第五十八話 試練の始まり
レイドから1ヵ月。久しぶりに神の分身が俺たちの前にいた。まぁ世界中にいるそうなのだが。
「今日こうして僕が姿を見せたのは君たちにお知らせがあってのことだ。」
「まさかまた厄介なことが起きたとか言うんじゃねぇよな?」
ちなみに1ヵ月の間に俺以外のみんなの装備が新しくなっていた。新しいスキルも覚えたらしい。俺?1ヵ月で2しかレベル上がってないし防具は変わることがないと思う。ただ宝剣『白雪』というものを手に入れた。
「いやいや、むしろ君たちにとっては喜ぶべきことだと思うよ?みんなに僕からのプレゼントだ。もちろん無料ってわけにはいかない。僕からの試練を乗り越えてもらうよ。試練ってからにはそう簡単にはクリアできないからね。」
なるほど試練か・・・どんなものだろうな。
「ちなみに単純な戦闘形式の者が基本だよ。ちなみにヒーラーや生産メインの人には救済を与えているから安心してね。まぁ戦える人には容赦なしだけどさ。」
「で、試練ってのはいつやるんだ?」
「明日だよ。別に準備してどうにかなるようなものじゃないし安心して。」
おい、安心させる気あんのかよその台詞は。
「じゃあね~。」
陽気な感じで消えていきやがったぞあの神。とりあえず準備するかぁ。だが準備って何をすればいいんだろうか。
・・・結局、何の準備もせずに当日を迎えてしまった。
朝9時になるといきなり転送された。そこかしこに木が生えており地面には芝が生えている。
空中には岩のようなものや円形の建造物のようなものが浮いている。あれは試練に関係あるんだろうか。
「基本的にはないよ。」
チャットで返事がきた。久しぶりに心読まれたな。ちょっとイラつく。
「みんな揃ってるね。世界中の人間を集めるのもどうかと思うからとりあえず同じ国の人たちを集めてみたんだけど。とりあえず試練の内容とそれを乗り越えた者への報酬を教えようか。試練は天使との対決、救済措置に関しては担当の天使が説明してくれるからその時まで待っててね~。報酬は固有能力、だよ。」
「「「「「「「「「「おおおおおおおっっ!!!!!」」」」」」」」」」
歓声が上がる。閧の声か?
「まずはそこらへんの岩の上にある門まで行ってね。触れたら試験会場に転移だから。ちなみにパーティーじゃなく個人での参加だよ。そういえば説明してなかったっけ。てへっ☆」
なんか星のイメージが頭に捩じ込まれた。
「「「「「「「「「「てへっ☆じゃねええええええええ!!!!!」」」」」」」」」」
あ、俺たちもできるんだ。どうなってんだよ。
周りからは「まさか飛べって言うのか?鎧だぞ?」とか、「魔王様みたいに足から魔法出して飛ぶか・・・」とか聞こえる。
ちなみに魔法使いには風属性のフライで飛んでいる者がいるし召喚術士は飛行できるモンスターを召喚して飛んでいる。
「よし、行くか。」
「そだねー。行こうか。」
「ちょっ、私飛べないよ!」
「私は一応飛べるけど。」
俺は同化使えば飛べるしにぃなさんはフライ使えるらしい。松本さんも新スキルのエンジェリックハートを使えば飛べる。松本さんの二つ名の天使に合ってていいなと思う。
遥は普段アクロバティックな癖に飛べないようだ。
「遥には足場作ってやるか。」
「暗黒結界」
遥は軽々と登って行った。そりゃ足場さえあれば誰でも行けるか。ちなみに、今暗黒結界は遥以外は通すように設定してある。結果として、便乗して足場を使おうとしたやつは全員落ちてしまうこととなる。
そんな様子を見てにぃなさんは腹を抱えて笑っている。いや、少しは自重しよう。
暗黒結果を消すと全員思い思いの方法ですぐ側の岩に乗った。そこには神の言った通り門があった。ゲートってルビ打つのが正解だと思う。
「石田君、頑張ってね。」
「あぁ、松本さんも頑張って。」
よし、やる気は十分!待ってろ天使、捻り潰してやる。