プロローグ
昔、この世には大罪を犯した者の子までも取り締まる、という法が定められた。
今も昔も、罪人は悪魔の使いであり、罪人の子は悪魔の子、忌み子である。と、信じられ、大衆は、それらを【咎児】と呼んだ。
だが、前国王が罪人の子の刑を奴隷から、『足枷』という新しい刑に改変したのだ。
改変の理由は、元国王へのクーデターを制圧するための兵器として造られ、実験として罪人に『足枷』をつけた。すると、自分と似ているクローンが出現する。
この兵器の圧倒的制圧力が評価され、戦線に送り込もうとする現国王が刑を改める事を口実に『足枷』を大量生産することにしたのだ。
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『足枷』取扱説明書
一、所持者への説明
・『足枷』とは咎児の人格を元に造られた、その子の人格とは逆のクローンである。
・『足枷』の所持者は、片足に分厚く硬い輪、つまり、足枷そのものをつけなければならない。
· 戦いで生き残った者は帰還しなければならない。
・ 戦いで撤退や、戦勝など帰還しなければならない場合、隊長が周囲の『足枷』の反応を察知して生存確認を行う。
・ 生存確認の際、生存Lvがあり、それにより足枷のランプの色が変わる 【快調】青、【普通】緑、【疲労】紫、以下は回収しないものとする。【瀕死】赤、【死亡】黒
・ 所持者が死ぬと『足枷』も消滅する。
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最後に、
・これらの規則は厳守すること。
・違反した場合、指名手配、直ちに処刑する。
【所持者】シュリ・シンシア
【人格】真正直
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たった今、戦いが終わり生存確認が行われている今、足枷のランプが赤くなり、即ち瀕死状態の俺はポーチの中から『足枷』の取説を開いている。そんなものがあったということも不明、又は忘失していたのか。あるいは、遺失していたのか。どれもやはり不明なのだが、一つ明確に分かることは・・・
「なんだよ、俺がなにしたってんだ・・・本当意味わかんない・・・」
その言葉は、この理不尽な世界の本質を確実に射止めていた。
そして、自分の視界が狭く、暗くなっていった。