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奇妙な冒険者  連載版  作者: 大介丸
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第1話

 その理解出来ない光景を目の当たりした、男性冒険者のハインツはただ、

 唖然とした

 最近自分達のパーティに入った1人の男性冒険者タルコットが行っている

 奇怪な行動についていけなかったのだ

 それは、この世界の常識を覆す行為だったからだ


「ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い

 ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い  ファイア来い」



 タルコットは気迫る表情を浮かべながら、その言葉をただ繰り返しつつ

 迷宮の壁に額を繰り返しぶつける奇行を行っていた

 その様子は狂気に取り憑かれたようにしか見えず、ハインツには

 異様に見える行為だ

 タルコットは、ハインツが『冒険者ギルド』パーティ人員募集の掲示板に、

『攻撃魔法習得した冒険者求む』の

 張り紙を貼った所から、『冒険者ギルド』経由で加入してきた冒険者だ

 その時冒険者ギルド職員が微妙な表情を一瞬だけ浮かべていた


「(どうしたらいい? こんな事一言も紹介時に言ってなかったぞ!!)」

 ハインツはその異様なタルコットの姿を見ながらそう思った

 まさかこのような行為をしないと唱えられないという事は言ってはいなかった。

「おいっ、早く魔法を唱えろって言えよっ!! 」

 前方からパーティを組んでいる男性冒険者が吠えるように叫んだ

「だったら、あなたが言いなさいよっ!!」

 それに応えたのは、甲高い声の女性冒険者だ

 その女性冒険者は回復魔法を習得している女性冒険者だ

 彼女は、今現在パーティメンバーの男性冒険者に怒っていた

 若干、声が震えてもいた

 何故なら彼女も、タルコットが行っている奇怪な行動を目撃していたからだ

 心強い女性冒険者も、ひたすら迷宮の壁に額を繰り

 返しぶつけている行為は、異常としか思えなかった



 しかもその行為を行っている人物が、最近自分が加入して来たばかりの

 冒険者だという事に 困惑していた

 女性冒険者は、男性冒険者に対して怒っているというより怯えているという方が

 適切だろう

 しかし男性冒険者は、そんな彼女の気持ちなど知る由もなく前を向き、

 魔物と闘っていた

 前衛を務める彼は、迫り来るゴブリンナイト3体に対して

 戦斧を振り回しながら 立ち向かっている

「(どうしたらいい? 一体どうしたらいいんだっ!?)」

 ハインツは目の前で行われている異常な状況を見て、思考回路が停止寸前まで

 追い込まれていた

 彼が知っている限りの常識では考えられないような光景が繰り広げられている

 そんな奇行行為を行っているタルコットも、しばらくすると

 その行為をやめると迷宮の床を爪先と 踵で踏み鳴らした

 音が響き渡っていく

 それは、まるでオーケストラの指揮者のようにも見えた


「ファイア来たので唱えます。『ファイア』」

 タルコットは額を血で染めながら、ハインツ達の方に顔を向けると

 口を開いた

 その言葉を聞いた瞬間、ハインツは全身の血の気が引くのを感じた

 それは、女性冒険者も同じだったようだ

 タルコットの掌に水晶玉よりかなり大きい炎の玉が出現した

「(いやいや!! それファイアはファィアでも、ファイアボールじゃないのかっ!?)」

 ハインツは理解出来ない光景を眼の当たりにして、心の中でツッコミを入れていた

 出現させた巨大な火球は明らかにファイアではない

 タルコットの生み出した火の玉は、真っ赤な色で明らかに普通の

 魔法のレベルを超えているファイアーボールだ

 そしてハインツの心の叫びは、誰にも届かない

「おいっ、魔法唱える準備終わったのなら、さっさとしろよっ!!」

 前方から再び、パーティを組んでいる男性冒険者が吠えるように叫ぶ

 ハインツは、その怒鳴り声で我に返った


 タルコットは、その巨大なファイアーボールを無造作に前方に投げつけた

 その巨大な火球は炎の尾を引き、凄まじい熱量を放ちながら前方に向かって

 飛んでいく

 その火球を見たハインツは、本能的にヤバイと感じた

 飛んで行く先には、武装したゴブリンナイトが4体いた

 その巨大な火球を見ると武器を構え迎撃態勢を取るが、火球の方が早かった

 火球は凄まじい熱量を放ちながら、瞬く間にゴブリンナイト達を

 飲み込んでいった


「(ああ・・・冒険者ギルド職員が彼を紹介しつつ、微妙な表情を浮かべていた

 理由がわかった)」

 ハインツの視界には、燃え盛る炎に包まれていくゴブリンナイト達が映っていた

 魔法詠唱の常識だと、あんな奇行行為を行わなければ発動しない

 なんてありえないのだ

 しかし実際にタルコットは、それをやってのけた

 しかもその魔法は、一般的な魔法と比べて威力が段違いなのだ

 その証拠としてまだ迷宮の通路にいるにもかかわらず、前方から爆音と共に

 土煙が立ち上っている

 また冒険者ギルド職員からの紹介では、タルコットはつい

 最近『冒険者ギルド』で

 登録したばかりの新人冒険者であると説明を受けた

 つまり、冒険者としての経験が浅いはずだ

 それにもかかわらず、この破壊力の魔法は異常だ

 ハインツは、目の前の光景を

 呆然と見つめる事しか出来なかった


「(まさかとは思うが魔法唱えるたびに、あんな事するんじゃないだろうな)」

 ハインツはそんな不安を抱きながら、タルコットに視線を向けた

 奇行を行い魔法を唱えたその本人は、額から流れる血を拭いつつ

 何かやり切った様な爽やかな表情をしていた


 ハインツはその表情を見て、思わず背筋が寒くなった

   彼の頭の中には、タルコットが呪文を唱える度に

 額をぶつける奇行を行う姿が浮かんだ

 そしてそのイメージが現実にならない事を切実に願うのであった

 また、女性冒険者の方は何か現実逃避をしているような感じだ 彼女は、自分の

 知っている常識から 逸脱した出来事を目にして放心状態になっていた

連載班です(何か違う

カクヨムとノベルアップにはすでに122話までは投稿しています

今年中には122話分をなろうに投稿するのは無理っす

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