3話「変態自己厨は混乱のあまり乱暴する」
1日空いてしまいました!
申し訳ありません!!
日本の人間が異世界転移する物語で定番の、その世界において反則級の力を持つ『チートスキル』。
あれは俺TSUEEEを楽しむための要素であると同時にバランスを保つためのものでもあると思うのだ。
平和ボケした世界で生きてきた人間が血生臭い戦いの世界で生き抜いていくためのハンデであると。
だってそうだろう、今まで無縁だった死や痛みや殺し合い。
そういったものを覚悟して戦いに望む異世界人と、そうれない日本人とが同じ条件で戦えるわけがない。
それに対して今の俺の状況はどうだろう。
レベル1で能力値はオール10。
リラは召喚儀式の説明の時、強力なアビリティを習得できると言っただけで、強いステータスを得られるとは一言も言わなかった。
つまり、恐らく俺のステータスは生まれたばかりの赤ん坊と変わらないのではないだろうか。
そして俺に許された唯一のハンデ、『異常学習』。
このアビリティは成長を促進するだけで、戦闘においての優位性はない。
つまり俺は異世界人と同じ条件で戦いに望まなければならないということだ。
痛みや恐怖に耐えながら化け物と殺し合いをしなければならない。
そして俺がやらなければいけないことは、この世界で戦士として生きていくだけではない。
最強にならなければならないのだ。
まとめると、俺は最弱から最強まで成り上がらなければならない。
それに至るには想像を絶する過酷な道のりになるはずだ。
たとえ異常学習があったとしても。
「……そんなことが……俺にできるわけねえだろッ!!」
俺は人の裏面を知っただけで恐怖に陥ったような男だ。
そんな困難に、豆腐メンタルの俺が耐えられるわけがない。
「……お願いします。もう貴方しか私達を救うことはできないんです」
リラはそう言うと頭を下げる。
「知らねえよ!!だったらくたばっちまえ!!」
そんなリラに対して俺は暴言を浴びせる。
……そうだ、死ねばいいんだ。
こんな困難に立ち向かわされるくらいなら、死んだ方が楽だ。
俺は舌を思い切り噛もうとする。
モンスターと戦う恐怖に比べれば、舌を噛みちぎる恐怖なんて大したことはない。
――だが。
『お願いします……私達を助けて!!』
俺が元いた世界で死ぬ直前、ティナが叫んだ言葉が脳裏に蘇る。
……だから何だよ。
確かに俺は彼女を助けることを了承したが、こんな壮絶なものとは聞いてない。
俺は再び舌を噛もうとする。
『怜くん……助けて……』
次に思い起こされるのは中学一年の頃の記憶。
俺は一人の少女に助けを乞われ、それに応えることができなかった。
少女が苦しんでいるのを遠くから眺めていることしかできなかった。
一歩を踏み出すことができなかった
『……同じことを繰り返すのか?』
もう一人の俺が問いかけてくる。
あの時、俺は少女を助けなかったことを酷く後悔したはずだ。
……でも、死んでしまえばそんなことは関係ない。
今度こそ俺は舌を噛み切れ――ない。
『怜君は一生後悔に苦しみ続けなきゃダメだよ?』
あの時、助けられなかった少女が脳内でそう囁いてくる。
ああそうだった、俺は何度も死のうとしたんだ。
だけどその度に彼女の声が聞こえた気がして、俺は死ぬことができなかったんだ。
つまり、俺は逃げることはできない。
だがここでリラと……そしてティナの頼みを断ることはできる。
結果的にどんな仕打ちにたったとしても、最強を目指すよりかは楽だ。
でも、俺は助けなかった後悔を、苦しみを二つ抱えて生きていくことになる。
「あぁ……もう分かったよ!!やってやるよ!!」
俺はヤケクソになって叫ぶ。
「えっ……?」
リラは驚いている。
俺がこうもすぐに折れるとは思っていなかったのだろう。
でも、俺はあんな後悔を二度もするくらいなら、困難に苦しんだ方が遥かにマシだ。
「……ただし、条件がある」
だが、信念を曲げるのはやめだ。
一回曲げた結果、俺は命を落としている。
「俺に対してのメリット……報酬を要求する」
「分かりました。私達で用意できるものなら何だって用意しましょう」
「できる。何故なら俺が要求するのは……」
俺はそう言うと一拍置くと、リラに――美少女に対して
「リラ。お前が俺の性奴隷になることだ!!」
と続けた。
ふっふっふ……さーてリラちゃんの反応はどうかな?
