第五十七話 神々の作戦会議
新章突入です。主人公超強化編ですね
少年のような容姿をした神はパーティー会場のような場所にいた。そこには他にも数人の神々がいる。
「皆さんお集まりいただいてありがとう。近々行う予定になってる試練についてなんだけどね。ちょっと扱いに困る者が数名いるからそういう人たちをどうするかについて考えていきたいんだよね」
褐色の肌に赤い髪をした女神、武神が挙手した。
「いくら貴様が力を与えた奴らといっても天使たちが簡単にやられるようなのがいるというのか?」
「いるのは知ってるでしょ。ほら、秋人君とか迅君とか、冴凪さんあたりも怪しいんじゃないかな?あとやっばいのはあれね、不死者こと義仁君なんて特にやばいんじゃないかな?ここの面子は苦労なしで天使を倒せそうでこまるんだよね~。もちろん日本以外にもすごいのはいるけどさ。あの密集の仕方はすごいよ。」
試練とは天使と戦わせるというものだった。それも実力が少しだけ上の天使とだ。
「さすがに固有能力なんて与えるんだから相当の難易度にしなきゃいけないんだよね。」
何かを与える時にはそれに見あった厳しい条件を科すかそれと同レベルのマイナスを与えるかしないといけないという世界の法則がある。呪いの装備はそのマイナスにあたる。
「不死なんて僕らだったら簡単に殺せるっていうのにねぇ。何かいいアイデアないかい、リリィ?」
「七つ道具の神の劇場で十分では?あれを突破できればクリアということにしてしまえばいいんじゃないでしょうか。」
「何?!貴様は最高神の神器を使えというのか!!」
大声で怒っているアフロの神は雷神だ。
「落ち着きなよ。劇場って発想はなかったね。」
神の劇場とは完璧に近い幻覚を作り出す。その幻覚は視覚だけでなく五感、さらには第六感でさえも狂わせる。しかも違和感を感じないのだ。これに気付くことを条件とするならば十分なはずだ。
「...それに僕も出るつもりだったし、ね。」
「なっ、お主も出るだと?!」
半人半魚でトライデントを持った海神が反応した。
「ん、海神は何か文句でもあるのかい?」
「もちろんだ!最高神が人間への試練に参加するなどあってはならんことだ。お主の隣に控えておるそやつらにやらせればよいではないか。」
「はぁ・・・確かにリリィとセレンはそこらへんの天使とは格が違うよ?それこそ君たちの一部には勝てる強さだ。が、彼女らでも相手になるかどうかは怪しいんだよ。まぁ僕が本気でやったら試練じゃなくて暴行になるんだけど。」
「ぬぅ、それほどまでに強いというのは石田秋人のことか?だがお主がやったらやりすぎだというなら他の神に行かせたほうがよいのでは。」
「試練は僕の加護を受けている者に限って転移の際魔力を減らされないようにした特殊な世界でやるつもりだ。君たちは僕の加護なんて受けてないだろう?魔力消えるよ?」
実は神、最高神はこの世界を作るのにかなり苦労した。なんとかうまく作れたが再び作り直すなんてもう嫌だと思っていた。
「しかしあなたが加減できるとは思えませんわ。どうするんですの?」
豊穣神が問う。
「彼が超えるべき壁の力をそのままコピーして戦おうかと。それならなんとかなりそうでしょ?」
「なるほど、あの者ですわね。なかなかいい考えだと思いますわ。」
「さて、これで決まりだね。そうか、あと1つだけ問題があるんだった。」
「問題だぁ?」
武神が怪訝そうな声をあげる。
「そうなんだよ。誰にどの天使をぶつけるか考えてないんだよね。と、いうわけで宿題だ。君たちみんなで来週までに考えておくこと。」
理不尽な宿題を神々に叩き付けてその日の会議は終わった。