第四十七話 大規模戦闘の予感
秋人がいなくなってから2週間が過ぎようとしていた。ダンジョンから帰還してから篠原と迅も北風の騎士団に入団することとなった。また、神に秋人の行方を聞いてみたが、
「僕にも分からないんだよ。」
との答えが返ってくるだけで何も情報を得ることはできなかった。秋人が欠けたパーティーで美月たちが狩りをして帰ってくるとそこには神がいた。と、いうよりもそこらじゅうにいた。
「今日は大事な話があってこうして来たんだ。つい最近ダンジョンが出現したばかりだが次は魔族たちによる大規模な侵攻が起こると見られている。規模はだいたい1万前後、ここ東京は間違いなく敵の標的となっている。みんなで協力してこの難局を乗り切ってほしい。では、健闘を祈る。」
「冴凪さん、これってどうなるんでしょうね。」
「うーん、俗にいうレイドってやつだね。まぁバトル好きな連中が集まって戦うことになるんじゃないかな。私は行きたいと思ってるよ。」
「確かに楽しそうだもんねっ!」
「いやいや遥ちゃん、1万って多いよ?その規模だと遥ちゃんでも囲まれるんじゃないかな。」
「そのための迅さんでしょ。」
「いや、俺でもそんな囲まれた状況ではタイミング見極めきれずに撃沈するんだが。」
「まぁそこは私が魔法でぶっつぶすし割とこの集団でいけそうじゃないー?」
「松本さんの補助は有用ですしねー。」
「おっと悪いね、召集かかったよ。」
北風の騎士団の幹部が集まる会議では。
「今回話し合いたいのは先程神様から話のあった大規模戦闘についてだ。」
「やっぱ俺たちも参加した方がいいでしょ。」
と、春川が言う。
「参加は当然するけど問題は全員参加にするか希望者参加にするかじゃない?」
天野が指摘する。
「それなんだけどやっぱ希望者のみがいいんじゃないかな。だってそもそもここには生産メインの人だってたくさんいるし戦いたくない人を戦わせたって戦力になんないんじゃない?」
「全くもってその通りだ。どうせ1万なんて100人で挑んでも1人で100倒せばそれで終わるんだよ。」
と、竜崎が言う。
「うん、希望者のみでいいと思う。」
「ではとりあえず希望者のみ参加ということにして話を進めよう。竜崎の100人が100体倒せばいいは大げさだがこの騎士団には970の人間がいる。半分が参加するとして約500人。1人につき20体ずつ倒せばそれで終わるだろうな。」
「まぁ魔族もいるみたいだけどねー。それにモンスターの中にドラゴンみたいな厄介なのもいるかもしれないし。」
春川が指摘する。
「だとしても日本最強クラスの俺たちと勇者もいるからそれでも結構簡単に終わりそうだな。騎士団外のやつとも協力できるだろうし。」
「こんな時期に秋人君がいなくなるとはね。予想もしていなかった。」
「雑談はそこまでにしてだ。大規模戦闘には希望者のみ参加。希望者は明明後日までに俺か冷泉に報告をするということで全員に通達してもよいか。」
「意義なし。」
「意義なし。」
「右に同じ。」
「私も同じく。」
「ではこの内容で全員に伝えるように。」
会議が終わり冴凪が戻ってきた。
「大規模戦闘は希望者のみ参加。希望者は私か団長に報告ね。」
「じゃあ俺と迅は参加希望で。」
篠原が言う。
「私たちはどうする?臨時リーダーの美月ちゃんや。」
「参加で。石田君なら参加希望すると思うから。」
「確かに。嬉々として参加してそうだよねー。」
美月たちは来るべき大規模戦闘に向けて消耗品などの準備を開始した。