屈辱に顔を歪ませるのだろうか。
そんなリラちゃんを無理矢理……むふふ。
覚悟しとけよ、俺色に染めちまうからな……ぐへへ。
しかしそんな俺の要求に対するリラの反応は、
「……え?それだけですか?」
といった淡泊なものでした。
「……え?あれ?もっと何か反応ないの……?」
俺は拍子抜けしてしまう。
「いやだって……過酷な戦いに身を投じる対価がたかが女一人なんて……」
「女一人って……。もしかしてリラさん経験豊富でいらっしゃる?」
「いえ、処女ですよ。安心して下さい」
「安心って……初めてどころか今後こんな童貞野郎の夜の相手をしなきゃならねえんだぞ?しかも俺のことだから変なプレイを要求するぞ?もっと抵抗とかないの?」
「いえ、だってそれだけのお願いをしているわけですし……」
確かに、ここは平和な日本ではない。
だから身体を好きでもない相手に捧げることはよくある話なのかもしれないけど。
……なんだかなぁ。
「というか……レイヤさん。あなた確実に損してますよ。いくら童貞だからって……」
リラは少し呆れている様子だ。
童貞を馬鹿にされたことに少しだけカチンときた。
「……そこまで言うからには覚悟は決まっているんだろうな?」
「え、ええ……」
「じゃあ今から犯されても文句はないな?」
「ど、どうぞ?」
「……後悔したって遅いからな!!」
そこまで言うならいいだろう。
俺は両手をわしゃわしゃさせ、徐々にリラの胸部に近づけていく。
そして深呼吸をして覚悟を決めると、彼女の胸を鷲掴みにした。
「……おぉ」
両手に伝わる感触に感動を覚え、どんどん顔が熱くなっていくのを感じる。
リラの胸は体形と同様小ぶりだが、それでも十分柔らかい。
俺は意を決して彼女の胸を揉み始める。
胸の形が自身の手の動きに合わせて変わっていくのが素晴らしい。
「……んっ……」
リラが軽く息を漏らす。
そんな彼女の色っぽい仕草を見て、更に頬が熱くなる。
それと同時に、鼻の奥が熱くなってくる。
「そ、それじゃあ脱が……」
すぞと続ける前に。
俺の鼻から赤い液体――血液が噴射する。
「う……あ……」
そして俺の意識は途切れた。
◇◇◇
「……あっ、目覚めましたか?」
意識が戻ると、目の前にリラの顔があった。
そして後頭部には柔らかい感触。
どうやら俺は膝枕をされているようだ。
「びっくりしましたよー。顔真っ赤にして私の胸を揉んでると思ったら、いきなり鼻血を吹きだして倒れるんですから」
リラは呆れたように言う。
「……童貞でごめんなさい」
俺は再びこう言うしかなかった。
「いえ、レイヤさん。あなたはもう童貞ではありませんよ?」
「えっ、まさか俺が気を失ってる間に……!?」
初めては記憶にないとか悲しすぎる!?
「冗談でーす」
リラはそう言って悪戯っぽく笑う。
やだ何この子可愛い。
こんな子が性奴隷とか最高すぎるだろ、マジで。
最初は苛立ちしか感じなかった彼女の道化じみた態度が、今は愛おしく感じる。
おっぱい効果すげえな。
「……俺さ。頑張ってみるよ。出来るかどうか分からないけど……全力を尽くす」
「はい。ありがとうございます……」
ティナとリラのためならば頑張れる気がする。
いや、頑張ってみせる。
俺は決意を固めた。
……童貞でごめんなさい。
今回は多かったですが、全体的にエロ要素は少な目でいくつもりです。