不良に絡まれた結果
不良に絡まれて俺モード発現!
ノベルアップ+でも連載中です。
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僕の胸の鼓動が耳に響き渡っている。胸が締め付けられているような感覚。顔が赤くなっていくのが分かる。
「これからよろしくお願いしますね、青野くん。」
やばいやばい。なんにも頭に浮かんでこない。返事をしなきゃいけないのに。
「えっと、その、なんというか。と、取り敢えずこれからよろしく......。」
僕がしどろもどろにそう言うと、彼女は僕の方を満面の笑みを浮かべながら言った。
「はい。で、さっきの事について質問があるんですけど。」
胸の鼓動が収まらない。有り得ない。何かの間違いだ。なんで僕は懲りずに同じ間違いを繰り返そうとする。『恋愛』は、僕なんかには不要の産物だ。
※※※
「よーし、お前ら。新しい席に移動しろー。でも視力的にこの席は絶対無理!なんだったら言えよ。ほい、移動!」
クラスメイトは自分の荷物を持って移動し始める。そして肝心の僕はというと。
今だにドキドキしている胸に対して戸惑っており、席替えどころではなかった。
「おい、お前いつまで俺の席に座ってんだよ。あぁん?」
「なんで僕はドキドキしてる?なんだよ、これ。これじゃあまるで僕が『恋』したみたいになってんじゃん。」
「なにブツブツ言ってんだよ。おい、お前早くどけよ。そこ俺の席なんだよ。ぶっ殺すぞゴラァ!」
僕はその一言で正気に返った。ポカン、と怒鳴ってる奴を見上げた。赤く染めたと思われる髪、何個もピアス穴が空いている耳。あ、不良か。
「てめぇ無視してんじゃねぇよ。聞いてんのかテメェ、頭ぶっ飛ばすぞ?」
「いや、僕は無視してる訳じゃ...
僕の答えを遮る用に、机がバンッ、と大きな音をたてた。不良Aが僕の机に手の平を叩き付けていた。気づいた時にはほとんどのクラスメイトが僕らの様子を伺っている。クラスに緊張が走る。
「おい、お前ら。何事だ?」
これぞまさに鶴の一声。ふふふ、残念だったな不良Aよ。この密室には絶対王者がいるのだ。そしてそれはお前じゃない。
「あぁ?先生は黙っとけ。これはこいつと俺の問題なんだよ。おめぇのじゃねぇよ、もう一回首突っ込んできたらシバくぞ?」
「ヒ、ヒィィィ!」
あれ、今もしかして王権取られちゃった?なんでこの密室の王様がガタブル震えてるの?
「そうだよ先生、わかりゃあいんだよ。どっか行ってろ。でよー、そこ俺の席だっつってるよな?何回言わせんだよ。早くどけよ殺してやろうか?ああ?」
これは今すぐに退いた方がいいな。そして僕は無言で立ち上がった。
「ああ?お前は謝罪さえしねぇのかよ。」
僕は完全に無視して彼の横をすり抜けようとした。
「俺がお前を見逃すとでも思ってんのか?おい聞いてんのか根暗!」
僕は道手を阻む彼を何も言わずじっと見つめた。
「てかさっき聞いたんだけどよ、お前あそこにいる香織ってやつの幼馴染なんだって?良いのか?お前のせいであいつがどうなって...ぐっ!」
それは僕に絶対に言ってはいけない禁句だぞ?
