第九話 襲撃後日
イカれた調教師を殺した翌日、俺はぐっすりと眠っていた。少々疲れがたまっていたようだ。
「石田くん昨日はおつかれさまっ!」
「みんなお前に感謝してるんだぜ。」
「そうそう、石田くんがいなかったら危なかったって花田君も言ってたし。」
「犯人は調教師っていう職業だったって?神様がくれた力を人殺しのために使うなんてひどいよな。人間としてどうかしてる。」
人殺しか・・・。俺も大して変わらないんだが。
「悪い、風に当たってくる。ちょっと疲れてて。」
「やぁアキト君。まさか人殺しをした自分が英雄のように思われるのが辛いなんて言わないよね?」
「いやー、せいぜい実際に自分が人殺ししたところを見てたらみんなの反応は違ってたんだろうなってとこだろう。」
「迅のがほぼ正解だよ。」
迅っていうのは花田の名前だ。
「さっすが付き合いが長いねぇ。でもちょっと違うんだよね?」
「そうだな。神様正解言っちゃっていいよ。」
「実際に自分が人殺ししたところを見てたらみんなの反応は違ってたんだろうな。これからそれを認識したやつから自分を異質なものと見られて居場所を失うかもしれない。でもそれに松本さんまでは巻き込みたくないな。なーんて、考え込んでたんだよ、アキト君は。」
「自分で言っていいとか言っておいて心読まれると複雑だな。」
「俺も読まれたくないわ。」
「神様特権なんだよ。そうだ松本さんが心配してるんじゃないかな。」
「そっか。ありがとな。」
「あ、石田君いたー。いなかったから心配したんだよ?」
「ごめんごめん。ちょっと風に当たってたんだ。」
「てっきり調教師の人のことで悩んでるのかなって思って心配になったんだ。」
「いや、そんなことは考えてないよ。ただ松本さんには俺と同じことはさせたくないなって思ってさ。」
「・・・そんなこと言うならしなくてすむようにちゃんと守ってよね。」
「あぁ、絶対に守るよ。」
「約束だからね。」
「約束するよ。」
なんかちょっと恥ずかしくなるようなやり取りではあったが俺の本心だ。
「じゃあさ今日はちょっと遠くまで行ってみない?最近全然学校から離れてないなって思って。」
「確かに久しぶりに遠くまで行ってみたいね。のんびり景色みたりするような暇はないかもしれないけど。」
「誰かさんが破壊しちゃったしそこの公園は景色なんて楽しめないね。」
「ごめん。でもそこってそんなに遠くでもないじゃん。」
「まぁねー。神社まで行きたいなって思うんだ。」
「神社・・・あぁ、あそこね。それなりに遠いな。」
「楽しそうでしょ?」
「うん、不謹慎かもしれないけどワクワクするよ。」
「じゃあ早速いこっかー。そういえばレベル上がってスキルも増えたし試してみたいなぁ。」
「あー、俺もレベル上がったわ。30になってスキルも覚えたよ。」
「30っていうと2次職になるんだよね。」
「そう、大魔王になったんだよ。」
現在の俺のステータスがこちら
hp:326
mp:540
攻撃力:370(ギロチンブレードによるプラス110)
守備力:380(魔王セットによるプラス190)
素早さ:210
魔力:470
精神値:∞
幸運値:39
幸運値は特殊な装備以外では上がらないんだろうな。
「さぁ、神社行こうか。」
「うんっ!」
ちなみに・・・迅からこんなチャットがきていた。
「神様から聞いたんだけどこれから松本さんとデートだって?その前もイチャイチャしてたとか。」
おい、神様。