第七十二話 7対500
「クリスマスが終わったばかりで悪いんだが以前言っていたアレ、今日やるぞ。全員にチャット送っておいた。」
団長である瀬田さんがいきなりこんなことを言った。アレっていうのは
「最近北風の騎士団の名前を使って我が物顔で歩きたいだけのやつ増えてきたしここらでシメようか。上位2パーティー対残りの戦闘メンバーな。」
という話だ。まさかガチだったとは。北風の騎士団の戦闘員って多分500人を軽く越えてるんだよな。
「ってことで今から模擬戦な。」
「まじですかー、正月用のお菓子確保しようと思ってたのにー。」
にぃなさんは自由である。
「じゃあ不参加でいいぞ。お前いるとちょっと理不尽すぎる気がしてたし。」
「さぁ、開戦だ!!」
眼前に広がる人の群れ。結局7人でこれと戦うのかよ。グレートインパクト使っていいかな。
「そうだ、隕石なしで頼む。」
もう隕石ではないんだけど、ダメだろうなぁ。瞬殺になっちゃうし。
「冥府の鎖・縛、常闇の衣、羅刹の闘気、吸収」
いつものスキルを発動する。吸収はクズノハに使った
「剣の讃美歌、鉄壁の練習曲、奇跡のアリア」
松本さんが歌で補助をする。内容は攻撃力守備力上昇、攻撃時hp回復だ。
各自準備はできたようだ。向こうも準備万端なようで魔法がばんばん飛んでくる。
「悪魔降下『マモン』」
14の分身を肉壁にする。無論ダメージはないが。
「なんか大したことなくね?ちゃっちゃと終わらせれそうな気がしてきた。」
ヘラヘラしながら瀬田さんが言う。そして突っ込んで行く。普通に斬り合ってる。アホだろあの人!!
と、思いつつ俺も便乗。範囲攻撃がない瀬田さんとは違って俺の攻撃は全てが範囲攻撃、考えなしってわけではない。
今どんな状況かと言うと俺とその分身の半分、遥、春川さん、瀬田さんが突っ込み、天野さんが敵も進入を防ぐトラップを敷き詰め内側から松本さんが攻撃、九郎と竜崎さんが回復、外側で俺の分身の半分が防御している。
瀬田さんは結構な速度で圧倒している。春川さんは「...残像だ。」とか言って遊んでいる。
松本さんは精密機械のような攻撃で脳天を貫き、遥はトリッキーな動きで翻弄している。
俺はパワーと数で圧倒だ。ダメージは受けまくっている。形態変化をしたいからだ。まぁ10分の1されるのでしょっぱいダメージにしかならない。
「まだ400人残ってるぞ・・・。」
「あと1分で終わらすか。」
瀬田さんが無茶を言う。
「俺なら1秒でいける。」
天野さんがもっと無茶を言う。最終形態なら1分でいけるかもしれない。
「じゃあちゃっちゃと終わらせますかぁ!」
これは遥だ。
「スーパーチャージ!」
遥が金色に発光する。ステータス上昇系だろうか。
「修羅解放」
瀬田さんがオレンジのオーラを纏う。こちらもステータス上昇だろうか。
全ての俺は自分の首を斬り落とす。最終形態の適用だ。
「「「原罪」」」
ランダムで姿が変化する。試練の時の獣っぽいスピード特化の姿、銀色の環と銀色のオーラを纏った防御特化の姿、灰色だった肌が真っ黒に変化し筋肉質になった攻撃特化の姿、空中に魔方陣が浮いている魔法特化の姿この4つのどれかに変化している。
本体の俺は防御特化だ。俺に向かってきた魔法は半径5m以内に入ったところで消滅し俺に攻撃を仕掛けてきたやつは銀色の環から発されるビームで返り討ちに合う。運よく攻撃を浴びせられても銀色のオーラで威力が殺される。
「激励の幻想曲」
確かこれはスキルの使用制限をなくすスキルだったはずだ。雷神の裁きを連発する。松本さんは傾城の一矢を撃ちまくっている。以前よりペースが早くなっているし軌道が途中で変わっている。これじゃあ避けきれないだろう。
瀬田さんは信じられないスピードで移動しては吹っ飛ばし移動しては吹っ飛ばししている。
遥も異常な速度だし、使用制限のある【サウザンドブレイド】を連発し一掃している。これは放った斬撃が分裂し最後には千の斬撃となって敵を切り裂くというものだ。その威力は絶大で仮に全部食らったら迅でさえもそれだけで沈むであろうというほどだ。多分俺の死刑宣告からの雷神の裁きに匹敵するのではないか。
向こうのヒーラーも頑張っているんだが多分もう持たないだろう。春川さんは固有能力の【千里眼】を活用しつつハイステップとショートワープを駆使して暴れている。
結果として1分で終わらすと言ってから40秒程度で終わってしまった。