僕は気づいた時にはクソ野郎の胸ぐらを掴んで殺気と共に睨み付けていた。
「おい、虫けら。香織を狙うつもりか......?」
虫けらを掴む両手に力が入っていく。
「なんだ、お前。こんな事して許されると思って...」
「あ?うるせぇよ。香織を狙うつもりかって聞いてんだよ。質問してんのは俺だ、さっさと答えろよ」
「おい根暗、イキってんじゃねぇぞ。」
突然、不良Aの右ストレートが僕の顔に放たれた。そして僕はそれをあえて顔に受けた。当然ながら僕は後ろに倒れ込む。周りから悲鳴が聞こえる。それでも僕は立ち上がる。これで正当防衛になった。
「はあ、殴ったな。お前から始めたんだからな。これで正当防衛だ。」
「ああん?根暗ごときが俺とやり合うのか?バッカじゃねーの。」
「うるせぇよ」
僕の右フックが不良Aを攻撃。不良Aは気絶した。何故か突然頭の中で流れ始めたボゲもんモンズダーというゲームのコマンド通り、不良Aは僕の右フックで倒れた。
「狙うなら香織じゃなくて俺を狙えよ。イキってる雑魚が」
沈黙。
クラスの沈黙は無事俺モードから帰還した僕に、耐えることが出来ないほどの精神ダメージを与えてきた。
沈黙。
もうやめてくれ。殺してくれ。結構くさいセリフ言ってた気がするから。
沈黙。
ねぇ、今の見てたよね?前髪で目が隠れてるTHE根暗がクラスの不良一発で倒しちゃったんだよ。普通は驚かない?
沈黙。
本当になんか反応してよ。
沈黙。
も、もう無理。
沈黙。
ギブ、ギブだから。
「きゃぁぁぁ!」「あいつすげぇぇ!根暗だけど。」「カッコよすぎかよ......。根暗だけど。」「男として憧れるわー、根暗だけど。」
あ、急に反応した。根暗根暗言い過ぎだと思うのは僕だけなのか?ていうか今思い返してみると僕かなり恥ずかしいセリフ連発してたような。
あれ?香織が顔真っ赤で俯いてる。そんなに不良に名指しされたのが怖かったのかな。後で慰めてあげよう。亮太は亮太でこっち見てニヤニヤしてるし。
「ねーねー、青野くん。君ってさ新庄さんの事好きなの?てか付き合ってるんでしょ?」
「青野くんは新庄さんの何処が好きなの?」
「今の結構かっこよかったよ、根暗だけど。」
なんか過激な女子たちに囲まれてるんですけど。てか僕が香織の事を好きって、別に好きじゃないんだけど。誤解は解いておかないと痛い目にあうから直ぐに解いておかなければ。
「僕、香織と付き合ってる訳じゃないんだけど...。」
「「「「「「へ?」」」」」」
「いや冗談キツいよ青野くん。」
「いやまじそれな」
「さすがに今のを見てたらもう好きとしか思えないんだけど。」
あれ?信じてもらえてないぞ。でも香織にも好きな人が居るだろうし僕と付き合ってるとか噂が経つと可哀想だからここはしっかりと否定しておかなければ。
「てか僕は香織の事恋愛対象として見てないし、まず香織には好きな人いるし。だから別に付き合ってないし好きでもないよ。ただの幼馴染ってだけだよ。」
周りの女子から白い目で見られてるんだけど。
「じゃあなんであそこまでしたのさ。」
ああ、そういう事か。確かに今思えば、あの時の僕は好きな人が乱暴されるのを絶対に阻止する、そんな態度を取っていたかもしれない。でも僕が香織の事であそこまで怒ったのは......
「香織が日本に引っ越してきた時に、香織の事をよろしくねって香織のお母さんから頼まれたから...です。」
つい語尾に、です、を付けてしまう。本能的に僕が彼女たちより社会的地位が低いと認めてしまっているみたいだ。
「「「「「「え、それだけ?」」」」」」
え?
香織が真っ赤な顔で僕を睨んできていたのは気のせいだろう。うん、そう信じたい。まずなんであんなに怒ってるんだ?誤解は解いたのに。
次の話で冒頭に繋がります。
本当は今回の話でそこまで行きたかったんですけど。昨日投稿出来ず申し訳ございませんでした。これからは毎日投稿を目指して......。
いや嘘は良くないですね。一週間に四話ほど公開していきますのでこれからも今作をよろしくお願いします!