第五十三話 レイド side石田秋人
戻ってきた主人公!
俺は瀬田団長の部屋に来ていた。
「よく来てくれたな。無事でよかった。」
「帰りが遅くなってしまい申し訳ありません。」
「予想外のことだったから仕方ないな。何があったのか詳しく聞いてもいいか。」
俺はさっき松本さんたちに話したのと同じことを話した。
「なるほど、では明確な原因のようなものはわからないか。今回のレイドの参加枠は埋まっているし休んでいるといい。疲れているだろう。」
「俺なら1人でも戦えるので大丈夫ですよ。hp回復ならポーションで大丈夫です。それに今回手に入れた七つの大罪はソロで戦えるスキルですし。俺にはクズノハがいるから大丈夫ですよ。」
「まぁ君なら大丈夫だろうが無茶はするなよ。君は邪魔さえしなければ好きなタイミングで戦ってくれてかまわない。」
さて、暴れてくるか。
「あっくんお帰りなさい。」
「久しぶりだな、澪。」
「全く・・・どんだけ無断で本部を離れてるのよ。それに1人で行くつもりなの?吸血鬼のステータス減少とか大丈夫なの?」
「結構強くなったしな。心配してくれてありがとう。じゃあ行ってくるよ。」
いってらっしゃいという声を聞いてから俺は戦場に飛び出した。
「同化」
まずはクズノハと同化する。これでクズノハの能力を俺も使えるようになる。
「冥府の門・開」
最近分かったんだが冥府の門のステータス上昇は20%ずつだ。それも基礎ステータスではなく装備込みのステータスの20%だ。
「七つの大罪『強欲』」
俺が10人に増える。つまりこれは分身スキルなのだ。俺の分身たちは俺とhp、mpそして体力を共有する。つまり1人が致死ダメージを食らえば本体の俺まで死んでしまうし、mpを使いきってしまえば全員mpを使えなくなる。誰かがバテたらそれ以外の全ての分身もバテる。
分身をバラけさせてモンスターを倒していく。クズノハと同化した俺の頭からは狐耳が生え尻尾も生えている。誰得だよって本気で思うんだ。その尻尾に狐火を灯して俺は移動する。1撃で倒すことができるので止まることなく進み続ける。
「おー、大蛇かぁ。っていうかやまたのおろちってやつだな。」
8つの頭をもつ巨大な蛇、やまたのおろちがいた。中ボスのような存在だろう。
「闇の衣」
大蛇の8つの口が大きく開き何やら液体を吐き出す。俺は回避するが液体のかかったアスファルトがどろどろになっていた。食らわない方が良さそうだな。
分身4人で攻撃を仕掛けるが鱗が硬くて攻撃があまり通らない。しかし大蛇は苦しんでいる。クズノハの追加効果の祟りの状態異常だ。たまに動けなくなるのに加えhp・mpが減り続ける。
「硬いけど10人がかりで倒せない敵じゃねぇな。」
「「「死刑宣告」」」
「「「雷神の怒轟」」」
10人分のクリティカル雷神の怒轟を食らい大蛇は満身創痍だ。体力を共有している10の俺はもうすでにバテている。結構な数の戦闘をこなしていたのだ。いつのまにか疲労がたまっていたのだろう。
そこに物を溶かす液体の攻撃がきて避けきれずに被ってしまう。
「うぇ、ぬるんぬるんするわ。皮膚溶けてんじゃねーか?」
「あーあ、第二形態適用だ。」
俺の姿は本来の人間の姿とは少し離れていた。目は大きく見開き白眼は黒く、瞳は赤く染まっていた。そして吸血鬼になっていたせいで生えていた4本の牙だけでなく全ての歯が牙に生え変わっていた。頭部からはまっすぐに伸びた角が生えている。
「狐耳に角か。ものすごく変なルックスだな。よし、尻尾と耳隠そう。」
クズノハの幻術スキルで違和感のもとを隠す。ステータスがかなり上がっているからそこから10人それぞれの1撃で大蛇を倒すことができた。やっぱ俺って異常な火力してんのかな。