第三十八話 ダンジョン出現
松本さんを案内してから数日、俺たちは連携訓練をしていた。その間に俺のレベルは44になっていた。
今日も近場で連携訓練をしてから本部に戻ってくると何やら騒がしかった。
「おいおい、なんだあれは。」
「あんなの元々なかっただろ?」
「普通に考えるとダンジョンじゃねーか?」
「あそこって確か駐車場か何かだったような。」
どうやら元々なかったものが出現しているようだ。遥が見に行っている。
「お兄ちゃん、鳥居みたいなのの奥に洞窟があるみたいだよ。」
「やっぱりダンジョンかな?ボスは封印されているとかそんな設定ありそうだねー。」
バチン!辺りに聞き覚えのない音がなり響く。音のした方を見ると神がいた。」
「みんな慌てているようだね。あそこに現れたのは魔物の巣窟、ダンジョンという認識でいい。他の場所でも出現し初めているようだ。元々建物があった場所には出現せずちょっとずれた位置に出現するみたいだね。ダンジョン内ではモンスターの復活は早い。さらにダンジョン以外のところよりモンスターの密度が高い。それなりに自信がある者じゃないかぎりは挑戦しない方がいいと思うよ。」
「ちょっと質問いいか?」
「なんだいアキト君?」
「ダンジョンのモンスターが外に出てくることはあるのか?」
「ないね、ダンジョンの加護を彼らは気に入っているからね。それにダンジョンがやつらを出さない結界の役割をしていることだってある。」
「そうか、それはよかった。」
「じゃあね。」
そう言って神は消えた。
「お、召集かかってるね。ちょっと行ってくるから待ってて。」
どうやら団長、副団長、第三席の5人での緊急会議の召集のようだ。団長と第三席のパーティーで攻略に行くことになるんではなかろうか。
「うーん、団長たちのパーティーで行くことになるんだろうな。」
「いや、団長たちのパーティーはダンジョン向きじゃないかも。」
「おい澪、いつでてきたんだ。」
「さっきよ、さっき。」
「で、ダンジョン向きじゃないかもってのは?」
「団長は普通に戦えるけど爆弾魔は基本的に設置型の攻撃しかできないし放浪者は広いところでの戦闘に向いてるの。」
「ん、残念だけどそんなことはないからね。」
「春川さんじゃないですか。お久しぶりです。」
「久しぶりだね。そんなことはないって言ったのは俺は短剣スキル中心で戦えばいいし天野は爆弾のストックめっちゃあるからそれ投げればいいだけだぞ。あいつでも即発動の攻撃スキルも持ってるしな。」
「うわぁ、戦いたくない。」
「そういや模擬戦使ったトーナメントみたいなイベント考えてるらしいよ。」
「私はあっくんと戦いたいなー。」
「私は団長と戦いたいな。」
「私は冷泉さんと戦いたい。」
澪は弾幕を張る戦い方、にぃなさんと似たような戦い方だからあんまやりたくない。多分勝てるけど。遥vs団長は見てみたいかもタイプ似てるしなー。斧か剣かって違いくらいだし。松本さん・・・にぃなさんと戦いたいってまじか。俺はもうやりたくない。
「そうだ、結局ダンジョン攻略はどうすることになったんですか?」
「上位2パーティーが行くことになったよ。」
「上位2パーティー?」
「俺たちと君たちのパーティーだよ、松本さん。」
「いつからそんな上位になってたんですかね。」
「第三席候補だった君と副団長、さらにはレベル120の祢宜がいて上位じゃないなんてありえないだろ。」
「俺より松本さんの方が強いですって。戦い方が俺みたいに雑じゃないし。俺は吸血鬼になっちゃったし。」
「絶対石田君のほうが強いでしょ。」
「パーティーへの貢献度みたいな意味で松本さんの方が圧倒的に優れてるし。」
「1時間後に出発だからね。準備はばっちりしといてよ。」
「はい。っていうかダンジョンをメテオストームで消せないのかねぇ。」
「できそうで怖い!中に攻略に行ってる人いるかもだしやめようね?!」
「無論冗談ですよ。」
8割は冗談だ。ダンジョン攻略、楽しみだな。