香織① 前編
香織の話でっさー。衝撃展開のはず......。
ノベルアップ+でも連載中です。
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僕は彼女から目を離せなくなってしまった。間抜けな事にあんぐりと口を開け、彼女の顔を見つめてしまう。
「よし、次は井上」
「...ッ」
先生の言葉に我に返る。慌てて彼女から目を離した。彼女から目を離しても、不思議な事に僕の胸はしばらくの間、高鳴りつづけていた。
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私には幼馴染が居る。まずは話を進める上で大前提として言っておく。私は決してアホな訳では無い。ただ、事情があってアホを演じている。
私は、最愛の人である私の幼馴染みの側に居るため、ただ好きな人の為、アホを演じている。
話を進めよう。青野優斗、私の幼馴染みとは小学生の頃からの付き合いである。隣の隣に引っ越したと言っても、そこまで関わり合いがあった訳じゃない。それでも、朝の登校中に偶然会って、一緒に登校した事もあった。つまり、小学校低学年の頃はそれなりに仲の良い異性、というポジションだった。
それまで恋愛に興味が無かった私が、そんな幼馴染みの事を好きと自覚したのは、忘れもしない雪が降っていた日だった。私がまだ小学6年生だった頃の2月14日。つまり、小学校最後のバレンタインデーだった。
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小学生の頃、私はかなりモテていた。自分で言うのもなんだが、私はハーフの美少女である。(別にぶりっ子って訳じゃない。違うって否定すると周りの子から調子乗ってるって思われてしまう)
でも周りの女の子たちは私が気に食わなかったらしい。
小学校高学年にもなってくると、異性に対して興味を持ち始める。
考えてみて欲しい。意中の相手が必死に他の女性の機嫌を取っている光景を。私の場合、意中の相手は幼馴染のゆーとだ。私は私以外の女に優斗が優しく接しているのを想像すると、自分でも信じられない程のドス黒い感情が溢れ出てくる。いや、あの時も溢れ出てきていた。
だから私は、男子の興味を独占していた私が女子の一部からちょっかいを掛けられるようになるのは当然の事だったと思っている。しょうがない事だ。私も優斗が私以外のモノになると考えると、殺してでも奪い返すと心に誓っている。そして、その行為は当然のように、時間が経過するのと同時にどんどん悪質になっていった。
最初の頃はクラスの一部の女子から無視されただけだった。そんな中、当時の私は自分が悪いと思い込み、事情を把握しようともせずに只只必死に謝っていた。今でも思い出すと吐き気がする。
「(ごめんね。何か気に触る事をしたんだったら謝る。だから無視しないで!ごめんなさい)」
必死にクラスメイトの女子に謝っているまだ小さい私の姿が目に浮かぶ。わなわな震えて涙目で謝っている私を見ながら笑っていた事に今更ながら腹が立つ。それでも、私は怒りを押さえ込んだ。
時間が経つにつれて、私を無視する生徒が増えていった。
そして小学六年生になった春、私は同学年の女子から相手にされなくなった。
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でもそれはまだマシだったのかもしれない。六年生になると、何故かみんなは精神的に急激に成長する。それは今まで男子たちが物怖じして出来なかったある行為を、ほとんどの場合行えるようになってしまった。
それは告白である。
私は六年生になって約一ヶ月、自分に自信がある男子に連日のように告白されていた。そしてそれは、私を底が見てない渓谷のどん底へと突き落とした。
私が男子に呼び出される回数が増える度に私への当てつけは悪質になっていった。筆箱を隠す。教科書を濡らす。箒で集めたゴミを飛ばす。そして彼女たちはこんなものにまで手を出し始めた。
彼女たちは私のある噂を立てた。
「新庄香織は本当はただのクズ女で、男子がその場にいるいないで態度がまるっきり違う」
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そんな噂が流れても、私に告白してくる男子の数は減らなかった。
その理由は噂を流した女子にあった。その噂を聞いた数名の男子が「じゃあその様子撮影してこいよ」と言ったらしい。そして一向に撮影したものを見る事が出来なかったようで、男子の中に噂を信じたやつはほとんどいなかった。そんな嘘を付く彼女が悪い。自業自得である。
割愛。
そんなような事が続いた。そして運命の日。2月14日、小学校最後のバレンタインデーはやってきた。
香織はちょっと独占欲が強くて、↓
(ドス黒い感情が溢れ出てくる)
ストーカー気味な、↓
(あくまでも偶然、朝学校に行くのが一緒)
ハーフの美少女です。