魔物の種類はどれだけの数が棲息しているのかは不明さ」
ベイセルがそう言いつつ、『サブ・ギルドマスター』アルヴィンへ
視線を向けた
「赴任してまもなく、ちびっこ先生から2つの『迷宮』の位置情報が
掲載されているある蔵書を渡された
位置情報を元に調査に行った所、深部全体は湿地帯で随所で
魔獣や魔物の縄張り争いが絶えない魔境と化しているため、
遠回りをしないといけない等で、辿り着くにもかなりの日数を要しちまった
───位置情報を元に目的地付近を探索すれば、確かに『迷宮』の
入口があったよ
そこは岩壁洞窟の様になっていて、中に入ると下り坂になって
奥へ続いていたんで内部に入ったんだが・・・
地上に棲息する魔物や魔獣とは桁違いに強力な力を秘めた
気配がそこかしこにあったから、途中で引き返した」
アルヴィンは、冒険者たちの貌をぐるっと見渡して言葉を発する
ハインツ中心メンバーを含めた300人の冒険者達も
聞き逃さないように黙って耳を傾けていた
「・・・」
ベイセル、『ギルドマスター』エンゲルベルト、クロワ、そして領主も
余計な口を挟まない
室内は静寂に包まれており、皆の緊張感が伝わってくる
「──2つ目の迷宮は、魔境大森林深部よりさらに奥へ進んだ
魔境深層林西側に位置してる
魔境深層林はそこでしか遭遇できない魔獣や魔物が棲息し、領主様も
立ち入りを禁じているほど危険な領域でもあるんだ
ま、そこでしか採取できない素材が多数あるんだが・・・。
位置情報を元に調査に行った所そこにも確かに古代遺跡が佇んでいたんだ。
一つ問題があるとすれば、そこは上級冒険者向けの『最高危険迷宮』並みの
危険度を孕んでいることだ」
アルヴィンが再び言葉を区切って、冒険者たちの様子を見渡す
「まさかと思うが、そんな危険な『迷宮』探索も冒険者階級制限無しなのか?」
一人の若い人間種の冒険者が挙手をして発言した




