第101話
「ちびっこ先生は余計だ!
ったく、本来はアルヴィンの兄ちゃんや『ギルドマスター』の
おっちゃんがする事だからな
仕事放棄した『冒険者ギルド』に代わってレクチャーを続けるよ
このロージアンは辺境で生活する俺達住民に恵みを与えてくれるありがたい
土地なんだが、 それと引き換えに
常に魔境の魔物や魔獣の脅威に晒されているんだ
恵みは平等にも魔物や魔獣なんかにも与えられているため、他の地域とは
違って魔物や魔獣達も強靭なる個体が多いんだ
なんせ、ここのゴブリンからは『魔石』が獲れるんだぜ」
ベイセルがニヤリと不敵な笑みを浮かべて語る
先程までの子供じみた表情や態度から一変し、獲物を狙う野性的な
表情へと豹変した
その変わりようにハインツ達は思わず息を飲むがそれ以上に驚いたのは、
ゴブリンから『魔石』が採取できるという情報だった
『魔石』は魔獣や魔物の体内に生成される魔力の結晶体であり、魔法を
使用するために必要な道具や魔導具の動力源となる重要な資源だ
しかし、その素材としての価値は極めて高く、市場に出回っても高値で
取引されるので入手は困難を極める
魔獣の生息域や魔物との戦闘で確実に手に入れられるわけでもない。
重要な資源である『魔石』が、この辺境に棲息する一般的に
最下級とされるゴブリンから採れる事は衝撃的な情報は、
他の地域からやってきたハインツ達を含めた冒険者達に取っては、かなりの
驚きであった
「ここのゴブリンから魔石が獲れるのか!?」
ノーム種族の冒険者が挙手しながら問いかける
それについて口を開いたのは、ロージアン領主だった
その表情は先程の穏やかなものではなく、真剣な眼差しを向けていた
「その通りだ
魔物の脅威に晒されているのは大陸各地に点在する他の領地や
都市においても同様だ
が、この様な辺境でも生活水準を維持できているのはゴブリンからでも
『魔石』が取れるからだ
ここは肥沃な大地な事もあり、ゴブリンの繁殖力もかなり
強く放っておけばすぐに大群化するため
ロージアンではゴブリンを定期的に討伐するよう推奨している」
ギルベルト=フォン=バルツァー領主が冷静に説明をしていく
それは、レクチャーを受ける冒険者達にとって非常に有益な情報だった
相場でも約金貨10枚以上の値段がつく高価な『魔石』が、多いだけの
雑魚と一般に認知されているゴブリンから採取できるとなれば
この近辺に生息するゴブリン達を駆除するのは最優先事項と言っても
良いだろう。
現に300人の冒険者達の半数が貌付きが変わり、瞳には強い意志が
宿っていた
「それとゴブリンに関してこのロージアンでは、他の『冒険者ギルド』の
様に掲示板に討伐依頼が張り出される事は、基本無いと思ってくれ。
理由は余りにも多すぎるためだ。
なので見つければ必ず討伐してもらいたい。それと出来れば討伐の
証として耳は切り落として持ち帰ってきてほしい
畑などの肥料代わりになるのでな。
報酬の方は出したいのがその余裕がこの『冒険者ギルド』にはないので・・・
ゴブリンから採取できる『魔石』を自由に使ってもらって構わない」
『ギルドマスター』エンゲルベルトが口を挟んで言った言葉に
冒険者達のテンションは一気に上がり、全員がやる気に満ちた
表情になる。




