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ニアイコール・タイム  作者: 子無狐
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00 - 零 / 夢に迷い込んだのはいつなのか

 ――手に入らないのなら。

 離れるのなら、いっそ、壊れてしまえば。

 そう、考えた時も、あったけれど。

「ご臨終です」

 対面した、冷たい躯。棺に横たわる、なんとか姿を保った、愛しい姿。


 ――これは、夢。出来の悪い、イヤに粘つく、よくできた悪い夢なんだわ。


 なのに、途切れることがない。覚めろ、醒めろ、冷めろ。何度も念じるのに、身体の重さが途切れることはない。

 夢なのに。頬をつねっても痛い、死者の冷たさを感じる、薄気味の悪い夢なのに。

 覚めないのは、あまりにもリアリティがありすぎるからか。

 この時ばかり帰ってきた父と母、悲しみに参列する知人達、そして……躯となった彼に寄り添う、涙を見せる女。


 ――全てが、悪い、夢ならば。


 喪服には似合わない高揚感に、わたしは、薄く微笑む。

「……おはよう、って、言えばいいのよね」

 わたしが、そう呼びかければ。

 ――もう一度、応えてくれる。


 あの日と同じ、違う時間の中で。

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