第四十二話 ダンジョン攻略 3
そこにいた男たちは二人ともが白い鎧を装備していた。その片方は見覚えのある光り輝く剣を持っていた。
「ん、アキか!」
「おい迅、なんでお前がここにいるんだよ。」
「んー、学校に留まっとくのにも飽きてきたし上京?」
「徒歩か!お前はウォーキングマニアか何かなのか?!」
「まぁまぁ落ち着け、こちらは勇者こと篠原誠一。」
「篠原だ。こんなところで会ったのも何かの縁だろう。よろしく。」
「これが竜狩りこと石田秋人、そっちが歌姫の松本美月さん。で、そっちが前より大きくなってるけど秋人の妹の遥ちゃんだよね?」
「こっちが北風の騎士団副団長の冷泉冴凪。そこにいるのは大八咫烏の九郎だ。よろしく。」
「へぇ、噂の竜狩りか。ぜひとも戦いたいね。」
「あぁ、篠原さんめちゃくちゃバトルジャンキーだから気をつけろよ。俺も会ってすぐにバトルふっかけられた。」
「ダンジョン攻略終わったらいくらでも付き合いますよ。」
篠原さんの見た目は24歳くらいのサラサラ茶髪ヘアーだ。染めているのではなく地毛だろう。
「それにしてもここまでのボスは2人で倒したのか?」
「あぁ、そうだけど。」
おそらく2階にボスがいなかったのはこの2人が攻略したすぐあとだったからだろう。
「迅さん強いんだねー。」
「いやぁ、前にアキにこてんぱんにやられたよ。」
「勇者のスキルって微妙そうに見えてたんだが。」
「微妙とは何だ微妙とは。全体的に強いスキルが多いんだぜ。」
「どうせすっごい威力だけど使ったらぶっ倒れるとかじゃないの?」
「なぜ分かった!そんなスキルばかりではないけどな。」
「篠原さんは比較的重い攻撃を連続で繰り出すスピード重視の戦闘スタイル。」
「なるほどね、俺と遥を平均したような戦闘スタイルだな。」
遥はスピード重視のアクロバティックな戦闘を得意にしている。人間やめてんのかっていうような動きを普通にするのだ。
「うーん、ここは提案なんだけどさ。私たちと一緒に攻略しません?」
「おお!にぃなさんがまともなこと言ってる!」
「こちらからお願いしようと思っていた。ボスが強くて結構苦戦していたんだ。」
「じゃあボス行くとするか。」
「その前にだ。人数増えたし役割決めようか。これは敵が単体だった場合なんだが俺と迅が壁、後方で松本さんが補助と攻撃、にぃなさんも同じく後方から攻撃。遥と篠原さんは遊撃、九郎はいつも通り回復を頼む。敵が複数だったときなど特殊だったらその都度考えよう。」
「了解だ。じゃあ次こそは行くぞ。」
3階のボスは巨大な骸骨で大剣を持っている。
「剣の讃美歌、子鹿のマーチ」
「冥府の門・開、闇の衣」
「勇気の輝き」
「ハートブレイクショット」
「覚悟の円舞曲」
最初にでかいのをぶちかまして流れを掴む作戦だ。
「雷神の「・・・っ」怒轟」
「くそ、こいつ速いぞ。」
この骸骨は壁である俺たちを無視して超アクロバティックな動きで自由自在に部屋の中を動きまくってる。それにしても攻撃が重かった。俺の強化を積みまくった攻撃でもなんとか相殺しきって少しダメージを与えられたかという程度だ。
「壁の意味がないな。役割交代だ。遊撃組が壁の役割をしてくれ。機動力が俺たちには足りない。」
「OK!」
「攻撃を後衛に届かせないことを最優先に!俺と迅は火力として動く。」
「守護神の鉄槌」
骸骨が遥に剣を振るったところに迅の守護神の鉄槌が炸裂する。やはりこのアクロバティックな化物に攻撃を当てるには攻撃している最中を狙うしかないだろう。
骸骨が剣を構える。その剣には妖気が纏われる。剣が向く先は迅。そして今、剣が振るわれる!