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ルナ外伝 ~月の約束~ 1

 300年前、〝自然郷〟のヒの一族の大陸、ハイエンク大陸南西部にあるハイエンク大陸第3の都市〝ベルボール〟。


 その〝ベルボール〟という街で、約30年にも及ぶマフィアの派閥争いが行われていた。


 先代ボスの意思を継ぎ、街や人々に寄り添いジェノサイドなどから街を護る役目を全うしようとする先代の弟。


 そして先代の意思は継がず、〝自然郷〟全体で名を上げる組織に改革しようと侵略行為に及ぶ先代の息子。


 〝ベルボール〟は南北に分裂し、ちょくちょく小競り合いが発生していたが、30年が経ち息子派閥がついに宣戦布告。


 〝ベルボール〟を巻き込んだ凄まじい紛争に王政は手を出せず、コーゴーに救援要請を出した。


 そこで現れたのはたった1人の上等聖戦士。


 特等では無く、1つ階級が下の上等聖戦士である。


 ただそのたった1人の上等聖戦士が、半日で〝ベルボール〟の息子派閥を壊滅に追い込み、ついにアジトに乗り込んだ。


 「だ、誰だ貴様!!」


 凍てつくような鋭い目と多量の返り血を浴びたその姿は、まさに鬼の如し。


 約300人近くのマフィアを剣のみで斬り伏せ、アジト最上階の先代の息子の部屋まで乗り込んできたのだ。




 「俺はコーゴー平和執行局上等聖戦士序列11位───名はルナ、姓は無い」




 コーゴーの名を出すだけで、圧倒的な力であることを証明することが出来る。


 「このっ!!」


 先代の息子の護衛をしていた4人の黒服が、一斉に右手の平をルナに向け火の弾丸を発射するが、ルナは剣で斬り刻み防ぐ。


 そして嘲笑うように最低限の動きのみで、瞬時に黒服達を斬り伏せる


 「……逃げたか」


 黒服の抵抗の間に先代の息子は、机の下に設置されていた地下通路を通ってアジトを脱出していた。




   ※ ※ ※ ※




 「はぁ……はぁ……ぐっ……」


 用意された出口へと幹部の部下と共に下水道を走る先代の息子。


 「あと少しですボス!」


 「ああ!……はぁ……はぁ……」




 「遅かったな」




 しかし呆気なくルナに先回りされた息子達は足を止め、幹部3人は戦闘態勢に入る。


 「何故このルートが分かった!」


 「言う必要は無いだろう」


 ルナの呪力である〝未来予測(プリデクション)〟を以てすれば、息子達がベルボールのどこから現れるのかの未来を見てそこへ向かえばいいだけの話だ。


 「そして事態の早急の解決を望んでいる……ジェノサイドの幹部よりは強そうだが、俺の敵では無い」


 そう言い終わった時には幹部の1人の喉元に剣を突き刺しており、剣を抜くと薄暗く異臭漂う下水道に鮮血が飛び散る。


 誰もルナの行動に追いつけないまま剣を2振り、幹部は時間にしてほんの2秒で駆逐された。


 「ひっ……い……」


 部下の屍から顔や髪、体中に血が噴き出し飛び散る。


 尻もちをつき、ルナの姿に恐れおののいた息子は声にならない声を上げ、全身を震わせる。


 「た、頼む、助けて、助けてくれ……500万、いや1000万レール出そう! だから、頼む! 命だけは!!」


 「残念、お前の首に懸かった賞金の方が高い」


 無慈悲な銀閃が、新たなる鮮血で赤く染まる。


 半年近く続いた一般市民を巻き込み、死傷者約8万人を出した壮絶な紛争、そして30年近く続いた不毛な派閥争いに終止符が打たれた。




 これがコーゴー戦士ルナの名を一躍全世界に轟かせた、〝ベルボール紅蓮の11時間〟事件である。

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