第六十三話 試練 side松本美月
「石田君、頑張ってね。」
「あぁ、松本さんも頑張って。」
こんな会話を交わした私のやる気は十分だ。門に触れた私は試練の会場らしき場所にいた。
「ようこそ松本美月さん。私があなたの試練を担当するリリィという者です。では早速始めましょう。」
銀髪ツインテールの天使さんの名はリリィさんというらしい。武器は私と同じく弓。
「では行きます。」
そう言って矢を撃ってくる。でも大して速くないし威力があるようにも見えない。
リリィさんが撃った矢と同じ軌道を描いて矢を射る。さすがは天使、これくらいは避けるようだ。
今度は6本の矢が飛んでくる。
「弓術・空斬り」
超劣化版傾城の一矢といったところだろうか。矢の軌道から半径50cmを巻き込む。威力は抑えめだがそれでもリリィさんの矢を落とすには十分だった。
「いい攻撃ですね。さぁ行きますよ。」
少しオーラのようなものを溜めてから矢を放ってきた。かなり速かったがすこし体をずらして避けることができた。
「エンジェリックハート」
私は白いオーラに包まれ背中からはエネルギーが固まってできた翼が生える。移動速度を上げ、被ダメージを軽減し飛行能力を与えるスキルで見た目も気に入っている。
一瞬で距離を詰め、至近距離から傾城の一矢を放つ。
リリィさんの体が宙に浮く。
「五月雨撃ち、サジタリウススコール」
意外とあっさり終わってしまった。まさかここまで早く終わるなんて。やっぱり石田君と喋ったからコンディション万全だったのかな?
「すごいですね、こんなにあっさり負けるなんて。あなたの矢の速度はどうなってるんです。いきなり驚いてしまいましたよ。ではあなたの固有能力を目覚めさせましょう。」
リリィさんの矢が遅いんじゃなくて私のがいつの間にか速くなっていたようだ。
【激励の幻想曲】一定時間パーティー全員の再使用時間のあるスキルの再使用時間をなくす。
これってかなり強いよね。傾城の一矢撃ち放題か~。最近バリスタなんていう二つ名もついちゃったし。別にコーヒーは淹れませんよ?攻城兵器の方ですよ。まぁメイドだしコーヒーは淹れるんですけどね。
「激励の幻想曲」
傾城の一矢を5回撃つことができた。激励の幻想曲の効果時間はだいたい30秒くらいのようだ。
これなら・・・石田君の役に立てるかな?
美月ちゃん無双!!