第106話
「そんな理性も正気もなく、油断も隙もねぇ魔物や魔獣がうようよいる場所が、
散歩コースな訳ないだろ!?何言ってんだよ!
あとちびっこ先生って言うのはやめろ!
・・・『亜種』『希少種』の他に、ロージアン内では幾つか呼称している
種類があるんだ。
あくまで俺の死んだじいさんが残した蔵書を『ギルドマスター』の
おっちゃんが採用してくれたんだが・・・」
ベイセルが『ギルドマスター』エンゲルベルトに視線を向けつつ話す
「ちびっこ先生の爺さんが残した蔵書は、『冒険者ギルド』としても
有益だったからだ。
その幾つかの種類については、俺からレクチャーする
1つは『冒険者ギルド』も認知し冒険者なら知っている、さまざまな
理由で棲み処や群れを追われ渡り歩くように旅をして
縄張りを持たないためどこにでも出没する『放浪者』個体
これについては問題はないが、次から話すのが呼称を採用した
上位種になる
まず2つ目は、限りなく原種に近い外見だが自然淘汰や
生存競争を生き抜いた末に変化した個体で、原種よりも
遥かに凌駕し特殊な能力を有した『二つ名持ち』個体だ
そして3つ目は『歴戦種』個体
これは縄張り争いで戦闘経験を経た個体で、より強力かつ狡猾になり
縄張りに近寄るものを容赦なく排除するため非常に危険種類だ
さらに4つ目は『覇王種』個体
ちびっこ先生の爺さんが残してくれた文献によれば極めて強力な個体であり、
中には天変地異を引き起こすことができる個体や
異常に高い知性と統率力を持ち、多数の上位種を従え大規模な
群れを形成する個体が存在するらしい
まあ、遭遇率は限りなく低いみたいだが」
『ギルドマスター』エンゲルベルトがそう言い終えると、室内は
静まり返った
『亜種』『希少種』『放浪者』という名称は、この会議室にいる
ハインツを含めた冒険者達は何かと知識としては知っているものの、
初めて聞く名称が複数あったからだ
話す様子からして冗談を言っている様子がまったくないため、会議室にいる
ほぼ全員の冒険者達は『ギルドマスター』エンゲルベルトが
言ったことが真実であると理解した
「少なくとも俺は『覇王種』個体といった存在は信じてはいない。
『覇王種』個体についての蔵書なんて、ありゃぁじいさんが
辺境地域のあちらこち歩き回って集めた魔境怪談や迷宮伝説、はては
酒場で吟遊詩人が歌った詩歌や 冒険譚を、自分の妄想を混ぜた創作話さ
どうせ俺の様な子供や新人冒険者に魔獣や魔物の恐ろしさを伝えるための
作り話だろうよ」
ベイセルが自嘲気味に笑いつつ話す
「ちびっこ先生よ、この世界について深く知っている者なんていなんだぜ?」
エンゲルベルトが真剣な面持ちでベイセルに語りかける




